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遭遇する/ゆめ/忘却
遭遇する
目を瞑って座り込んで膝を抱えている間に怖いものや嫌なものは頭の上を通り過ぎてくれると思うのは大きな間違いだ
怖いものや嫌なものは血走った目を開いて震えるお前の頭をずっと見つめている
見つめている
ずっと
ずっと
ずっと
お前を見つめている
顔を上げてみろよ
ほら、
間違っていただろ
夢
夢の中で手帳に這う小さな虫を見つけた。無意識に指で潰す。あ、と思い出した。この手帳は私の人生で、今親指と人差し指のあいだで無惨にひしゃげた虫は私自身だったのだ、と。
そういうわけで夢は永遠に覚めることは無くなった。
忘却
痛みはない
罵る相手は自らの中に探そう
我々の首は重すぎた
嘆く相手は自らの中に探せよ
痛みはない
痛みはない
痛みは、忘れた




