02 目覚め
楽しんでいただければ幸いです。
????年
眠りからさめて意識が戻ってきたはずだが、なぜか頭がガンガン痛いし目も開けられない。
それに一人暮らしの俺の部屋で、おかしなことに誰かが呼んでいる声がする。
「若、お気を確かに。若・・・」
テレビで時代劇でもやっているのかもしれない。
意識が徐々にはっきりしてきたが、俺は畳に横になっていたようだ。でも、若ってだれ?
朦朧とする状態で俺は自分の状況と記憶を探ったところ、自分で言うのも何だがあり得ない状況だった。
俺はあの『二階堂盛義』の父『照行』として存在している様なのだ。
ただし、照行は十代半ばと若く、盛義は生まれてもいないようだ。
まあ、若いのはいいがよりにもよって二階堂とは。
いくらでも戦国時代に活躍する武将は他にたくさんいるのになぁ。
いや、そりゃーね。寝る寸前まで明日プレーするゲームのこと考えて、設定も照行でスタートならいけるかなぁ、何て考えてはいたけどさ。
だって現実問題となると盛善スタートじゃ周りの状況が詰んでて結構無理ゲーだと思うんだよね。
有力大名となった蘆名氏と隣の田村氏にどんどん追い込まれて、挙句の果ては嫡男を蘆名氏の人質に取られる。
しかし、厨二じゃないんだから俺もこの歳で夢の中までゲームの世界を持ち込まなくてもいいのに・・・。
でもまあ、夢の中ならこの設定でいろいろ試して楽しんでもみるのも悪くないか?
時代劇とかは好きでよく観ていたから何となく憧れるところもあるしね。
よし、ここはひとつ照行になりきって楽しんでみるとしますか。
「すまんな、行有。まだ頭がはっきりしない、今はどんな状況だ?」
俺は寝ていた畳の横にいた若い侍に自然に声をかけた。
「若が遠乗りの途中で馬の耳に虫が入り、驚いた馬が棹立ちとなって若が頭から落ちたのです。大きな傷はありませんでしたが、頭を打っていたため様子を伺っておりました。しかし、その後も半日以上意識が戻らず皆心配していたのです」
さすがにここはテンプレ、後で起こるかもしれない多少の記憶違いも大抵これで解決することになっているもんな!
そして、俺が声を掛けたこいつは、保土原行有。二階堂氏一門筆頭のである保土原氏の嫡男だ。
歳が同じこともあり幼い頃からの知り合いで、今では近習として俺に仕えており、遠乗りでも一緒に出掛けていたが、今回の件で大分心配をかけたようだ。
「悪いがすぐには起き上れそうに無い。父上はどうなさっている」
「晴行様も先ほどまでお見舞いにお越しいただいておりましたが、現在は政務をなさっています。」
父は二階堂 晴行。元は行直といっていたが、昨年に幕府の伝手で将軍足利義晴に諱をもらい名を改めているはずだ。
「心配をかけた。悪いがもう少し休ませてくれ」
「はっ、それでは失礼いたします。晴行様へも若の無事を報告させていただきます」
頷くと俺は目を閉じて考え始めた。これからどうしたものか・・・。
晴行が昨年改名していることが事実なら、ここ数年は二階堂氏の決戦となるイベントが迫っているはずだからだ。
読んでいただきありがとうございました。
主人公が目覚めたのは「1533年 二階堂氏 ~須賀川城~」です。