伍
「お早う御座います。魔王様」
「お早うエルリーデ。
ゴブリン達の様子は?」
「二十七体ゴブリンの内、七体がホブゴブリンへランクアップしました。
ゴブリンを増やし、ホブゴブリンへ兵を預ける事を推奨します」
「わかった」
ゴブリンを八十体作る。
「ゴブリンを皆集めてきてくれ」
「分かりました」
中央の開けた所に集めてもらう。
各ホブゴブリンに十体ずつゴブリンを指揮下に置かせる。
「今から、各村を平定しに行く。
二つのグループはこの村に残り、基本的に村長に従え。
分かったな」
「「ハイ」」
「残りのグループは俺について来い」
「「ハイ」」
村の者一人に案内されて、別な村へ向かう。
最初に村の者にこの事を伝えてきてもらい、村人の安全の確保が出来てから突入する。
盗賊の殲滅が終わった後、話しを付けて、ゴブリンを一部隊だけ残して出発。
これを五回繰り返した。
「次で最後の村です」
何故か緊張した顔で言う。
「どうしたんだ?」
「次は村。と言うよりも、盗賊の村です。
つまり、盗賊の頭領が住んでいます」
この世界の盗賊は弱肉強食である。
盗賊の中でも強いものは、トップに立つ。
中でも弱いものは下っ端で、様々な汚れ仕事を任せられる。
頭領周りにいる盗賊達は、必然的に頭領の次ぐらいに強い。と言うことであり、今までのように、一筋縄では行かないのである。
今の問題は、ゴブリン三部隊だけで大丈夫なのかどうか。
リーダーのホブゴブリンは貴重だからやられたくはない。
そうなると……あれしかないな。
◇ ◆
二匹のゴブリンが村に向かって歩いていく。
案の定、見張りがいてすぐにゴブリンが発見されてしまう。
すると、別の所からまた二匹。
また二匹。
二匹。
二匹。
あちらこちらの家から盗賊達が出てきた。
その中に一際目だった盗賊がいる。
一回り大きい盗賊だ。おそらくそいつが頭領だろう。
あらかじめ指令を出しておいたホブゴブリンが家の屋根に上って、上にいた弓兵を殴り倒す。
行け。の指示と共に、五十体ものゴブリンが一度に村に突進した。
頭領が冷静に指示をだす。
盗賊達は、盾を持った奴らを前にして、前方に対しての防御体勢をとる。
別働部隊が動く。
盗賊達を闇討ちしながら、頭領を殴り倒す。
一気に頭領を狙ってしまおう。という作戦だった。
頭領を倒すことには成功した。
だが、すぐ別の盗賊が指揮を執り始めた。
組織体制として、かなりのモノだろう。
指令を殲滅に切り替える。
程なくしてその場にいる生きている人間は居なかった。
ここには盗賊以外居なかったので、村に戻る事にした。
村長に事を話した後、エルリーデが色々と報告があると言っていたのでエルリーデが居る家に向かう。
「お疲れ様です、魔王様。
全体の被害はゴブリン二十三体。ホブゴブリンは負傷もしませんでした。
魔王様のスキルのレベルが上がり、ゴーレムを作る事が出来るようになりました。
ゴーレムは拠点防衛に向いており、先代の魔王様も村に何体か配置しておられました」
早速外に出て、ゴーレムを作ってみる。
地面が盛り上がり、徐々に人型になっていく。
目の辺りが鈍く光る。
出来たのは二メートルを越し、腕は地面すれすれまで垂れ下がっている土人形だった。
「脆そうだな」
「いえ。魔力で表面を覆っていますので、ゴブリンのパンチ程度なら問題なく防ぐことができます。
ただ、魔法攻撃に弱いです。宮廷魔術師のファイアボール程度でも耐えられないでしょう
。
ですがランクアップすると、更に強固になり魔法への耐性もつきます」
「そうか。ほかのゴブリンはどうなっている?」
「二体を除きランクアップしそうです。
最初のホブゴブリンの三体はランクアップすると予想されます」
「一体何になるんだ?」
「不明です」
不明なのか。一体どうなる。っていうか、どうやって姿形が変わるのだろう?
「寝ている間に繭に包まれ、骨格さえも変わってしまう変化を遂げます」
「へ、へぇ」
聞こえてたのかよ……。
「もちろんです」
「……」
「なんだかお疲れのようですね。
おやすみなさい。魔王様」
これは……眠りの魔……法。
◇ ◆
朝だ。なんだか、体が軽い。
ベッドの上? そうかエルリーデが。
「お早う御座います、魔王様」
「お早う、エルリーデ。
昨日はありがとね」
「いえ、私こそ突然眠らせてしまい、申し訳御座いません」
「いいよいいよ。
マッサージもしてくれたんでしょ?」
「はい。勝手にしてしまってすみません」
「ありがとう。
それより、ホブゴブリンはどう進化した?」
「はい。
一体はホブゴブリンの上位種であると思われる、オーガに。
一体はバンパイアに。
一体はリザードマンになりました」
「吸血鬼って血が必要だよな?」
「はい。血、と言うよりは血の中にある魔力を吸っています。
魔王様の血なら月に一度以下で済むと思われます。
後、性別の違いがはっきり出るようになりました。
オーガは男。
バンパイアとリザードマンは女です」
「どんなもんか見て見たいから案内して」
「分かりました。
こちらです」
民家の内の一つへ歩き始めた。