第十三話 暗殺者
今回は話を途中で切るのをためらい、続けて書いていたらいつの間にか4000字超えていました。
読みづらい所もあるかもしれませんが最後まで読んでいただけると幸いです。
さあて盗賊たちの尋問を始めましょう。
聞きたいことは三つあった。
一つ目、この少女について。
二つ目、この少女についている首輪についての詳しい情報。
三つ目、なんでボク達を襲ったのか。
まあ一つ目から順番に答えてもらおう。
「まずはあなたたちと一緒にいる少女について教えてもらっていいですか? あなたたちを見た時の表情や態度からみてあなたたちの仲間ではないですよね?」
こういう時、笑顔でかつ敬語で話すと相手はすんなり話してくれる。
なんでだろうと考えてもわからないので仕事での知り合いに聞いてみると「ほとんど無表情の奴が笑顔を浮かべていると何をしでかすかわからない。」とか「敬語を使われているのになぜか敬われている感じがしなく、むしろ脅されている感じがする。」とか言われた。
そんなことを言われても全く嬉しくないのだが、尋問にはかなり役に立つのでこの方法は変えるつもりはない。
「あ、あいつは奴隷だよ。お前たちを襲う前に奴隷商人に売るために襲って捕まえたんだよ。」
「ふむ、そういうことですか。」
しかしここまで脅されておきながらこの男、嘘をついている。
目がかなり泳いでいるし、声の震え方からも何か他にも隠していると判断できた。
なので右の太腿に突き立てた短剣を一気に差し込む。
「うがぁぁぁぁぁ。」
「おい、なんで刺したんだよ! ちゃんとお前の質問には答えただろうが!」
刺された男は痛みで声をあげ、周りの男たちはボクに抗議する。
今の声にルー達が驚いていないか二人の隠れた岩を確認するがこちらを覗いてきてはいない。
ルー達はボクの言ったことをしっかり守っているようである。
「だって彼、本当の事を全部答えてないじゃないですか。ボクは最初に言いましたよ。全て正直に答えなければ刺していくと。ボクはあなた達が嘘をついているかどうかわかるとも。さて、今度こそ答えてもらいましょうか。でないと次は左足ですよ。」
と言ってボクは笑顔のまま痛みで声を上げる男の血を止め(尋問中に血を失いすぎて倒れられても意味がない)今度は左太腿に短剣を向ける。
すると、再度短剣を向けられた男は恐怖を顔に浮かべ全身を震えさせる。
だが震えるばかりで男は口を開かない。
しょうがない、ここはもっと脅しつけてしまおうか。
ボクはそのままの体勢で今回は威圧も加えながら男に問いかける。
「どうしました? 早く答えないとまた刺してしまいますよ? このまま動けなくなるよりはさっさとはいて楽になった方がいいんじゃないですか?」
「ひいっ。わ、わかった。話すからこれ以上は刺さないでくれ~。」
「そうです。それでいいんですよ。では本当の事をきりきりとはいてもらいましょうか。他にもまだまだ聞きたいことはあるんですからね。しっかり答えてくれたらこれ以上刺さないうえに話次第では開放もしてあげましょう。」
「ほ、本当か? 「ええ、本当ですよ。」じゃ、じゃあ話してやる。あの娘を襲ったのは本当だ。正確にはあの娘の家族ごとだけどな。」
「ええ、そこは嘘を言っていないようですね。ではなんで襲ったんですか? まさかただ金品だけを狙ったわけではないですよね。それならあの少女だけを奴隷にしないでしょうし。それに商隊などを襲うではなく少女の家族を襲うなんてないでしょう? 」
「そ、それは言えねえ。「何故ですか?」や、やめろ。刺そうとするな。こっちにも事情があるんだ。」
「へえ、事情ですか。その事情とやらを言ってください。それ次第では聞くのはやめましょう。」
「そ、それは・・・襲った理由を話すと俺たちは殺されるかもしれねえ。それだけは嫌だ。」
「ほう、殺されるですか。ではあなたたちは少女を捕らえることを依頼されたというところですかね。するとあなた達はその依頼主もしくはその関係者に殺されるかもしれないと。いや、そんな驚いた顔しなくても簡単に予想できますよ。ではこうしましょう。話してくれたらあなた達をそんな奴らには殺させないようにしてあげましょう。それならどうですか?」
