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【休止中】神に祝福されし者(仮)  作者: ナトセ
第1章
16/23

第十六話 後始末

コロナとの話を終え、ボクは盗賊たちの方に歩いていく。


正直なところコロナの要望は単純で、コロナ達家族を襲ったことを後悔させて、最終的に盗賊たちはしかるべきところに渡しさばいてもらおうとのことであった。

コロナは先程‶両親を殺した盗賊たちを殺したい‶と言っていたが、どうやら深呼吸をして冷静になったことで考えを改めたようである。

何でも、自分は殺すのにためらってできなかったのに、人に頼んでそれをやってもらうのは間違っているとのことだ。

それにこんなところでその場の憎しみだけで殺してしまうよりは、今ここである程度後悔してもらったうえで死ぬよりも辛い苦痛を与える方がいいとのことである。

コロナとの相談で、盗賊たちへのこの対応が様々な意味でボク達にもプラスになるような情報が手に入った。


さて、盗賊たちを渡す先というのは最終的に行きつくところは同じだが二つ存在する。

一つは各町に存在する兵士の駐屯所である。

そこは、主に各町とその周辺の村の警備を担当している場所であり、そこに勤める兵士は魔獣が襲ってきたときの対処や犯罪者の逮捕などを行うらしい。

もう一つは、冒険者の協会である。

冒険者は以前聞いたようにいわゆる何でも屋であるため、盗賊などの犯罪者の対処も依頼には存在するようである。

そしてもし盗賊を拘束し協会に渡した場合、いくらか報奨金がもらえるようである。

ついでに、駐屯所や協会に引き渡された犯罪者がどうなるのかというと、たいていの場合は奴隷商に流され犯罪奴隷となるらしい。

そして犯罪奴隷は一定の期間(犯罪の内容により期間が異なる)で買い取られなかった場合、鉱山などに売られそこで一生過ごすことになるのだとか。

ついでに、凶悪犯罪を行った者、王族などに間接・直接問わず危害を加えた者などは即座に処刑されるらしい。


これらの事を聞くとボク達にどういう得があるかわかるだろう。

ボク達は今夜の宿代もないほどにお金に困っている。

だが、ここにいる盗賊たちを協会に引き渡せば報酬が手に入る。

まあこれには冒険者協会に登録が必要ではあるが元々登録するつもりだったのでデメリットはない。

引き渡した盗賊は実際に襲われ捕まっていたコロナがいるし、ボク達も返り討ちにはしたが一般的には被害者なので現行犯扱いで引き渡し後、即座に奴隷商に流される。

特に男の犯罪奴隷で元盗賊という肩書きを持っている者は売り出し期間も短く、売れることもないため、そのまま鉱山行きで一生を終えることになる。

そのため協会に引き渡す前に後悔をさせそのうえでトラウマを植え付けておけばコロナの復讐は達成されることになる。

余談だが盗賊のリーダーと「そんな奴らには殺させない」という約束をしてはいたがこれもすでに無効となる。

実際、死ぬより辛いことになるだけで殺されるというわけではないし、そもそも約束をしたのは奴らの依頼主には殺させないというだけである。

そしてその依頼主は先程の暗殺者であることは盗賊のリーダーの顔色や状況から確定であるしその暗殺者はボクが排除している。

リーダーからは依頼を受けた時は依頼主一人だけだと言っていたため大元であるとある貴族には情報が伝わっている確率も低い。

まあ、何らかの方法で連絡を取っているなんてことも考えられるがそれでも盗賊たちが殺されるということはないだろう。

何せ盗賊たちは遠回しな依頼を受けただけであり、詳しい情報は一切知らない。

だからそんな奴らを相手にするより、コロナを手に入れるのを優先すると考えられる。


さて、そんなわけでボクは盗賊と今向き合っている。

そしてボクは盗賊たちに今後どうなるかを話していく。

本当は何も伝えずにやるのもいいわけであるが、コロナから徹底的に後悔させるよう言われているのであえて伝える。

すると盗賊たちは全員わめきだす。

八人がほぼ同時にわめいているためなんというかものすごくうるさい。

静かにしているのは暗殺者だけである。(というか死人がわめいていたらかなりのホラーである。ほとんどファンタジーの世界であるからいるところにはいそうだが・・・。ゾンビとかスケルトンとかが。)


