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そのまま寝てしまったようだ。
カレンが魔物を寄せつけないように、守ってくれてたらしい。
冷たいけど優しい。
「これからどうする?」
カレンに言われてから、考える。
「もうあの町には戻らない。違う町に行こう。」
カレンが情報収集した時に素材を売りにいく町のことを聞いていたため、そこへ行くことにした。
森の中を歩き、道に出た。
道を歩きながらカレンと話す。誰も歩いていないので安心だ。よっぽど寂れた町だったんだな。
カレンの出した火は魔法と言うらしい。
自分もやってみたが魔法は使えなかった。火を出してみたかったが、残念だ。
悪魔の事も聞いた。
見つかると討伐の対象になるらしい。そりゃ、ゴブリンとか狩るんだから、同じようなものだよな。
ずっと飛ぶのは疲れるようで、肩に乗ったり、頭に乗ったりする。かわいい。冷たいけど。
さわったりすると怒られる。
ゴブリンは食べれるかわからない、がでかい鶏の魔物はたまに奴隷小屋でも食べてたから、食べられるだろう。
血抜きして羽をむしり、直火で焼いてみた。
なんとジューシー!でも塩が欲しい、、。
木の実やキノコは食べられるかわからないのでやめておく。
鶏ばかりで飽きてきた。
あと、カレンを通して、言葉がわかるようにしてもらった。これで町でも大丈夫だ。
高い城壁が見えてきた。三メートルはあるだろうか。
鉄の鎧を着た兵士に止められる。
「通行料は銀貨一枚だ」
奴隷小屋から頂いた銀貨で払う。働いた代価です。
ほとんど荷物も無かったため、簡単に通される。荷車みたいなのも引いてる商人らしき人はしっかり中身を確認されてる。
カレンは飛んで城壁を越えた。今は服の中に隠れている。これはこれでいい。
人が多い。馬に荷車を引かせたりしている。
「宿を探すか」
「先に鞄を買って」
服の中は嫌みたいだ。少しショックを受ける。
服は盗賊の服の血がついてないところを選って着ているが、ごわごわしていていまいち良くない。
建物は主に木で作られていて、大きな商店はガラスも使われている。
ガラスに写る自分を見る。元の世界のままだ。大学に入れずに浪人していた。冴えない自分だ。
通りから鞄や服を取り扱っている店があったので入ってみる。
(この店はやめたほうがいい)
カレンから警告が入った。中から店員が出て来る。
「こちらは貴族様か商人様が使われるお店ですのでお引き取りください」
追い出されてしまった。まぁ盗賊のような身なりだから仕方がないけど。いや盗賊の身なりか。
店を追い出されるなんてことはこれまで経験したことがなかったため、ショックだ。
格差社会反対!
「カレンはなんでわかったの?」
「嫌な感情を持ってた。」
どうやら善意と悪意が何となくわかるらしい。
町を歩きながらカレンに店を選んでもらった。大通りから少し入った、品揃えが多い店だ。
「いらっしゃい。」
「鞄と服が欲しい。」
正直今着ている服は臭い。盗賊が着ていたから、着るのをためらったくらいだ。川で洗ったけど、臭い。
服は三着分選んだ。鞄は大きなリュックみたいなのと、カレンが入るものを選ぶ。
カレンは入り心地?でかなり悩んでいた。見つからないように気を遣う。
生活用品の食器やスプーン、フォーク、手拭いなどの生活用品を買う。
全部で銀貨1枚と銅貨1枚になった。
まだ、お金には余裕がある。
銀貨は1万円くらい、銅貨は千円くらいか。
手元には銀貨5枚、銅貨20枚がまだある。
当面あまり散財できない。この先どうやって生きていけるかわからない。
行き交う人を見ると、貧富の差が激しいことがわかる。鎧を着て剣を下げている者も多い。そう言う世界なんだろう。
道具屋のオススメで、安くて安全な宿を紹介してもらった。
民宿みたいな感じだ。一泊銅貨3枚。朝夕食付きで銅貨1枚追加とのことなので頼む。
ベットに倒れるようにダイブする。
「あぁぁー」
思わず声に出た。カレンが鞄から出てきて冷たい目で見てくる。
奴隷から始まり、盗賊を倒し、森でずっと野宿だったので心も体も相当に疲れていた。
半分寝ながら嫌がっているのか、まんざらでもないのか、カレンを優しく撫でながら眠りにつく。
朝起きるとカレンが布団の中で寝ている。人差し指でつつくと起きた。
「触らないでよ」
少し照れている。
今日は情報収集をしよう。
一階に降りると、夕食を食べていなかったことに気付いた。お腹がぐーっと鳴る。
朝食はパンとサラダとハムだ!
