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宿屋で聞くと明日競売だそうだ。
競売は入るのにもお金がかかる。銀貨1枚だ。
サラは一緒に行きたいそうだが、ハトラーは図書館へ行きたいそうだ。リエイは何をするんだろうか。
次の日競売に行く。
入り口で簡単な説明を聞く。
手を上げて値段を言うだけだ。
手持ちがないのに落札してしまうとすぐに金貸しのとこのへ行き、身元を預けられるとのこと。奴隷落ちだ。
なかに入ると事前に入札品を見ることができる。
様々な品が出ていたが気になるのは3つあった。
切れ味アップのミスリル両手剣 金貨25枚~
魔法の威力が上がるミスリルロッド 金貨15枚~
迷宮産出の魔法書 金貨5枚~
ダマスカスの両手剣 金貨30枚~
この魔法書は何かよくわからないが召喚に関するものだということはわかった。出品するほうも多分何かわからずに出品している。
今回はダマスカスの両手剣が出ているため狙いたいな。しかも性能追加できそうだ。
競売会場に入る。
出品の順番はくじで決めているらしい。
4つのなかで最初に出てきたのはダマスカスの両手剣だ。
「金貨30枚からスタートです。」
「30枚」「35枚」
次々上がる。
「40枚」手を上げた。
「41枚」
「50枚」これでとどめだろう。
「他にありませんか。それではそちらのかた金貨50枚で落札です。」
何やら番号と紋章の入った札を渡された。後で交換するらしい。
他にミスリルロッドを金貨20枚で落札した。
最後はあの本だ。
「ダンジョンから持ち帰られた謎の魔法書金貨5枚からスタートです!」
少し様子を見てみるか。
誰も手を上げない。やはり人気ないな。安く交渉したいぐらいだがしかたがないか。
「金貨5枚」
落札した品を受けとる。
ハトラーはいないか。
「ここにおります。シン様」
何がおこった。何でわかったんだ。
「は!呼ばれた気がしましたので。」
気がしたレベルではないよ。怖いよ。
「競売で落札してきたロッドだ。これを使え。」
「は!ありがたくちょうだいいたします」
跪いて恭しく受けとる。オーバーだな。
「これは魔法が付与されたロッドではありませんか。それも魔法威力上昇ですね。素晴らしい。」
「わかるのか?」
「はい。魔法付与はなかなかできません。同じ条件でもなかなか成功しませんし、触媒も必要です。また、失敗すと武器もなくなってしまいます。私であれば魔法付与ができるのですが。」
「えっハトラー出来るの?」
「はい。ご命令とあらば。」
無理して落札する必要もなかったな。落札しなかったらわからなかったか。
「触媒は何を使うんだ?」
「はい、ナーガの血です。」
ナーガはダンジョン50階層から出る魔物だ。先は長そうだな。
競売では10ミリリットルで金貨10枚だったか。
ハトラーによると付与する効果によって必要な触媒の量が変わる。
切れ味上昇5ミリリットル
自動修復5ミリリットル
生命力吸収8ミリリットル
魔力吸収8ミリリットル
身体強化5ミリリットル 等
次の競売では狙ってみるか。
「それでハトラーは図書館に何をしに行ってたんだ?」
「はい。私がいなかった間の知識を身に付けようとしましたがさほど進歩はないようですね。本はあらかた読み終わりましたので市場調査を行っておりました。」
図書館の本を全部読んだのか。すさまじいな。
「唯一、面白い本がありましたので参考にして、新しい魔法を編み出しました。」
そういうとハトラーがもう1人現れた。
「光魔法、風魔法、水魔法を組み合わせたミラーです。水魔法で人の形を作り、光魔法で肌の色を再現します。目で見る感覚は光の反射に過ぎませんので。あと、風魔法で声を出します。」
光の反射と音の波動を理解したのか。本がすごかったのかハトラーがすごかったのか。
しかしそっくりだな。どっちが本物かわからないくらいだ。
「このミラーを使い、商いをする許可をいただければ幸いにございます。」
「商いか。」
基本任せることとするが報告はするように言っておいた。
「必ずご期待にそえるよう身を粉にして働かせていただきます。」
「まぁ、ほどほどにな。」
大丈夫だろうか。
落札した本は開くことさえ出来なかった。まがまがしい何かを感じるがまぁしょうがない。
「見たことのない本ですね。開くのに何か条件があるタイプの物だと思います。」ハトラーでもわからないか。
開ける者の魔力とかか?
まぁ開かないものは仕方がないな。そのうち開くだろう。ハトラーに預けて調べさせよう。
お読み頂きありがとうございました。
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明日の書く気力になりますので作品読みたいと思われましたらお願いしますm(_ _)m