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クロエ・リベラ暗殺計画  作者: 大木戸いずみ
41/58

41 制御不可能

 この学園に来たばかりで舐められたくない。もしここで無様に負けたら、これから一生こき使われるかもしれないし……。

 私はその場に立ち上がり、カイを睨む。犬猿な仲ってこういうことを言うのだろう。

「その椅子も机もお前には必要ないだろ」

 カイはそう言って、私の椅子と机を一瞬で燃やす。私の新しい席が数秒もしないうちに灰に変わった。

 マシュー先生の大きなため息が聞こえる。

 詠唱なしに出来る魔法と出来ない魔法がある。昔、マシュー先生にそう教わった。私はまだ詠唱があるレベルには達成出来なかったけれど……。

 きっと、カイは四年生だしそれぐらいはマスターしているはずだ。……でも、詠唱を使う魔法って相当ハイレベルだから、もしかしたらカイも使えないかもしれない。

「あんたの席も要らないよね」

 怒りに任せて私も魔力を放出し、カイの椅子と飛ばされた机を燃やした。

 いついかなる時も冷静に魔法を使う。幼い頃にそう習ったけれど、私には無理みたい。

「こんな狭い教室じゃなくて外で戦うか?」

「それはやめて下さい! 私が解雇されます!」

 カイの言葉にマシュー先生が声を上げる。カイは軽く舌打ちをしたが、マシュー先生の言葉に従った。

 カイは私へと目を向け、じっと見つめる。目を逸らしたくても逸らせない。カイの灰色の瞳に吸い付けられる。

 ……何? そんなに見つめて愛の告白でもされるの?

 そんな熱い瞳を向けられたら、なんだか体が熱くなってきたわ。…………体が熱い? アツイ!!

 気付くと、私のドレスが盛大に燃えていた。火には強いけれど、流石にこれは危ない。 

 マシュー先生も止めろ! ここには私の味方がいないと思った方が良いのかもしれない。

 私は自分の魔力で燃え上がっている炎を沈下させる。このドレスの命日は今日ね。

「謝ったら消してやろうと思ったが、自分でやったか」

 カイは私が自分でドレスの炎を消したことに少し興味を示した。

「レディへの扱いが全くなっていないわね」

 私は俯きながら全魔力を放出しようと集中する。教室中が段々熱くなり、この部屋を守っていた魔法壁がパリンッと割れる音が聞こえた。

 それでも私は自分を抑えることが出来なかった。上手く魔力をコントロールできない。

「嘘だろ……」と、カイが目を見開きながら後退る。

「まずい! メイ! 落ち着きなさい!」

 マシュー先生が何か必死に私に叫んでいるが、聞こえない。

 何も考えられなくなって、頭が真っ白になっている。理性を保てない。

 窓ガラスが勢いよく割れる。自分の瞳が熱くなってるのが分かった。周りの状況を理解しているのに、自分の力じゃどうにもできない。

 全員火の耐性がある為、そこまで大きな怪我を負うことはない。マシュー先生は防御魔法で必死に私の魔力に耐えている。

 不思議なことに、どんどん力がみなぎってくる。

 今まで溜まっていたものが、爆発したような感覚。危ないことだと分かっているのに、不思議と心地よかった。

「なんて魔力だよ」

 カイの口の動きでそう言ったのが分かった。

 教室の壁が崩壊していくのが分かる。地面がギシギシと音を立てて、今にも落ちそうだった。

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