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【休止中】神に祝福されし者(仮)  作者: ナトセ
第二章
20/23

第二十話 交渉終了!

契約事項を書き終わると、ミラさんが席を立ちいったん部屋を出ていく。

しばらく待っていると、その手に先ほどまでは持っていなかった袋を提げ戻ってきた。

おそらくあの中に引き渡しのお金が入っているのだろう、ミラさんがその袋をテーブルに置くと金属のこすれあう音がした。

そしてミラさんはボク達に先程書いた契約書二枚をボク達に渡し内容に間違いはないか確認を促してくる。

ボクはまだこの世界の文字は読むことも書くこともできないのでルーとコロナの二人に読み上げてもらうことにする。

ルーは契約書の文章を読み上げ、コロナはその読み上げに対し間違いがあれば指摘し、説明に不備があれば補足していく。

ボクはその内容をボク達の提示した条件と一致しているかの確認と判断をする。

契約書には先程の話で決めた盗賊たちの引き渡し後の処遇と盗賊引き渡しの報酬が書かれていた。

それらを確認したのちミラさんに書類を返す。


「確認終わりました。全て先程の条件が書かれています。この通り契約を結ばせていただきます。」


「かしこまりました。ではこちらに署名・・・は無理でし「大丈夫です、覚えました。」へ? あ、ああそうですかでは署名をお願いします。それと署名の隣に血判を押していただいてもいいですか? そこから簡易的な契約魔術をかけ書類の改竄や無断での契約破棄はできなくなりますので。」


「ええ、わかりました。」


ボクはミラさん指示されたところに先程、登録の際に見て覚えた文字を書・・・く前に念のため紙切れをもらい、試しに書いた後ルーとコロナに確認してもらいOKが出た所で書いていく。

そしてミラさんによって用意されていた少し太めの針で親指を軽く差し、名前の隣に血判を押す。


「はい、ありがとうございます。個人間の契約ではその下にもう一人の契約者の名前と血判をいただくのですが今回はあなたと協会との契約となりますのでこれで契約成立となります。ではこちらが引き渡し報酬の10000カルです。使いやすいように細かくして入れておきました。」


袋を渡されたのでミラさんに広げてもいいか了承を得て三人で中身を確認してみる。

袋の中には二つの大きさの硬貨が入っていた。

初めて見るがルーの説明通りなら小さいのが小銀貨、大きいのが大銅貨なのだろう。

数えてみると銀貨が8枚、銅貨が20枚入っていたので合計10000カルがきっちりと入っていた。

ボク達が確認している間にミラさんは人を呼び、後ろで立っている盗賊たちを牢屋に連れて行くように指示を出していた。

ミラさんが指示を出し終え他の職員が盗賊たちを連れて部屋を出ていくのを見た後、ボク達はミラさんと向き合う。


「確認できました。ではこちらはいただいていきます。」


「かしこまりました。では次は宿の紹介でしたね。何か希望はありますか?」


「ええと、最低限安心して寝泊りできる場所であれば大丈夫です。あとご飯がおいしい所であればうれしいです。予算は一人当たり一泊で1000カル程度でお願いします。食事代込みで4000程度ですかね?」


「なるほど、その条件でしたら協会側で紹介できるところが二件ほどあります。案内図を下で無料配布していますのでそちらを見て向かってください。ちなみに登録証を見せればランクによって割引もできますよ。仮登録証ですとそんなに割引されませんが。それと情報料は必要ありません。これは協会としての冒険者への最低限の補助ですから。」


