叱られましょう
「このバカ!!」
アカネの脳天に怒声と共に拳が振り下ろされた。
「っ~~!!」
アカネはあまりの痛さに頭を抑えて悶絶し、自分より背が高く、拳骨された人物を睨みつけた
「全く!!何回言ったらわかるんだい!!」
腰に手を当ててアカネを見下す腹周りが少し大きい巨体の女性がアカネを叱っていた。
「ごめんなさいお母さん、お父さんの書庫から本を盗んだのは謝るから……」
巨体の女性はアカネの母、フキであった。シュンと涙目を浮かべているアカネにフキは冷めた目で見下していた。
「そんな嘘泣きがこの母親である私に通用するとでも?」
「………………チッ」
アカネは「バレたか」と言うような表情をして小さく舌打ちをした。叱られているにも関わらず、反省の色が全く無い。
「あれ?あんた今舌打ちした?」
フキはアカネの頬を掴み挙げた。
「いっへまへん(言ってません)!!」
そんな時「ただいまー」と気の抜けた声が玄関の扉を開けると同時に聞こえた。
「あらお父さん」
フキがアカネを掴んでいた手の力を緩めた。アカネはすぐさま玄関へと向かった。
「おかえりー!!お父さん!!」
アカネは父である人物に抱きついた。男はアカネを抱き上げた。
「アカネただいま、いい子にしてたか?」
黒縁眼鏡をかけて、白髪が目立つ黒髪を後ろで束ねた見た目40代の30代男性の名はフジ、アカネの父親である。
「この子がいい子だったらアナタの書庫から本を取り出して