第十七話 町へ
今回は少々短めです。
ドガーーーーン!!!!
ボクが二人に遅れて岩陰に隠れるとすぐに爆発が起きる。
爆発は当然死体を燃やしていた方向からである。
そして爆発の音が聞こえると同時に爆風がボク達の隠れている岩に吹き付けた。
しばらくしてボクは爆風が過ぎ去ったのを確認すると、念のため数十秒待ってから岩陰から身を乗り出し爆発のあった方を確認する。
どうやら今の爆発で燃えていた火は消え去り、地面が直径二メートルほど吹き飛んでいた。
ボクは現在の状況を確認するため岩陰から出てそこに近づいていく。
ボクと一緒に隠れていた二人も恐る恐るついてきた。
コロナがボクに尋ねてきた。
「今の・・・何だったの? 爆発するようなもってさっきの場所にあった?」
いきなりの爆発で動揺しているのかさっきと口調が少し変わっていた。
「コロナ、落ち着いて。さっきと口調が少し違ってるよ。そっちの方が素の口調ならボクとしてはそのままでもいいけどね。あと、状況は説明するから今はちょっと待ってね。」
「っは!? ・・・は、はい。落ち着けました。口調については私がお願いした事が完全に終わるまで、けじめとしてこっちでお願いします。あ、でもユウさんの事信じていないわけではないんですよ。(むしろその自分でもわからないくらいユウさんの事信じてもいいと思っているし・・・。)あと、説明はちゃんと聞かせてもらいますよ。」
「そう、わかったよ。ルーの方は大丈夫だった?」
「うんっ!大丈夫だよぉ。それと、ルゥにも説明お願いしまぁす。」
「了解だよ。っと、説明する前に確認だけしちゃうから二人ともちょっとだけ待っていてね。「「はい!!」」うん、いい返事だね。盗賊たちはどうかな?ってやっぱり大丈夫そうだね。じゃあ、始めますか・・・。」
ボクは爆発した場所の状況を確認するため爆発跡をのぞく。
その中に残っていたものはほとんどなかった。
あったのは燃え残った少しの暗殺者の死体らしきものと、ボクの使っていたバッグのなれの果てであった。
目の前には見るからに爆発によって起こされた惨状が広がっている。
しかし、周りを見回すとこの爆発の跡以外には何もなく、本来なら爆発によって四方八方に飛び散るであろう残骸も一切なかった。
ふと思い出してみれば爆風は隠れた岩の方まで来たのに、それ以外の物が飛んでこなかったのも不思議なことである。
ボクはそれを疑問に思うが全く答えが出てこない。
可能性としては普通の爆発とは違うものだったのか、この世界での爆発は法則が違うのかくらいではあるが全く答えは出てこない。
こういうものは考えを一度放棄するのがボク自身の信条である。
この世界に来てからいくつも考えを先送りにしているような気もするがわからないものはわからないのだから仕方がないとある意味開き直る。
それらはともかく爆発の原因は簡単に想像がつく。
そもそもボクが二人に指示を出したのは爆発することに確信を持っていたからである。
原因は二つ、死体に放たれた火とボクのバッグの中身である。
死体に振りかけた液体へと放たれた火はいっきに燃え上がるが生体には燃え移ることはない。
しかし、物体になら簡単に燃え移るのだ。
そして、ボクのバッグの中には爆発物の材料が少なくない量入っていた。
ボクは盗賊たちに使った閃光玉などの道具を自分で調合していたのだが、それらを作るためにある程度の火薬を入れている。
そしてその火薬は時間が空いた時にいつでも道具が作れるようにバッグにしまっていたのだ。
なので原因を説明しようとすると次のようになる。
ボクが暗殺者の死体に火をつけた後、道具をしまおうとしてバッグを手に持ち開ける。
そのときルーが後ろから抱き着いてきて(いつものボクなら気配に気づくかもしれないが、敵意がなかったため気づかなかった)その拍子で蓋の開いたバッグを逆さまに火のついた死体におとしてしまう。
火はバッグの中にあった火薬などの爆発物に引火し爆発を起こす。
と、そんなわけである。
ボクは爆発での損害も確認していく。
とはいってもほとんど損害はなかった。
爆発の破片が一切飛び散らなかったという謎の現象によりボク達含め、人的被害はないうえに中心地の爆発の跡以外は周りにほとんど影響はなかった。
ただ爆発物が入っていて爆発の中心になったボクのバッグはほぼ跡形もなく消え去っており、中身も一切なくなるというボク自身の装備にはかなり痛手を与えていた。