「わかりました。ではありがたく使わせていただきます。」


「あ、それと、登録の際に魔術についても学びたいと言っていましたがそちらはどうなさいますか?」


「しばらくは協会への本登録のために時間を使わせていただきたいのでそれはまた後日ということでいいですか? 遅くても一週間程度で何とかできるかと思いますので。」


「かしこまりました。」


「では、これですべて終了ということでそろそろ退席させていただきますね。」


これでボク達が今日冒険者協会に来た用事が終了したので席を立ち部屋を出て行こうとする。


「ああ、ちょいと待った。一応まだ話は終わってないんだよ。もうちょいこっちに付き合ってもらってもいいか?」


と、グランさんに呼び止められる。


「すいません、お断りします。ルー、コロナ行こうか。」


「うん!」「はい、そうですね。」


ボクは丁重にお断りして二人を連れて部屋を後にしようとする。


「は? え、いや、ちょっ、ちょっと待ってくれないか。この通りだ、頼む!」


グランさんはボクの返答に一瞬呆然とし、すぐに我に返ると改めて引きとめようとしてくる。

正直なところ無視をしてしまいたい。

なにせ、面倒事のにおいが漂ってくるのだ。

しかし、ボク達はこの場で無視できない状況に陥ってしまった。

ボクは部屋の中の状況を一度確認してみる。


ボク達三人は席を立ち、出口へと歩こうとしている。

ボク達に頼み込んでいるグランさんは、何とも無視しにくい姿勢でボク達に向いている。

なんというか『この通りだ』という言葉と同時に一瞬で立ち上がり跳躍して土下座してきたのだ。

出口の方を向いたボク達の前に回り込んで、だ。

なんという早業、なんという迷いのなさ、と褒めたたえたいくらいであった

ミラさんはボク達に視線は向けてくるが席に座りおとなしくしている。

それはグランさんの速さについていけなかったからなのか、それともグランさんの行動に何らかの予想がついているからあえて放置しているのか不明であった。

何となく部屋の外の気配も探ってみると少なくとも5人、部屋の前にいた。

理由はわからないがこの状況を無視して部屋を出ると確実にグランさんが土下座をしているのが見つかってしまうだろう。

そうなるとボク達としてはいろいろとまずいことになる。

というか、見つかったのは職員であれ、他の冒険者であれ面倒なことになるのは目に見えている。

ボク達・・・少なくともボクは極力面倒事なんてものには関わらずに過ごしていきたいのだ。

こんな冒険者登録をしてすぐの本登録証をもらっていない時点で他の冒険者や職員の注目の的になるのはまっぴらごめんである。

ならここはグランさんの話を聞くだけ聞くしかないであろう。

ボクはそんなことを考えグランさんに対し明らかにめんどくさそうな顔を作り声をかける。


「わかりました。話は聞くだけ聞きましょう。」


「お、おお。それはよかった。では話をさせてもらおう。」


「ただしっ!」


「ん? な、なんだ?」


グランさんはそういうと席に戻り話をしようとする・・・ところで、一度話を切る。


「話をするのはいいですがその話に必ずしも了承するとは思わないでください。それともしその話が長くなったりしてボク達が今夜の宿をとれなくなってしまった場合は責任をとってくださいね。もちろん協会の経費からではなく、グランさん自身の自腹で、です。わかりましたか?」


ボクがそう問いかけるとグランさんは一瞬呆けた顔をした後「えっ?」という顔をする。

その顔はわかっていなさそうな顔であったが、ここは話を通させてもらおう。


「当り前じゃないですか。少なくともボク達は宿代がないから盗賊の引き渡しという取引をしに今日は協会まで来たんですよ。そして本来の目的が達成されたのにグランさんが(・・・・・・)引きとめて話を聞いていたせいで野宿する羽目になったなんて言うのは本末転倒ではないですか。だからもしそうなった場合は責任をもってボク達の泊まる宿を確保しボク達の予算より上回った場合はお金を出すのが普通ではないのですか? そしてそのお金を協会から出してしまうというのもおかしい話ではないのですか? ちなみにその場合はボク達は一切遠慮しませんのでそちらもご了承下さい。」


と、ボクが言うとグランさんは困った顔をして考え込み、ミラさんはこれまた落ち着いた様子で話を聞いていた。

もうミラさんはこの話に介入する気はないのではないだろうか?