「お、おう。それは本当だろうな? 本当に俺たちは殺されずに済むのか?」
「ええ、約束しましょう。あなた達はそんな奴らには殺させないとね。」
「わかった。なら話そう。俺たちはとある国の貴族に雇われたんだ。町の外に出たあの娘の家族を襲って母親と子供に隷属の首輪をつけてつれてこいとな。それと父親は殺して、母親は抵抗したら殺してもいいと言われていた。」
「なるほど。だからあの少女だけ連れていたんですか。では彼女の両親は殺してしまったと。そして彼女を待ち合わせの場所にでも連れていく最中にボク達を見つけて襲ったんですね?というかなんでボク達を襲おうとしたんですか?」
「ああ、そうだ。それは母親を殺した場合は報酬を減額されると聞いていたんだが、お前の連れを依頼主に差しだせばある程度は減額を免れるんじゃないかと思ったからだ。それにいうことを聞かなくてもあの娘の母親に使うはずだった首輪が残っていたからな。お前を何とかした後首輪をはめちまえばこっちのもんだと思っていた。結果はこのザマだがな。」
男はそういうと頭を垂れる。
なるほど、そういう経緯があったのか。
それに嘘もついてはいないようだ。
何とも口が軽い男である。
ただの口約束で安全を約束しただけで本当の事をべらべらと話してしまった。
こういう自分の命が書かていそうなときはただの口約束だけではどんな目に合うかわからないのに。
さて、男はこっちの質問が終わったような態度をしているがまだ終わってはいない。
「あの、まだ質問は終わっていませんよ。さっさと顔を上げてください。では、この隷属の首輪の事です。先ほど少し話に出ていましたがあの首輪はあなた達の所持品ではないんですか?」
「あ、ああそうだ。あの首輪は依頼主から渡されたものだ。聞いた話じゃ命令をすれば心が拒否しても意識がある限り命令通りに行動する魔術が付与されているらしい。こんな代物使う輩滅多にいねぇよ。」
「なるほど、そんな効果があるんですか。あ、もしかして・・・少々聞きたいことがあるんですが良いですか?」
「ああ、何だ? 俺たちとしてはさっさと解放してほしいんだが。ちょっと待て短剣を刺そうとするんじゃねぇ。」
「文句を言わずに返事だけすればいいんですよ。それで先程あなた達を気絶させたあとなんですが彼女も気絶させようとして近づいたんです。しかしなぜか襲ってきたんですが、それって誰か彼女に命令をしていたんじゃないですか?」
「ああ、そうだ。万が一俺たちを通り抜けてあの娘に近づいて来たら反撃するように命令を出して短剣も持たせた。」
「なるほど、今の答えでやっと全部がつながりました。では、尋問を終了しましょうか。」
「よし、ならさっさと俺たちを解放してく・・・うおっ! なんだ?」
男が言葉を最後まで言い切る前に何かが飛んできた。
それは縛られている男たちの一人から投げつけられていた。
ボクは即座に移動しそれを男に届く前に手に持っていた短剣で弾きそちらに目を向ける。
するといつの間に縄を外したのか盗賊の一人が立ち上がっていた。
「なんか一人だけ気配が違う奴がいると思ったら暗殺者が混じってたんだ。さて君はこれからどうするのかな?」
ボクはその男に対して問いかける。
「ここでお前の後ろの男を始末して主に事の顛末を伝える。できればあの娘以外皆殺しにしてあの娘を主に持っていきたいところだが、貴女の力量を見る限り無理そうだ。しかし最悪相打ちになってもその男だけは殺していく。」
「ほう、そう来るんだ。本来ならこの男を見放すところなんだけど、あなた達には殺させないと約束していてね。ここは妨害させてもらう・・・よっ。」
そう言い終わるか言い終わらないうちに暗殺者が接近してきて後ろの男を狙う。
ボクはそれに対し短剣を男の進路に構え、そして振りぬく。
暗殺者はボクの横を通り抜け、後ろの男に懐に忍ばせていた小型の刃物を突き付けようとするがあと一歩のところで届かずにバランスを崩し男の横に倒れこみ、しばらく痙攣した後動かなくなる。