「おい、話がちげぇじゃねぇか。質問に答えたら解放してくれるんじゃなかったのかよ。」


とはリーダーの言葉ではあるがそんなことは言っていない。


「はい? 何を言っているんですか? ボクはそんなことは一言も言っていませんよ。話さないとどうなるかわからないとしか言っていませんし、約束だって〈そんな奴らには殺させない〉と言っただけで開放するなんて言葉は一切使っていません。あなた達が勝手に間違えていただけだと思いますが。それにあなた達は殺されるわけではありません。ただ、人権を奪われ死ぬまで働かされるだけなのですから。」


とボクが答えると幾人かが黙り込む。

しかしそれでもわめく奴らはいるので続けて話す。


「というよりこの処遇はあなた達が盗賊をやっている時点で当たり前ではないですか。どんな事情が在れど実際に彼女の両親を殺したのは事実であり、それはどんなことがあろうとも覆りません。あなた達は彼女の件だけでも許されないことをしています。だからボクに気絶させられ捕まった時点ですでに今後自由に生きられる明日は失われているのですよ。」


なんて話すがそれでも往生際の悪い奴らはわめき続けることは予想できるため最後の言葉に合わせ奴らの意識が飛ぶギリギリのラインで威圧もかけると盗賊たちは黙りこくる。

盗賊たちが状況を理解し黙りこくったのでやっとここからがコロナのからの正式な要望をかなえるときである。

しかし、今後犯罪奴隷となって最終的には鉱山などの肉体労働が必要な場所に売られるとなるとやはり最低限動けるようにおくのが良策である。

それに、奴らが後悔しているかどうかは本人しかわからないためここは徹底的にトラウマを植え付けることにする。

これらについてはコロナに事情を説明すると確かにそうだと納得し賛同も得ている。


というわけで盗賊たちの心にトラウマを植え付けていくわけだが、なんというか一時間もかけず八人全員終わってしまった。

やったことを簡単に言えば、トラウマを植え付ける人物に目隠しや耳栓などで五感をいくつか封じ、あとは適度な威圧で精神的に圧力をかけながら、一定の刺激を与え続けるだけである。