鶏ばかり食べてきたので、感激しながら食べた。
この宿屋は昼間は定食屋を営業しているようだ。
店主に何か稼げることはないか聞いてみる。
「あんちゃん剣さげてたから冒険者かとおもったぜ。依頼斡旋所に行けば素材を買いたい人の依頼を受けることができるぜ」
場所を聞いて行ってみる。
「結構大きいな」
大きめの扉は開けっぱなしで人が出入りしている。
中も広い。カウンターで何人か並んでいる。商人みたいな人の列とがたいのいい人達の列だ。あの人達が冒険者か。
書いてある文字が読めないが冒険者の列に並ぶ。
カウンターでは明るめの女性が対応してくれた。
商人の並ぶほうが依頼をする方で
こちらが依頼を受ける方。後ろの張り紙を見て、依頼を受けるようだ。
討伐依頼は少ないが、魔物素材の依頼は多い。素材は数を求めるものが多いため、素材を直接持ち込むと買い取ってくれるようだ。
この斡旋所は報酬から手数料を引いて利益を得ている。
張り紙を、見ている少し年下の少年に銅貨1枚を渡し、依頼内容を聞く。
「えっ!こんなに!ありがとうございます!」
渡しすぎたか。相場がわからん。
ゴブリンナイフ 鉄貨6枚
ゴブリン片手剣 銅貨1枚
スライムの核 鉄貨8枚
イェルクック 鉄貨5枚
ホブゴブリンの核 銅貨1枚
オーク 銀貨1枚
オークジェネラル 金貨1枚
・
・
鉄貨は銅貨の10分の1だから100円くらいか。
ゴブリンがたまに持ってる武器がこの値段か。
この服すごく高いやつだったんじゃないか?
当然だが簡単に狩れる魔物は安い。
いつまでも弱い魔物を相手していても儲からないだろう。
今は自分の実力をあげるためにレベルを上げたい。少しづつ強い魔物を狩ろう。
ここにいる連中はだいたい5~6人のパーティーを組んでいて、パーティー募集の張り紙もある。
悪魔と戦う俺はパーティーを組めない代わりに悪魔を召喚できる。
鞄から冷たい視線を感じながらそんな想いを馳せる。
訓練所のようなところが斡旋所の横にある。
中の受付に聞いてみると自分の適正を調べたり訓練をする場所らしい。
剣、槍、弓の扱いに優れていたり、盾の扱いに優れる者、魔法が使える者を調べて実践に生かすんだろう。
俺は魔法が全然使えなかった。
火、水、風、土、特殊なところでは空間、光、闇、空間、光、闇は、あまり数がいないらしい。召喚魔法はなかった。魔法ではないのか。
武器屋に入る。たくさんあるがよくわからない。カウンターの後ろに飾ってある剣が目を引く。
「あの剣は?」
「さすがお目が高い。この剣は切れ味が落ちない自動修復の剣でさあ。」
「そうか。値段は?」
「へい。金貨10枚になります。」
金貨か。高いのか安いのかわからんが買えんな。あとで知ったが金貨1枚で銀貨10枚の価値だ。だとするとこの剣は100万円相当だ。
防具は買ったことがなかったので革の装備品を一式買った。
帽子、鎧、ズボン、ブーツ、小手、軽くてよさそうだ。合わせて銀貨5枚と銅貨5枚だった。
奴隷商会もあった。奴隷のやりとりをこの身で実践していたから、あるだろうとは思っていたが、かわいい奴隷がいたら、、鞄から冷たい視線を感じたので中には入らなかった。
次の日から魔物討伐に出かける。歩くのは結構が時間かかる。森は比較的近いため、すぐに魔物に出くわす。
森の浅い辺りは小さなゴブリンとかスライムとかが出る。
鉄の武器やスライムの核を鞄に入れる。物足りないな。
少し奥に行くとでかいゴブリンが何匹かでグループを作っていた。ホブゴブリンだ。
かつての記憶が蘇るが、もう以前の俺じゃない。
1匹のホブゴブリンを奇襲する。背後からの切りかかりであっさり倒す。
「随分強くなったな」
ホブゴブリンは心臓に魔力を貯める核があるらしいので気持ち悪いが取り出す。
ホブゴブリンの核は銅貨1枚だ。
これなら食うには困らないな。5匹倒せばあの宿1泊と食事3食分出してもお釣りが来る。
この日はホブゴブリンを10匹ほど倒す。レベルも上がった。
5日ほどホブゴブリンを倒す。上がりにくくなるようだが、まだあがるようだ。
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明日の書く気力になりますので作品読みたいと思われましたらお願いしますm(_ _)m