幸い町までは近いうえ、武器はコロナの使っていた短剣と盗賊の使っていた安物っぽい剣は一本ずつ残っている。
それに、もともとこの世界のお金はまだ持っていなかったし、そのお金も盗賊を引き渡せばある程度は確保できるだろう。
まあ、見た目よりもかなり容量が多かったあのバッグを失ったのはかなり惜しかった。
さて、いつまでもなくなった物に対して未練がましくしていても仕方ないため気を取り直して確認を再開し、その後何も変わったことはないので二人に説明をしていく。
その過程でルーが飛びついてきたことが遠回しな原因だったことなどでルーが申し訳なさそうな顔をしていたが、ルーの頭をを撫でつけながら気にすることはないと伝えると、ある程度復活したようであった。
気を取り直して町へ向かう準備を行っていく。
とはいっても盗賊たちの護送準備は済んでいたし、暗殺者の死体も普通に燃やしてたらもう少しかかる予定だったが爆発のおかげで、ほとんど残さず始末できた。
あとは少しだけ残ったものを埋めるだけですんだ。
最後に盗賊の護送準備の最終チェックを済ませて準備は完了である。
さて、爆発の跡はどうするかというと、埋めていると時間がかかるので放置である。
そんなこんながあり、ボク達は盗賊たちを連れて町へと向かっていく。
ボクはルーとコロナが会話しているのを後ろから眺めながら盗賊たちを引き連れていく。
そして、間に二回ほど休憩をはさみながら歩き、盗賊に襲われた地点から出発して三時間ほどで町についたのだった。
ボクがこの世界に来てから初めての町に到着した。
ボク達は町への入口へ向かい、衛兵らしき服装の男達に声をかける。
ボクはこの世界での町への入り方などの常識を知らないため今回声をかけるのはルーとコロナの二人である。
「すいません。私たちは旅の途中なのですが、町へ入れてもらえますでしょうか?」
「ふむ、旅人か。後ろの縛られている男達は何だ? あいつらもお前たちの仲間か?」
「あの男達は違います。一緒に旅をしているのは私と隣のこの娘、それと一番後ろにいる彼女の三人です。残りの人達はこの町に向かっている途中襲ってきたので返り討ちにしたうえで、縛って連れてきました。その際少し怖いものを見たせいか心神喪失状態ですが、明日には戻っているだろうとのことです。」
まあ、詳細は違うのだが全部を説明するのも大変なので少しだけ改変して伝えるとにコロナは話していた。
「ほう、襲ってきたとな? よく三人で返り討ちにできたな。いや、出来なければ三人で旅なんぞしないか。よし、通っていいぞ。そこの縛ったやつはここに置いていくか? もしよかったら俺たちが護送していくが?」
「いえ、大丈夫です。私たち三人とも冒険者を目指していまして、その登録のための手土産としてでも届けるつもりです。」
「そうか、それなら自分たちで護送していった方がいいかもな。そうだ、出来れば協会に報告した後でいいから俺たちの方にも半分ほど引き渡してくれないか? おそらく協会の牢屋もそれほど広くないはずだからな。それに、ぶっちゃけてしまうと俺たちも手柄が欲しいんでね。そうしてくれると助かる。」
「ええ、わかりました。ではそうさせていただきます。捕まえた盗賊は八人いますので四人ほどそちらに引き渡しますね。」
「おう、そうしてくれると助かるよ。ああ、そうだ。引き渡すときに俺の名前を出してくれ。そうすればすんなり通るはずだぜ。俺の名前はバーツってんだ。」
男は笑って自己紹介してくれた。
というかこの男この町の兵士では名のある人なのだろうか?
名前を出すだけで話がすんなり通るって一兵士ではできないと思うのだが・・・。
「ええ、わかりました。自己紹介をいただいたので私たちもさせていただきますね。私はコロナと言います。隣の娘がルーナ、後ろにいる娘がユウと言います。と、そろそろ私たちも行きますね。早めに用事を済ませて宿を取りたいので。」
「おう。あ、そうだ。ちょっとだけアドバイスをやろう。知っているかもしれないが、冒険者協会に登録するには簡単な試験がいるんだ。まあ、最悪受からなくても登録はできるんだがある程度いい結果を残すと昇級が早くなるらしいぞ。頑張ってみてくれ。・・・おっと、長く引き止めすぎちまったかな。また、見かけたら声をかけてくれよ。」
「ええ、そうさせていただきますね。またご縁がありましたらお会いしましょう。」
そして、ボク達はバーツさんに見送られ町へ入っていったのだった。




