12 大崎氏の内乱3
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1536年6月 二階堂氏 ~大崎領古川城~
5月に伊達氏の西山城を出陣し約1か月、ようやく反義直派の中心である古川城を俺達は囲んでいる。
古川城は松島から見ても北側で、西山城からの移動もおおよそ100キロ近くあったはずだから遠いわけだ。
途中に反義直派のゲリラ戦にも注意しながら伊達氏・大崎氏連合軍3千騎(といっても騎乗は一部)移動しているから行軍がある程度遅くなるのも仕方がない。
古川城を囲む二階堂の陣で、俺は戦意旺盛な印地隊の皆に戦の前の注意を行っていた。
「皆の者、この戦で大きな手柄を立てることの無いように」
「「えっ」」
隊の皆から疑問の声が聞こえる。
なぜかって?万が一有力武将を倒して早々と歴史改変しちゃったら困るから!混乱するから!
「照行様、ここまで来て二階堂の力を見せないのはなぜでございます。侮られないためにも二階堂が強いことを示す機会かと」
これに対し、俺は照行として表向きはこう答える。
「行有、我らはあくまでも陣借りした余所者だ。ここで伊達氏の者達よりも手柄を立てれば、後々二階堂が伊達氏の目の敵にされないとも限らん。ここはあえて補佐する役に回るのだ。皆耐えてくれ」
俺はわざとらしく皆から目を逸らして悔しそうな顔をする。大根でもやらないよりはましだろう。
「・・・分かりました。皆の者、二階堂のためにここは照行様のお言葉に従うのだ。照行様ならきっと活躍の機会を与えてくださる」
「「はっ」」
何とか行有や隊の皆も分かってくれたようだ。
頼むよ皆、一番の目的は敵を近づけないように俺を守ることだからね!
押すなよ、押すなよ!のフリじゃないから!
今回の戦では、領内から行有関係以外でも槍や刀が得意な二男、三男の子弟を連れてきているから手柄を上げたかったんだろうなぁ。
でも大丈夫、実力があれば後でうちの隊にスカウトすることになってるから問題ないぞ。
3月に西山城へ到着してから出陣までは間があったけれども今いる兵達に衰えはない。
ここ2か月間兵達には西山城の周辺の山野で調練がてらに印地で狩りをさせていたのだ。
徒士の兵も獲物を追い立てる役で活躍した。鷹狩りで陣を想定して兵を鍛錬するみたいなものだね。
戦の兵糧として干飯以外にたんぱく質も欲しかったので、鳥や猪の肉を燻製にして保存食にしてました。
それに、いい匂いがしたどかでこっそり伊達氏の皆さんにも分けてあげたら好評でしたよ。
噂によれば稙宗殿や晴宗殿のところへも一部渡ったらしいけど本当かな?
一度呼ばれた伊達氏の酒宴で二人とも鳥の照り焼きっぽいのを食べながらメチャ飲んでたから本当かもしれん。
伊達氏の兵も牛や馬などの四つ足は普通食わないけど、鳥などは食べてるらしいよ。
古川城を囲んでから10日後、敵の様子を十分観察した上で稙宗殿が総攻撃の合図を出した。
城兵も多い古川城の守りはだったが、伊達氏連合軍3千の攻撃は苛烈を極め、その猛攻は日没まで続いた。
二階堂の印地隊も前へ出すぎないよう調整しながらその攻撃を援護していた。
印地は楕円形の整った石を上手く投げれば400メートルぐらい飛ぶから、城壁の兵を邪魔するのにはある程度有効なのだ。
そして、城攻めは佳境となる2日目に入った。
読んでいただきありがとうございます。
大崎編は次回まで!
連休で少しストックが出来たので、今週は毎日投稿出来そうです。
でも、今週だけですよ。