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セレスティア魔法学園  作者: 普通の蜜柑
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出会いと仲間

 俺の座席は確か…

先程の入学式で配布されたタブレットを取り出し、自分の座席を確認する。

 最後列から一個前の窓際か、悪くはない位置だ。


 セレスティア魔法学園は中高一貫で、外部受験をした俺は知り合いがほとんどいない。

 まず、友達を作りからだな。

 そう不安に思っていると、気さくそうな右隣の男子が話しかけてきた。

 

 「見ない顔だな。外部受験か?俺の名前は神崎 祐介

気軽に雄介って呼んでくれ。これからよろしく。」

  

 「俺は水島 拓人。外部受験で受かったから、知り合

 いがほとんどいなくて、内心かなり不安だった。こっ

 ちも気軽に拓人って呼んでくれ。」

 

 そうして、お互いに握手をする。

 隣人とコミュニケーションがとれて、ひとまず安心だ。

 これから、良い関係を築けそうだ。

 

 「そういえば、噂の入学生って拓人のことだろ?

  星零の入学生なんて前例がないから教室どもが

  めっちゃ騒いでたぜ。」


「多分そうだな。入学そうそうあんまり目立ちたくは

  ないんだがな。」


「これは忠告だか、この学園では身分主義って奴ら

  がいるんだ。どのクラスにも一定数いるがとりわけ

  特進クラスに多いんだが、星の

  低いやつに悪質に絡んでくる。そういう輩には気を

  つけろよ。」


セレスティア魔法学園の高等部は学年ごとに三クラスあり、それぞれA,B,Cと分かれている。

 Aクラスは特進クラスでこの学園のエリート集団だ。

 B,Cクラスは一般クラスで外部受験生はこのいずれかに配属される。

  

 「分かった。注意して置く。」


その後も祐介との話は続いた。

 中等部と高等部の教師はほとんど変わらないらしく、当たりとハズレの教師を教えてもらった。

 聞くかぎりだと、どの教師も個性が強いらしい。

 そして、俺らCクラスの担任もかなりの変人だらしい。

 それから少し経ったあと、チャイムが鳴った。

 それとほぼ同時に、一人の男性が教室へと入ってきた。

 髪はボサボサで、服装は上下ともネズミ色で飾り気のものだった。

 年齢はおそらく四十後半で、いかにもおじさんといった感じだ。

 

 「えー俺はCクラスを担当することになった近藤 大輔だ。担当は現代魔法情報学だ。この学園ではクラス替えは無いから、三年間お前らは一生だ。周りのやつとは仲良くしとくと得だぞ。これからお前らに一個重要なことを言うが俺は放任主義だ。担任らしいことはほとんどしない。学級委員に全て一任する。俺のクラスでは例年、首席と次席にやってもらってるんだが…」


そう言いながら、手元の紙をペラペラとめくっていた。

 いきなり、教師の口から放任主義という言葉がでてクラスの誰もが圧倒されていた。

 

 「おっ、珍しいな。両方とも外部受験か。首席は水島拓人、次席は八谷 響。以上二人は前にこい。」


急に名前を呼ばれて、教卓のところへ行った。 

 その道中、聞きたくはない悪意のある声がちらほら聞こえてきた。

 

 「えーあんなのが首席。ありえないんですけど。」 

 

 「見てよ、星零じゃん。うけるですけど。」


そんな声を無視して俺は歩いていった。

 入学前からそういう見方をされるのは覚悟している。

 

 「じゃあお前ら二人、自己紹介でもしとけ。」

 

 「水島拓人です。学級委員として精一杯頑張ります。

 これから宜しくお願いします。」


まばらな拍手が起こった。

 パッと見で、拍手をしているの全体の三分の一くらいだろう。

 あまり歓迎されてことが分かる。


 次は八谷さんの番だ。

 髪型は黒のショートカットで、目が少し怖いが顔は結構可愛い方だと思う。

 そして、俺、いやクラス全員が彼女の自己紹介に度肝を抜かれた。

 

 「八谷 響。君らのような雑魚とは馴れ合うつもりは

 ない。私の邪魔だけはしないで。」

 

 拍手は一切無かった。

 誰もが唖然としていた、正確には一人を除いてだが。

 

 「ハッハッハ、響は面白いやつだな。俺はそういう生

  好きだぞ。」


そう言いながら、八谷の背中をバンバン叩く。

 少女は殺気のこもったような視線を向けるが一切気にしてしない。

 本当に神経が図太い教師だとあらためて感心する。

 

 その後は酷いものだった。

 近藤先生は俺らに指導書のようなものを渡された。

 それを読み上げた後にクラスで自己紹介をし、終わったら職員室に来いとのことだ。

 それだけ言い残して足早に教室を出て行った。

 

 もう一人の学級委員は一切手伝わない中、一人で淡々と進めていった。

 

 小一時間が経過した。

 色々なことに戸惑いつつも、何かとかクラス全員の自己紹介まで終わった。

 一気に疲れが押し寄せてきた。

 後は教師を呼びに行くだけだが…

そう思い、先程から何もしていない八谷さんの方を見た。

 そこには立ったまま寝ている少女の姿があった。

 

 「あのー先生呼び行くんだけど。」

 

 ダメ元ではあるが、一緒に呼びに行かないかと誘って見た。

 意外にも一瞬で目を開けて一言、

 

 「終わった?」


「全部終わったよ、もしかして寝てた?」


「悪い?」


少しだけ殴りたい衝動に駆られたが、必死に抑えて二人で職員室へと向かった。

 

 その道中は特に話すことも無いので気まずいだけかと思ったが、唐突に向こうが質問してきた。

 

 「あなた、何人くらい人を殺しきた?」


その瞳は闇が深く、全てを見透かすようだった。

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