4
朝飯を食べて森に出かける、斡旋所が発行するワッペンみたいなものを見せると無料で通れる。
今思うと通行料銀貨1枚って高いな。
今日はホブゴブリンが全然いないので少し奥に行ってみる。
カレンが森の中を見つめる。
「来る。」
木をなぎ倒しながらこちらに向かってくる。
・・・悪寒がする。
こいつは強い。
豚の顔だが装備が違う。なんだこいつ。野良の魔物じゃないのか。黒い光沢のある鎧をきている。
死角からカレンが魔法を放つがかき消された。
こいつがいたからホブゴブリンがいなかったのか。
3食と快適に寝る場所、少しづつ強くなる自分に感覚が麻痺していた。
ここはいつ死ぬかわからない。殺さなければ殺される。
後悔をぐっとこらえ、相手を見る。
オークだ。だが普通の奴じゃない。オークジェネラルだ。金貨1枚のやつ。
オークジェネラルは持っている斧を振り舞わしてくる。かわすだけで精一杯だ。
腕を斬られ、体も打撲や切り傷でボロボロだ。朦朧として考えられなくなる。相手はそれでも隙なく攻めてくる。
カレンが何か言っているが余裕がない。
切り立った崖まで追い詰められた。高い。オークジェネラルは逃がすまいと距離を詰めてくる。
「今までありがとう」
あの冷たい表情のカレンが輝く笑顔で言ってきた。
「えっ」
何を言っているのかわからなかった。
オークジェネラルが攻めてくるがカレンが一際大きな火魔法を放つ。その身を燃やして。
オークジェネラルは炎に包まれたがそのまま首を狙いに来た。
その時、崖が崩れて、オークジェネラルもろとも落下した。
燃えるカレンを何とか手のひらに包み、何度も斜面にぶつかりながら意識を手放した。
・・・・
目が覚めると斡旋所だ。
「どうなったんだ」
「川に流されてたから運ばれたんだよ。感謝しなよ」
そうか。川に落ちたんだ。
「体が痛くない」
あんなにボロボロだったはずなのに傷が癒えている。
頭がづきづきする。何かがおかしい。言葉が流暢に聞き取れる。
人の感情が何となくわかる。
「鞄は!」
鞄の中を見てみる、カレンはいなかった。
森にまだいるんだ。迎えに行かないと、、
「やめときな。体が衰弱しきっているから動かさないほうがいいよ。」
そのまま意識を失った。
宿屋で目覚めた。鞄を見るがカレンはいない。カレンの能力が体に備わっている。いやな予感しかしない。
あわてて森に入る。崖のところまで来た。地面が焼け焦げ、凄まじい火力だったことがわかる。
その場で膝をついで大声で泣いた。
涙が蛇口を捻った水道のように流れてくる。
カレンは俺の中に融合したんだ。瀕死の俺を助けるために。自身の魔力を全部使って。
以前最後の手段と言っていた。生命力を燃やした炎だったのか。
オークジェネラルは倒したのかわからないがレベルがかなり上がっている。
「召喚できる。」
召喚ができるほどレベルが上がっていたことに気づく。
またカレンを召喚すればいい。
冷たい表情のカレンを。でも最後の笑顔が頭から離れない。
泣きながら召喚をイメージする。
カレンを取り戻す。
体の力がごっそり減り、魔方陣が現れた。
お読み頂きありがとうございました。
面白かったら、「いいね」と「ブックマーク」
★★★★★評価も是非、お願いします。
明日の書く気力になりますので作品読みたいと思われましたらお願いしますm(_ _)m