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41 婚約(相関図あり)

楽しんでいただければ幸いです。

挿絵(By みてみん)


1552年春 二階堂氏 ~須賀川城~



春の吉日に伊達氏の重臣桑折景長殿が須賀川城を訪れた。

「照行様、此度はご嫡男行盛様と晴宗様の長女 阿南おなみ姫の婚約の使者として参りました」

「景長殿ご苦労であった。謹んでお受けすると晴宗殿へお伝え頂きたい」

やっぱり使者を出したんだね晴宗殿。

実は晴宗殿とは手紙のやり取りを時折していて、「うちの娘を行盛くんにどう?」みたいな内容の手紙を受け取っていたのだ。

うちとしては格上との婚姻だし、時期は早いが史実と同じ相手だから問題ないので内諾していた。


ただし、二人ともまだ若い為とりあえず婚約のみで、婚姻は数年後となるだろう。

なぜこうなったかと言えば、その一つに稙宗様が晴宗様を煽っていた事があげられる。

稙宗様も晴宗殿と手紙のやり取りをしているのだが、その中で必要以上に行盛の事を優秀だと持ち上げているらしいのだ。

恐らく自分を慕ってくれる孫へのひいき目が多分にあるのだが、話半分としても今の二階堂との繋がりを強くしたいとの気持ちが晴宗殿にあった様だ。


もう一つの理由は、蘆名氏に先を越されたくないとの思いがあったかららしい。

蘆名氏とは天文の乱の辺りから同盟関係に近い状態であり、あちらの内部でも関係強化を検討している様なのだ。

その中でも手っ取り早いのはうちの行盛と盛氏殿の娘との婚姻だろう。

盛氏殿には子供が少ないが、実子でなくとも一族を娘を養女にして出すと言う方法もある。


これは俗説なのだが、行盛は最初の妻を蘆名氏から貰っていて、阿南姫は亡くなった盛氏殿の娘の継室だと言う説があるのだ。

史実においても天文の乱以降、二階堂と蘆名氏の関係は良好で姻戚関係を結んでもおかしくない状態だった。

それが二階堂と伊達氏が姻戚となった以降は、突然関係が悪化して田村氏と二階堂の領土を攻めるようになったのだ。

そこに公式には記録されない隠れたストーリーがあっても不思議に感じない。

史実と言われているものも新たな資料の発見でいくらでも覆るのだから。


さて、無事に行盛と阿南姫の婚約が決まり二階堂の中で祝福ムードが高まっている。

伊達氏や蘆名氏などの政権が安定し、交易も一層盛んになっているので景気も上がっている為喜ばしい限りだ。

蘆名氏と言えば、最初に同盟を申し出た時に戦略物資となる塩の交易を上げたが、蘆名氏にとっては塩の確保は絶対条件では無かった。

会津では塩が採れるのだ。


これは海外で一般的な岩塩ではなく、温泉の湯を煮詰めて作られた山塩だ。

現代でも山塩は作られており、大塩や熱塩などといった塩に由来する地名が残っている。

それでも盛舜様や盛氏殿が同盟を結んだのは、交易が蘆名氏にとっても利になると判断したからなのだろう。

俺は策を持って臨んだつもりだったが、掌の上で踊らされていた様だ。


なお、晴宗殿は現在、稙宗様の影響力を排除したかったからか居城を出羽国の米沢城へ移している。

天文の乱で両陣営が約束していた安堵状あんどじょう(所領を保証する文書)を整理するのが大変らしい。

また、味方した重臣達の発言力が大きくて自分の意見が上手く通らないとの愚痴が手紙にも書いてあった。

最上氏や相馬氏も従属関係から離れており、従属でなくとも協力者である蘆名氏や二階堂は重要なパートナーとなっているのだ。

特に相馬氏は領地に接している丸森城を狙っていて油断出来ないらしい。


俺としては、このままの体制を出来るだけ維持して平和な時期を長く保ちたい。

ずっと先になると思うが、自分でも上洛して京や堺の街を歩いてみたいのだ。

修学旅行で行った京都が戦国時代にどんな状況なのかとても気になる。

幕府にも挨拶へ行く予定だが、歴史で有名な剣豪将軍の足利義輝様(今は義藤)とはどんな方だろうか?

そうだ、行く前には父上や商人から情報を集めて旅行のしおりを作らないとな!


読んでいただきありがとうございます。

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