表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国作りをしよう  作者: 廉志
第一章 村作りをしよう
8/10

第七話 買い物をしよう

1グルカ=100円です。

硬貨の作中での説明はもう少し先になると思います。

交渉はうまくいった…………とは言い難かった。


ハームとの交渉をジェイクが請け負ってから約一時間。

さすがにほとんど商売に関する知識を持っていないジェイクにとって、物を売るという単純なものであっても難しかった。塩の単価すら知らなかったのだから難航したのは当然だと言えるだろう。しかも計算方法すら分からなかったのだから大変だ。

だが、そこはトールが一目置いているジェイクである。

トールからの助言を聞きながらではあるが、急激な速さで交渉術を身につけ、最終的には「素人にしちゃ十分合格点だ」とハームに言わせることができたほどだ。




「岩塩二十トルクで580オルカと8グルカですか……まあこんなものでしょう」


トールが財布に入った硬貨を覗きながらつぶやいた。

ハームの店で岩塩を売った分の硬貨がすべて入っている。

この地方の塩はトルクあたり約30オルカである。極端に塩が高いわけはトールたちがいる地方が内陸部にあることが挙げられる。

塩を大量に採ることができる場所が商業組織をほぼ独占している『教会』により、多額の税金が課せられているからである。

よって、この地方の塩の価値は沿岸部と比べるとなんと百倍近くの値が付いているのである。

ちなみに、合計で600オルカに届かなかったのは、トールたちが持ってきた岩塩の中に質の悪い物が含まれていたため若干安くなってしまったためだ。


「えーっと……今回買うものって三十人…あ、メイドとあんたの分も合わせるから三十三人分か……今更だけど、そんな量の食料を持って帰れるのか? 私たちは三人しかいないんだぞ?」

「畑で栽培している物もありますから買う分は少し減りますけどね。持って帰る時には馬車も使う予定なので」


そう言って『馬車屋』と看板に書かれた店に入る。

ハームの店に比べると内装は少し質素な店だ。


「御免下さーい」


店に入っても一向に出迎えが無いため声をかけた。すると、すぐに店の奥から店員らしき老人が顔をのぞかせた。


「……いらっしゃい。今日はどういう御用件で?」

「実は荷馬車を買いたいのですが、見せていただいても良いですか?」


お世辞にも愛想の良いとは言えない店員に連れられ店の奥に入ると、そこには数頭の馬が室内の檻に入っていた。どうやら、店と馬小屋がつながっている設計のようだ。


「……荷馬車と言ったが、どの程度の大きさをご所望で? 『大』で1000オルカ。『中』で500。『小』なら300オルカだ」

「…………一番小さい物は積載量はどの程度ですか?」

「最大で八百トルクって所だ」

「なら一番小さいのをいただけますか? 出来る限り元気な馬でお願いします」


トールが現在持っている金額ならば中の馬車も買えそうだが、食料なども買う必要があるためそこまでのお金は使えない。

ちなみに奴隷と比べて馬車が安いのには理由がある。

人間の労働奴隷の場合、一人当たり約500オルカ。獣人族(ビストロイド)は約1500オルカで取引されている。

奴隷の値段が馬よりも高いのは馬よりも寿命が長く、さまざまな用途で使えるからという理由だ。

獣人族(ビストロイド)の値段が高いのは、人間と同じ体格ながら馬並みの体力を持っているからである。


「……考えておこう。準備に数時間かかるが、店内で待っているか?」

「いえ、他にも買い物をしたいので時間が経ったらまた戻ってきます」





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ひとまず馬車屋を離れたトールたち。

持てる程度の食料を買い込んだあと、トールとジェイクは宿屋に来ていた。ちなみにイリーナは「もう少し町を見ていたい」ということであたりを散歩している。


「いらっしゃいませ! 本日はお二人ですか?」


宿屋の店員が声をかけてきた。馬車屋の店員と違比べ大分愛想がいい。


「いえ、あとからもう一人来ますので三人です」

「かしこまりました。では大部屋をご用意いたします」

「えーっと……一人は女性なので二部屋にしてもらえますか?」

「左様でございますか。では二部屋をご用意させていただきます。別部屋となりますと、奥様ではないのですね? でしたら売春婦をご用意いたしましょうか? もちろんお二人分を」


店員の言葉に顔を赤くするトールとジェイク。

店員は気を利かしたつもりだったが、あいにく二人ともこう言ったことには耐性が無かったようだ。


「い、いえ! 結構です! 間に合っていますから!!」


頭を大きく振ってトールが拒否する。だが、そのことがおかしな誤解を生んでしまうことになった。


「え…………ああ、そちらの方とはそういうご関係でしたか。申し訳ありません、差し出がましいことをいたしました」


店員が申し訳なさそうに頭を下げる。

トールとジェイクはその光景の意味が分からず首を傾げる。しかし、しばらく考えていると二人の頭にある言葉が浮かんだ。




『同性愛者』




二人は顔を見合す。


「「違います!!!!」」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