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国作りをしよう  作者: 廉志
第一章 村作りをしよう
6/10

第五話 井戸を掘り、塩を採りに行こう

1リーク=1m

1トルク=1㎏です




畑に種を植えてから五日。

畑はほぼ完成し、手入れを時々する程度となった。

さらに家の方も順調に工事が進んでいる。


トールに手渡された設計図の元すでに基礎工事が済んでおり、これから家を建てようとしているところだ。

ただ、設計図を手渡された時ダリスが「ああ、これは……あれだな。こうズゴーン!と行って、ババーン!って立てて、ガンガン!って感じに打ちつけりゃいいんだな?」とすさまじく曖昧な反応をしていたため、トールはダリスに任せても良いのだろうかと再度悩むこととなった。

だが、結果的には工事は順調に進んでいると言えた。ダリスも生き生きと他の村人たちに指示を出している。



その一方で、問題が起きた。

子供が数人、腹痛で倒れたのだ。

原因はすぐに分かった。

川から汲み、瓶にためておいた水が痛んでいたのである。村人たちには一度火を通してから飲むようにとトールは指示を出していたのだが、ほとんどの者は何のことか分かっておらず、普通に飲んでいた様子だった。

いくら清流の水だったとしても、瓶にためている状態ではすぐに痛み腹を下す場合がある。

少量を大人が飲むのなら問題ないのかもしれないが、子供の体でそれを飲むと大人の場合よりも腹を下す確率が上がるのだ。


ともかく、すぐにその対策がとられることとなり、優先順位が低かった井戸を早急に掘ることになった。



『トール様ーーー!! 少し水が出てきましたーー!!』


掘り始めてから三日ほどすると、もうすでに五リークの位置まで掘り進んでいた。

アニエスの怪力のなせる業である。


「分かりましたーー!! 少し水が溜まるようになったら上がってきてくださーい!!」


大声で井戸の底にいるアニエスに指示を出すトール。

五リークで水が出てきたのは行幸である。そもそも水が出ない可能性すらあったのだ、このように短い期間に完成したのは奇跡に近い。


「井戸は掘れましたし、あとは汲みあげる道具をどうするかですね」


畑仕事の合間に手伝いに来ていたジェイクが言った。


「それは当てがあります。それも含めて、少し仕事をしましょうか……イリーナさん」

「ん? なんだ?」

「手が開いている人たちを集めてもらえますか?」


同じく井戸掘りの手伝いをしていたイリーナに支持を出す。イリーナは快く承諾した。


「分かった。だけど、何かするのか?」

「はい…………お金を取りに行きます」








◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ぜっ……はぁはぁ…………みなさん、あともう少しです。がんばりましょう……はぁ」


道のない道を息を切らしながら進むトール。

イリーナが手のあいた人を呼ぶと、結果来ることになったのはトールを含めて五人。

トール、イリーナ、ジェイク、他二人だ。

そして、トール以外の人間は息ひとつ切らしていない。奴隷だったころに体力がついていたのだ。


「いや、あんたががんばれ」


イリーナの言うとおり、頑張ろうと言った割にはトールの位置は一向の最後尾である。

普段力仕事はあまりせず、書類仕事や現場監督程度しかしてこなかったため、トールの体力は非常に少なかった。


「あ、あはは……でもほら、見えてきましたよ?」


トールが指差すと、森が開けた向こう側に湖が広がっていた。


「おお! すごいですね、トールさんの土地には湖まであるのですか」

「はい。将来的には漁か何かを出来ればと思っています。まあ、今日は湖が目的ではありませんが……」

「じゃあ何しにここに来たんだ? まさか湖を見せるだけじゃないだろ?」

「あっちに洞窟があるでしょう? あそこが目的地です」


トールが指差した場所には確かに洞窟があった。

あまり大きなものではないが、奥が深そうな洞窟である。






「それでここには何の用があるんだ?」

「それは……これです」


トールがジェイクに差し出したものは……岩。

何の変哲もない岩を差し出され、困惑する一同。その中で「ああ、疲れ過ぎて頭がおかしくなったか」と冷たく言い放つイリーナ。


「い、いえ違います。これは岩塩なんですよ。なめてみて下さい」

「……?…………っ! しょっぱ……」


手渡された岩を一なめすると、イリーナはその味に顔をしかめた。トールの言うとおりそれは岩塩だった。


「なるほど、お金を取りに行くとはこういうことだったのですか」


ジェイクが納得いった表情で頷く。

トールの土地がある地方は大陸の内側にあり、海による塩田が作れない。

つまり塩の価値が非常に高いということだ。


「塩は必ず必要なものですが、このあたりでは流通量が少ないですからね、確かにこれならかなりのお金になるでしょう」


この洞窟に転がる岩や、壁がすべて岩塩だとすればかなりの量になる。

ある意味お金がそこらに転がっているのと同義なのだ。


「では早速始めましょうか。ジェイクさんと僕はつるはしで岩塩を掘って、イリーナさんたちはそれを外に運んでください」







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


本日採ることが出来た岩塩は約二十トルク。

それ以上は運び出しても隣村に持っていくことができないからという判断だった。

ともかくその岩塩を担ぎ村の方に戻ってきた一向。


「トール様ーーー!!」


いつも通りトールの胸にアニエスが飛び込んできた。

「ぐはっ!!」と疲れきっている体では踏ん張りが利かなかったトールが吹き飛んでしまう。


「ああ! ごめんなさいですトール様!」


トールが倒れてしまったことに驚いたアニエスはひとまず謝った。その体は井戸掘りの途中でついたのか泥で汚れきっている。


「え、ええ。大丈夫ですよアニエスさん。井戸掘りの方は終わりましたか?」

「はいです。水がわき出るようになりました。けど……あんまりたくさんは出ていませんでしたし、色も濁っていたですよ?」

「多分あとからもう少し量は出てくると思います。濁っているのも何度か汲みあげればきれいになりますよ」


そう言ってアニエスの頭をなでるトール。

「えへへ~」とアニエスは歳に似合わず嬉しそうにほほ笑んでいる。


「いちゃついていないで早く荷物を下ろさせろ、どこに持っていけばいいんだ?」


イリーナはトールとアニエスのスキンシップを恋人同士でするそれと受け取ったようだ。

心底鬱陶しそうにトールを見下していた。





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