第一話
いきなり激しく地面が揺れた、おそらく地震が起きたのだろう。
少し揺れただけで今起こっている地震はやばいものだと直感できるほどに大きいものだった。
「サクだけでも助けなきゃ」
両親が死に俺と二人暮らしの妹だけでも助けようと妹の部屋まで走った
「お兄ちゃん、よかった…怖かったよ」
俺を見て安心したのかその場に座り込んでしまった。
その時固定されていなかった本棚が倒れそうになるのが見え、サクの上に覆いかぶさった。
(せめてサクだけは助けたい…)
運悪く本棚の角が頭に当たり遠のく意識の中それだけを祈っていた。
せめて、せめてサクだけは…と
気がつくと真っ暗な場所にサクと倒れてることに気づいた。
助かったのか?
「おいサク!起きろ!」
「ん…おにい…ちゃん?」
「あぁそうだ!よかった…」
ちゃんと意識もしっかりしているようでよかった。ところでここはどこなのだろうサクの部屋なのであろうか?
などと考えていると遠くからパチパチと手を叩く音が聞こえた。
すると部屋は突然明るくなり近づいてくる不気味な女性が見えた。
「素晴らしい!本当に素晴らしいわあなた!感動したのです」
「誰?怖い怖いよお兄ちゃん…」
「怖がらせてしまって申し訳ございません私はメリーいうものでございます。あなた達2人にチャンスをあげようと思い会いにきました。」
チャンス?この女が何を言っているのか全く理解できない。何が起こっているのかも
「チャンス?」
「ええチャンスです。あなたたちはすでに死んでいます。ここは俗に言う死後の世界というものですね。」
「死んでるだと…」
「はい!あなたはあの時気を失いそのあと津波に飲み込まれ死にました!そこにいる妹ちゃんと一緒にね」
「どういうことだ!何をしたいんだお前は!」
「そう怖い顔をしないでください。私はあなたの妹を思う気持ちに感動いたしました!自分の命を投げ出してでも救おうという素晴らしい行動に!」
「なのでここで死んでしまって終わりというのは勿体無い!そして私はもっとあなたたちのことを見てみたい!
ですからあなたたちを今よりももっと素晴らしい場所に送り生活を見てみたいのです!」
「なぜそんなことをしなくてはならない、俺はもう2人で天国に行きたい気分なんだが」
「それは出来ません。」
「・・・なぜだ」
「あなたたち人間は勘違いをしています。天国や地獄などというものは人間の作った妄想。実際に死んだ後に待ち望んでいるのは無ですよ。
あなた達も私がこうして意識を私の中に取り込まなければそうなっていたんです。
さぁどうです?別の世界へと行く気は出来ましたか?」
くそっなんでこんなことになった。
妹を連れてどんなところかもわからない世界へ行くだってそんなことできるわけが…
でも行かないと待っているのは無…
どうすれば…
「私お兄ちゃんと離れるなんて…そして無の中にいるなんて嫌だよ…
私お兄ちゃんと入れるなら大丈夫!怖くないしちゃんと頑張るから心配しなくても大丈夫!行こう?」
そう言ってサクは少し震えながら俺の手を握ってくれた。
なんとか心配させないようにしてくれているのだろう。
妹にここまで言わせて覚悟を決めないわけにはいかない。
「わかった…行こう
俺たちを別の世界へ連れて行ってくれ」
「それはよかった。
それではあなたたちの生活を楽しみに見させてもらいますね。
では、良い旅を…」
メリーはそう言うとどこかへ消えた。その瞬間意識が遠くなるのを感じた。
そして意識が遠くなっていく中で絶対にサクを守ろうとそう心に誓った。
今度こそ…絶対に…と
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