そして倒れた暗殺者の首元と足首の後ろから血が出てきた。
ボクはその暗殺者のいた場所に立っている。
「な、何だ? 何が起こった?」
襲われそうになった男は今の出来事についてこれてなかった。
そう対暗殺者戦なんてこんなものである。
油断すれば一瞬で決着がつき、身体の反応速度、頭の回転の速さなどによって即座に勝負が決まる。
本当は暗殺者を生け捕りにするのが理想ではあるが、それは存外難しい。
なんせ相手の瞬発力や一瞬の交差でのやり取りで捕まえることはできない。
もし相手との交差で捕まえたとしても、大抵の暗殺者は自分から情報が漏れるのを防ぐため自決の手段を持っているので、捕まえた瞬間や尋問中に自害してしまうのだ。
だからボクは一瞬の交差で首元を切り裂き、そのまま方向を変え姿勢を低くして片方の足の腱を切った。
ただ喉を切り裂くだけでは最後のあがきで情報を喋った男に倒れこみ道連れにしかねないため、足の腱を切り男のいる場所とは別の方向にバランスを崩してやる。
それが一瞬のうちでできた暗殺者への対処法であった。
さて、これであの少女を狙った大元の情報は掴めなくなってしまった。
何? 目の前の男に聞けばいいって?
そんなのは無駄というものだ。
なんせ、貴族が直接盗賊をやっている者たちに依頼するなんてありえない、おそらく仲介人を立てているだろう。
そしてその仲介人は今襲ってきた暗殺者と考えるのが妥当だろう。
おそらく暗殺者は最初は仲介人として顔を隠し男に接触し依頼を与える。
そして男が仲間を集めているときに顔を出し仲間になる。
最後に男と集めた仲間が依頼を達成し引き渡し場所に向かう間か着いたときに全員を殺し少女だけを回収し主に届ける。
という計画を立てていたのではと考えられる。
男達と行動していた理由はもし情報を喋った場合、いつでも殺すことができるからではないだろうか?
そしてそれは暗殺者の懐を探ると一枚の文書が出てきた。
それを読んでいくとボクの予想がその通りだとほぼ確定した。
しかし名前の記入がないにしろこんな重要な文書を処分しないなんてこの男も間抜けですね。
ただこの文書の事が本当の事か念のため男に確認しておこう。
「あの呆けているところ悪いんですがもう一つだけ答えてもらってもいいですか? もちろん拒否権はありませんが。」
男に突き刺し暗殺者を切りつけて血に塗れた短剣を男に向けて回答を促す。
「わ、わかった。だがこれに答えたらそれ以上は答えないからな?」
「ええ、約束しましょう。さて、あなたの横で死んだ男は暗殺者のようでしたが彼はいつからのメンバー何ですか?」
「あん? こいつは一番の新入りだ。今回のでかいヤマをどこかでかぎつけてきて仲間に入りたいと言ってきたんだよ。ウチは来るもの拒まず去る者は殺せという信条でやっていたんでな。二つ返事で入れてやったんだがまさか依頼主様の手下だったとはねぇ。こりゃあ一本取られたわ。」
「いや、おそらく一本どころかこのままあの少女を連れて行っていたら皆殺しにされてましたよ。口封じのためにね。その証拠に彼の懐からこんな文書が出てきました。これには名前の一切ない命令書が入っていましてね。そこに依頼した盗賊に潜入し取引せずに皆殺しにして対象だけ連れてこいと書かれていました。」
とここまで言ってボクはなぜ異世界なのに言葉だけではなく見たことのない文字まで読めているのだろうと疑問に思ったがこれについて考えるのは後にした。
「ということはなんだ? 俺たちはこの横の男と依頼主の大元に踊らされていたということか?」
「まあ、簡単に言えばそうなりますね。」
なんてボクが答えてやると男は顔を伏せ、うなだれてしまった。
今回も投稿前に一通り誤字脱字などの確認を行っているのですが、万が一ありましたらご指摘お願いします。
読んでいてわからないところなどありましたらその辺りもご指摘いただけるとありがたいです。
確認後返答できるようでしたらさせていただきます。




