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31 天文の乱3

楽しんでいただければ幸いです。

1542年夏 石川氏 ~三芦みよし城~



俺は蘆名氏との交渉の後、須賀川城で休養してから石川氏の居城三芦城へ向かった。

休養中はまつ姫と色々いたしたので元気いっぱいである。

「照行殿、ようこそおいで下された」

稙弘たねひろ殿、ご無沙汰しております」

石川氏の当主稙弘殿は現在15歳と若く、3歳で父 稙光ためみつ公を無くして家督を相続した苦労人である。


「此度は伊達氏のことで参りました」

「二階堂氏へも使者が来ましたか」

「はい、二階堂は稙宗様へ付くこととしました」

「そうですか、石川も稙宗様へ付くつもりでした。今後も二階堂氏と協力できるのですね」

石川氏は周辺を田村氏や結城氏などから圧迫されており不安を抱えている状態だ。

このため勢いのある二階堂との同盟は石川氏にとっても渡りに船だった。


「石川氏とは今後も協力したいと考えています。ただし、石川氏のためにもこれからの二階堂の戦略へ協力していただきたいことがあります」

「どんなことでしょう。内容によっては協力出来ないこともあります」

「ご協力いただきたい事とは、この後時期が来ましたら稙宗様から晴宗殿へ陣営を変えていただきたいのです」

「寝返ると言うことですか」

「そうです。これは二階堂が同盟している蘆名氏とも同意済みです」


「それは石川にどの様な利があるのですか。それが無ければ家臣を説得出来ません」

「同意していただければ、稙宗様へ付く田村氏と陣営を明らかにしていない結城氏を二階堂と蘆名氏が抑えます。さらに、現在晴宗殿方の岩城氏へ私が向かい、一時的に稙宗様へ付く石川氏との不可侵を約してまいりましょう」

「・・・そこまでしていただけるのなら、石川も二階堂氏と組みましょう。今後ともよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いいたします」


蘆名氏に続き石川氏との交渉も無事上手くいった。

石川氏は岩城南街道の中継地として重要な土地なので協力体制の維持は必要不可欠だった。

それでは仕上げに岩城氏へ向かうとしよう。



1542年夏 岩城氏 ~たいら(大館)城~



俺は供の者達と石川領から峠を越えて岩城領へ辿り着いた。

険しい山道と夏の日差しはとてもきつく、このまま海へ向かって海水浴でもしたい気分だった。

しかし、残念ながら公務のためそれは許されないだろう。(フル〇〇で泳ぐのは恥ずかしいしね)

個人的に旅が出来る平和な日常を目指して頑張るしかない。


「照行殿、内密な要件があるとのことだが此度は時期が悪いのではないか?」

いきなり重隆しげたか殿からくぎを刺された。一筋縄では行かないな。

「申し訳ございません。当方も伊達氏の諍いにつきましては重々承知しております。その上で重隆様へお聞き入れいただきたい儀がございます」

「ほう、聞かせてもらおうではないか」


「二階堂と岩城氏は現在、稙宗様方と晴行殿方に陣営を違えていますが、このままで良いとは思っておりません。周辺の状況を考えても両者は今後も一緒に行動するべきです」

「それでは二階堂が寝返るとでもいうのか?」

「重隆様が同意いただければ、蘆名氏、石川氏と供に晴宗殿へ付きましょう」

「その同意とは何だ?」


よし、話に乗ってきたぞ。

「はい、二階堂と蘆名氏は愁いを無くすために現在晴宗殿へ付いている伊東氏を滅ぼします。その後、稙宗様へ付く田村氏や畠山氏を押し込むつもりなのです」

「ふむ、殆ど死に体の伊東氏にとどめを刺すのか。この乱世では弱みを見せれば食い破られるだけだ」

「二階堂も食われるわけには行きません。我らが組んでいれば、簡単に弱みを見せることもないでしょう。このことは時機を見て内密に晴宗殿へ伝えていただいても結構です」


「儂が二階堂を稙宗様へ売ったらどうするつもりだ?ここで捕らえてもよいのだぞ」

「その時はそれまでの事。この程度で裏切られるのであればこの先乱世を渡っていくことは出来ますまい」

目を伏せて答えているが、俺は冷や汗がダラダラで心臓バクバクですw

この世界の俺(照行)の人生はここで終わるのか?


「ふふふ、よかろう照行殿を信じようではないか。互いに利がある限りは上手くやっていけるからな」

「ありがとうございます。ついては、石川氏もこちらに与するので岩城氏とは不可侵としていただきたい」

「分かった、約束しよう。ただでさえ北の相馬氏がうるさいから隣を気にしないで良いのは好都合だ」

「よろしくお願いいたします」


これで伊達氏への仕掛けの半分は終わった。

まだあるのかって?

まさかこの程度で伊達氏の上を行けると俺は思っていない。

命懸けで更なる仕掛けを考えているのだ。(本当に死ぬ気はないが)

ただし、その前に蘆名氏と共に伊東氏へとどめを刺すぞ!


読んでいただきありがとうございます。

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