ここでボクが『グランさんの自腹で』と言わず『協会の経費で』とでも言ったら話は違ったかもしれないが・・・。

ただ、あまりにもグランさんが困り果てた顔をしているので少しだけ助け舟を出すことにしてみる。

ボクも鬼や悪魔ではないのだ、あくまで面倒事は極力避けたいだけなのである。


「もし、それが嫌なのでしたらこちらからも提案があります。」


とボクが言うとグランさんはこちらを向き続きを促す。


「ボクからの提案は先送りです。詳しく言うと今日のところはグランさんの話の内容がどうあれボク達を一旦解放してください。そして後日またボク達を召喚すればよいのではないでしょうか? そんなに急を要する話ではないのでしょう? 」


「あ、ああ、確かにそうだな。ならそうさせてもらおうか。では次に開いているときに呼ばせてもらうから覚えておいてくれないか?」


「却下です。」


「は?」


グランさんの申し出にボクが即座に断るとグランさんはまたしても呆然とした顔をした。

そこでグランさんが立ち直って口を開く前に畳みかけさせてもらう。


「なんでボク達がそちらの予定に合わせなきゃいけないですか? 普通は話があるそちらがどんなに忙しくてもこちらに合わせて予定を開けるのではないですか? それに予想するに話をしなくても困るような内容ではないと思いますがどうですか?」


