真夏の追憶。
習いたての油絵に寄せる景色。
まだ懐かしさが足りないのでしょう。
あなたの笑顔をぼかしてはにかむにわか雨。
わたしの寝顔をぼかしてはにかむにわか雨。
またもどかしさが急かすのでしょう。
古い目次を辿るように、滲んだ色を置き去りに。
動かせない指で約束、絡まる命。
褪せた告白を守るように、浮いた色は有耶無耶に。
泣く泣く捨てるな、迷えるわたし。
浮かぶように沈んでいく針の音を数えて。
寝るな眠るな、悩み悩むな、微睡むわたし。
まだまだ泣き止むのは早いでしょう。