他の人達はもっと時間や労力をかけじっくりと行うものらしいが、ボクはこれだけで済んでしまう。

何でもボクがこういう時に使っている威圧は性質が違うというのは例のごとく友人の推測である。

ついでに状況に応じて無意識で使い分けているらしく、ボク個人としては全くと言っていいほど自覚はない。

本来の威圧は人や獣に対し殺気や害意を放ち、相手の生物的な本能にこいつはかなわない相手だとわからせるものらしい。

そのため自分より能力が格上の相手には通用しなかったり、恐怖を与えることもできるがそれ以外で精神への影響はほとんど存在しない。

まあ、格上とはいっても相手が弱っているときなどにかけると効くことがあるなど例外はあったりするが・・・。

ボクが森の中やルーに対して使ったのはこっちの威圧である。

だが、ボクが尋問時や拷問時に使っている威圧は少し違う。

実際に友人に対し尋問をしたことがあった。

その理由はほんの些細なことで、ボクが後で食べようと冷蔵庫にしまっていたものがその友人に食べられてしまったことがあった。

その時に軽くその威圧も使っていたらしく、かなりひねくれたやつだったのにすんなり答えてくれた。

後日その事について詳しく聞いてみると心の中にボクが直接入ってきているような感覚であったとのことだった。


まあそんなボクの昔話は置いておくとしてこれで盗賊たちのトラウマを植え付けることには成功した。

問題点を言えば様々なトラウマをしかも短時間で植え付けたせいで心がついていけず、催眠状態に近い状態になっていることである。

正直に言えばやりすぎた。

おそらく完全に意識が戻るまで3時間はかかるだろう。

現在盗賊たちは完全に呆然としたまま座り込んでいる。

というわけでコロナの方を確認すると満足そうにしていた。

どうやらボクが盗賊たちに対し行っていたことを見て、何とか恨みは薄れたのだろう。


それとルーはというとコロナとの相談の最中はたまにボク達の話を聞いていた。

その後念のため周囲に危険な気配がないかの確認に行かせたりはしていた。

コロナに危険ではないかと確認されたが、ルーは竜族であるからそこら辺の輩には遅れはとらないだろうからコロナには理由を説明しないながらも大丈夫と説得はしていた。

そのうえボク自身も盗賊たちを相手しながら気配を探ったりしていたがその間なんの異常もなく済んだ。

今は退屈だったのか近くの岩にもたれかかり昼寝中である。

約一時間盗賊たちの悲鳴などは絶え間なくルーのもとにも届いていたはずである。

それなのに何事もなく昼寝を続けているルー。

普通の人ならこんな状況で昼寝なんかできないのに・・・。

なんというかルーは様々な意味で大物かもしれない。


さて、そろそろ町に向かわなければ日が暮れかねない。

町は見えているがそれでも歩いていくと1,2時間かかってしまうだろう。

いや、盗賊たちも連れて行かなければならないのでおそらくプラス1時間は見ておいた方がいいかもしれない。

今は何時かはわからないが太陽は段々と傾いてきている。

本来なら盗賊に襲われたりしなければすでに町について、冒険者協会に登録をして簡単な依頼を受けて宿代を稼いでいたのかもしれない。

だがまあ、町につく前に宿代のあてができたと考えれば同じことなのかもしれない。


そんなわけでボク達は町へ向かう準備をしていく。

コロナにはルーを起こしに行ってもらい、ボクはある程度やっておかなければならないことがあった。

それは盗賊たちの護送準備と先程排除した暗殺者の後始末だ。

盗賊たちの護送準備とは言ってもそんな難しいことをやるわけではない。

元々拘束は済んでいるし、催眠状態に近い状態のため一定の手順で命令を与えると素直に従ってくれる。

万が一その状態が護送中に解けたとしても植え付けたトラウマによってボク達に逆らうことなど一切できない。

当面でやることと言えば盗賊たちを拘束した縄を繋ぎ、護送しやすくするだけなのでバッグから追加の縄を取り出し盗賊たちを一列につないでいく。

次にやることは暗殺者の後始末である。

流石に町まで死体を担いでいくなんてしたくはないし、ここに放置していくわけにもいかないだろう。

いくら魔獣という存在が出没しいつ死を迎えるかわからないこの世界でも、こいつを放置しておくのはまずすぎる。

もし、暗殺者の雇い主や関係者がいつまでも帰ってこないのを不審に思い、探し始めたら簡単に見つかってしまう。

そうなると、暗殺者をやった人物・・・つまりボクが狙われかねないのだ。

だから、ここで徹底的に処分しておくのがベストなのである。

さて、処分していくわけだが方法はいくつかある。

地面に埋めたり、燃やしてしまったり、この近くに魔獣の住むエリアがあればそこに放り込むのもありと言えばありなのだろう。

ここは燃やすことにする。

地面に埋めてももし掘り起こされたりしたら発見されるし、魔獣なんてこの近くにはいないのは気配からわかる。

まあ燃やすだけだと、骨など残るかもしれないのでそれらは埋めるかもしれないが・・・。

ボクはバッグからとある液体の入った瓶を取り出す。

この液体はボクの仕事先から支給されたもので、ものに振りかけて火をつけると一気に火が強くなり対象を燃やしてしまうものである。

何故ルーとの戦闘や盗賊相手に使わなかったかというと、何故か生きているものには反応しない謎の火を放つ液体なのである。

さて、これを死体に振りかけ、バッグから火打石と紙を取り出す。

ライターやマッチじゃないのは、もしサバイバルをする羽目になっても火が起こせなくなる何てことを防ぐためである。

紙を細長く丸めて火をつけ、火が消えないうちに放り込む。

ボクは死体に火が付くのを確認しバッグに道具をしまおうとしたときそれは起こった。


「ユウ~。何してるのぉ?」


とそんな言葉をかけながらコロナに昼寝から起こされたルーがボクの背中に飛び乗ってきたのだ。

その拍子で手に持っていたボクのバッグが離れてしまう。

そしてバッグは開いた状態のまま逆さまに燃える火の方へ。


「まずいっ! ルー、コロナ今すぐ走って近くの岩の陰へ!」


ボクは二人に向かって叫ぶ。

二人はボクの指示に素直に従ってくれた。

ついでに盗賊たちは離れた場所にいるので大丈夫だろうと判断しボクも走り出す。

そして、ボクが二人より少し遅れて岩陰に入ったときそれは起こった。


ドガーーーーン!!!!!

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