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クロエ・リベラ暗殺計画  作者: 大木戸いずみ
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7 クロエの決意

 ベッドの上に仰向けになり、今後のことを考える。未だに今日起こったことを把握しきれていない。

 とりあえず、執事長のマックスが戻って来る前に、ナターシャの所へ無事に戻れて良かった。結局、あれからすぐに家に帰ることになったけど、王子と会うっていう私の目標は無事に達成された!

 ……達成されたの、かな? 

 お父様に王宮に行っていたことを知られて、かなり説教されたけど、私の頭の中はそれどころじゃなかった。父の鬼の形相なんて、今日イアンにかけられた圧力に比べたらかわいいものだ。

 心配しつつも叱る父をよそに、私はノアのことを考えていた。

 確かに、彼はこの世の人間とは思えないぐらい神様の最高傑作のような容姿だった。

 むしろ腹黒さがあって良かったのかもしれない。だって、外見も中身も完璧なんて、他の男性の立場がなくなってしまう。

 私は深くため息を天井向かって吐く。

 これから毎晩私を殺す為にあの会議室に行かないといけないんだよね……。

 なんて馬鹿げた話なのだろう。王家が本気で私のことを調べればすぐにクロエ・リベラだってバレそうだし。

 このまま呑気に彼らに会いに行っていいのだろうか。

 それに今回のことがあったから、父に隠れて、こっそり屋敷を抜け出さないといけない。母は外出することを推奨しているし、ナターシャも私の味方だから多分大丈夫、使用人たちにバレても彼らが口を割らなければ安心だ。

 父にだけ知られなければ、私は自由の身になれる。

 ……それにあの会議に行かなければ、私は殺される。あ、行っても殺されるのか。

 でも、暗殺計画を全て把握しておくことでいざって時に逃げることが出来る。

「そうよ! ポジティブに考えないと!」

 私はベッドの上に勢いよく立ち上がる。

 自分が殺される方法を知っておいて損はない! 何としてもあの会議に参加しないと!

 なんだか急にやる気が出てきた。本気で自分を殺す方法に取り組もう。

 急いでベッドから降りて、机に向かう。真っ白な紙を取り出し、インクにペンをつけて、私についての情報を書いていく。 

 もちろんほとんど嘘ばっかり。けど、そこまで怪しまれないようにちょっとずつ本当のことを混ぜる。

 好きな食べ物、趣味、嫌いな動物などざっくりとまとめる。美容にこだわっている、という文字を書き終えた後、少し考える。

 頬はニキビだらけっていう情報があるのなら、美容に興味があるなんておかしいわよね……。

「あ!」と、使えそうな情報を閃く。

 最近ダイエットをし始めたってことにしておこうかしら。女の子ってよくダイエットするらしいし!

 それに私は体はゴリラっていう異名をもつぐらいだから、太っているって思われているだろう。

 ひと段落書き終えたところで、私は両手を上にグッと伸ばす。一気に書いたから、少し肩が凝る。

 クロエ・リベラ暗殺計画に使えそうな情報を書いた数枚の紙をまとめる。端を揃えて、丁寧に机の真ん中に置いた。

 初めての仕事に達成感を覚えながら、窓の外をぼんやりと眺めた。すっかり空は暗くなっており、多数の星が輝いている。

 ……こんな綺麗な星空で私は一体何をしているのかしら。

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