「た、確かにそうだが。」


「ならばなおの事ボク達にあなたが予定を合わせるべきです。話が通ればあなたの利点になる可能性が高いのですから。」


と、ボクがここまで言うとグランさんは何も言うことがなくなったらしく黙り込んだ。

なんというかものすごく乗せられやすい人である。

ボクの発言には正論も少しは含まれているがそれでもいくらでもツッコミを入れることができるものばかりだというのに・・・。

そんなことを考えているとグランさんが答えを出したようでボク達に対し口を開く。


「わかった。ならば今日はここで解散としよう。話についてはまた後日そちらとこちらの予定が合うときに声をかけさせてもらおう。」


という言葉で盗賊の引き渡し+αについては終わりこの場で解散となった。

ボク達は部屋を出た後特に周りに気にされることなく一階まで降りていき、パンフレットをもらってから協会を後にした。




そして、協会のある通りを着た時とは逆方向に歩いて約二十分ほど・・・。

一つの宿屋の前にボク達の姿はあった。

ボク達は三人そろって宿屋に入っていくと15歳くらいの少女が駆け寄ってくる。


「いらっしゃいませ。ようこそ、宿屋〈冒険の友〉ドルク支店へ。お客様はお泊りですか? それともお食事のみですか?」


「ああ、ボク達は泊りだよ。部屋は開いているかな?」


「は、はい、今確認しますので少々お待ちください!」


と言って店員の少女は奥に引っ込んでいった。


確認してもらっている間にある程度この宿屋について整理しておこう。

パンフレットによるとこの宿屋〈冒険の友〉は本部はカロン王国の王都にあり、協会の支部のある所には必ず支店を出しているカロン王国内の冒険者には有名な宿屋らしい。

宿屋内部はどの店舗も同じような作りになっていて一階は受付や従業員用の部屋と食堂、二階は客室があるというシンプルな構造らしい。

それに一階にある食堂は部屋に泊まらなくても利用でき、比較的安い価格でおいしいものが出てくるため人気があるとのことである。


この宿屋についておさらいしながら待っているとなぜか少し申し訳なさそうな顔をして少女は戻ってきた。


「お待たせしました。確認してきましたところ部屋は開いていました。」


「ああ、それはよかった。でもなんでそんな顔をしているのかな? 何か不都合なことでもあった?」


「は、はい。それはですね、部屋はあるにはあるんですが三人部屋が一部屋だけでして・・・。」


ああ、何となく店員の少女が言っていることが分かってしまった。

どうしよう、まずは誤解を解いてしまおうか。


「店員さん、大丈夫ですよ。その部屋を取らせていただいてもいいですか?」


「え? でも・・・。」


「大丈夫です。ボク、こんな喋りで恰好ですが女ですから。はい、今日作ったばかりでまだ仮の物ですけど協会の登録証です。」


と、登録証を見せると店員さんは驚いて固まる。

ついでにボク達の周りで食事をしていた人達も固まり食堂内の音が消え去る。

仕方ないとはいえ本当に今日は驚いてから固まる人が多い。

ボクが異世界に来てからまだ一日しかたっていないのに・・・。

そしてこの後の展開も読めるボク自身が少し嫌になってしまう。

元の世界ではあまり気にしていなかったけどもう少し女の子らしくした方がいいのだろうか?

もうこの性格などの内面的なものはどうにもできなさそうだから外見だけでも何とかしてみようか。

と、そんなことを思い今後はもう少し髪を伸ばしてみることにしてみる。

服装? おしゃれ? それは後回しだよ。

こんな気を抜けば一気に死に近づきそうな世界に来てしまった以上まず整えるべきなのは自らの身を守る防具なのだ。

おしゃれなど普通の少女がしているようなことをやるのは最低限この世界で生きていけるようになったときにやることである。

まあ、そんな状況になったとしてもボクの性格上進んではやらないだろうとは思うが・・・。

ボクが下らないことを考えているうちに固まっていた人たちが元に戻ってきた。


「「「「「ええええええええええええええええっ!?」」」」」


と元に戻ると同時に叫び出すのだから何ともうるさくて仕方がない。

しかも合図も出していないのにほぼ全員が声をそろえるものだからなおうるさい。

この状況を予想して耳をふさぎ、ルーとコロナの二人にも耳をふさぐように言っておかなければしばらくの間ボク達三人は耳が聞こえにくくなっていたかもしれない。

耳をふさぐ手を外すとまだざわざわと騒がしいが、無視をして話を進めることにする。

こういう状況は慣れているのだ・・・。


「さて、話を進めさせてもらっていいかな?」


「は、はい、すみません。ちょっと動揺してしまいました。確認はできましたので登録証はお返しさせていただきますね。それでは三人部屋を一部屋でよろしいですか?」


「ああ、それでお願いね。料金はどうすればいいのかな?」


「はい、では説明させていただきます。まず部屋代は三人部屋に一泊ですと小銀貨三枚となります。これは泊まる方が何人でも変わりません。例えば二人部屋に三人入っても二人部屋の金額である小銀貨二枚が部屋代となります。次にお食事ですが基本的にはどちらで食べてもかまいません。外で食べてくる方もいますし自分で作る方もいます。しかしたいていの方はここ一階の食堂で食べる方ばかりですね。ちなみにご自分で料理される方は二階に調理場がありますのでそこを使っていただいて構いません。ただし調理場には食材は何も置いてありませんので食材の調達は自身で行っていただく必要があります。あと、料理して余った食材などはこちらで引き取ることもできます。その場合は従業員のまかないとなりますので食材が余った場合はぜひこちらにまわしていただければ助かります。少々話が逸れましたが料金は部屋代は部屋に入る前、食堂で食事した場合は食べ終わった後お会計となります。宿泊日数は1日から30日まで可能です。これ以上についてはまた30日後に追加で払っていただくことになります。とこんなところでいいでしょうか?」


「・・・はい、ありがとうございます。質問の必要がないくらいきっちりと説明していただけたので助かりました。では、まずさっきの三人部屋を二日分払わせてもらおうかな? あと部屋に行く前に食事を済ませたいんだけどいいかな?」


「はい、大丈夫です。ではお席にご案内させていただきますね。」


そう店員さんは言うとボク達を開いている席に案内してくれた。

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