28 準備
楽しんでいただければ幸いです。
1540年春 二階堂氏 ~須賀川城~
史実における天文の乱を翌年に控え、俺は対応に奔走している状態だ。
二階堂領の安定を図るため、新たに領有した安積郡の統治に力を入れている。
城については、早期決着を目的に城門などを派手に壊したため防御力が著しく低下している。
これを完全に修繕しようとすると金と時間が大きく費やされるため、最低限に留めることにした。
しかし、そうなると田村氏などが安積郡へ侵攻した場合に抵抗出来ないことになる。
そこで一時的に城を守るという防御戦略を取らないことにしたのだ。
その代わりに安積郡内の道を整備して兵の移動を迅速に行い、各個撃破する方針だ。
これには領民の賦役でも行うが、今も編成を拡大中の印地隊が加わって作業をしている。
印地隊は、盾による防御で長距離から攻撃することを基本とするが、弓隊や槍隊と組み合わせて有機的に戦える訓練もしている。
さらに移動しての戦いが多いことから、野戦築城の訓練を行って大きな兵力にも対応できる戦術を取っていくつもりだ。
そのために兵には、土木作業を積極的に行わせており、印地隊による街道整備は一石二鳥と言えるだろう。
また、作業を効率的に行うために道具の開発を進めている。
一番初めに試作させたのは『スコップ』だ。
優れた土木作業用具である事はもちろん、近接戦闘などにも使える万能器具としてお馴染みのこの道具は、構造が簡単な割に、非常に有能な道具である。
領内に資源が少ないため試作に留まっているが、早いうちに標準装備にしたいものだ。
ちなみにここではスコップという言葉に馴染みがないため、便宜上『土槍』と呼ぶことにした。
土を突くし、人も突くこともあるので理解されやすく、意外と早く呼び名が浸透しそうだ。
なお、間違って叫んでも地面から何か生えてきたりしないので注意しておく。
ここにファンタジー要素は無いのだ。(こっそりやってみたけどダメだった)
天文の乱では、二階堂、蘆名氏、田村氏などが稙宗方へ付いたため大きな騒乱は無いと思えたが、どさくさに紛れて田村氏が晴宗方だった安積郡の伊東氏を攻めて従属させた。
これが二階堂、蘆名氏が田村氏と対立する原因となり、晴宗方へ寝返る一因となったが今回も田村氏が攻めて来る可能性は十分にある。
田村氏とて二階堂と同じで小領主のままではいつ攻め滅ぼされるか不安だからだ。
この対応については蘆名氏などとも天文の乱が起こった場合にすぐ同盟できるよう準備するつもりだ。
現時点で伊達氏内に問題があることはすでに知っていた。
ただし、うちには忍者とかいないから全て知り合いや行商人などからの情報だ。
ちなみに一番の情報源は晴宗殿だったりする。
よく文通していて、先日も羽毛布団のおかげで久保姫との間にかわいい長女が生まれたと喜んでいた。
二階堂産の水あめで作った干菓子をまつ姫が産後の久保姫に贈るなど、奥方達の仲も良い。
大物の息子同で通じるところもあり、相談や愚痴なども手紙の中に書いてあった。
なんでも娘婿の相馬顕胤殿への優遇が酷いらしい。
せっかく戦で領有した土地を戻すと稙宗様が言い出して家臣達ともめているとのことだ。
間に入った晴宗殿はかなり困っているようで、羽根布団が無ければ寝不足で倒れているだろうと冗談も書いていた。
さらに、稙宗様の時宗丸殿を越後上杉氏へ養子に出すことを提案しているため晴宗殿は猛反発しているようだ。
実は時宗丸殿がお兄ちゃん大好きっ子で晴宗殿との仲も大変いいらしい。
大崎へ養子に行った小僧丸殿に続いて時宗丸殿までが居なくなるのが晴宗殿には耐えられないようだ。(何やらブラコンの気配が・・・)
これは既に天文の乱が始まる兆候が出ていると考えていい。
今後は軍事的な問題だけでなく、外交的な問題も解決していく必要がある。
二階堂の全てを使ってこの乱に挑むのだ。
読んでいただきありがとうございます。
あのゲームの新作キャンペーンで二階堂がコラボ!?
皆さんもぜひご応募くださ~い!