4.伝説その1
えーおはようございます。
色々スキルを手に入れちゃった私ですよっと。ほんとぐっすり寝れた。
何故ってそりゃツッコミのせいですよ。
今日はお父さんの仕事を見せてもらえるらしい。
まあ、昨日のお母さんとリアの会話を盗み聞きしたから知ってるんですけどね。
趣味は悪くないよ失礼な!!
まだ城内を一人で好きに動けないからね、そんでリアが考えた結果これ。
いや他にもできることあっただろとか、赤ん坊には理解できないだろとか、ツッコミどころ満載だけどぶっちゃけこの国の王の仕事現場とか見たい。
発案者がリアだから仕方ないと言いくるめておこう。
普通できないでしょ? 国王の仕事見学なんて。
家族の特権だぜフフフ。
お母さんに抱えられた状態で、会議室っぽい部屋に入る。
うわぁ人多!!
大臣なんかやら伯爵みたいなのもたっくさんいる。
お母さん曰く各領主やらその代理の人なんだって。
……お父さんが大量の書類に囲まれてる感じ想像してたけど、みんな必要最低限の書類を持ってる。
ただ入った瞬間全員がこっちを見て8割が釘付けになってる。
おい! お父さん! 8割に入るな!
ところどころで「おぉ、王女様…」「王女殿下だ…」「赤ん坊であってもお美しい…」などなど声が上がっている。
やめろ! こっちみんな! 仕事しろ!
少しして、本格的に話し合いが始まった。
「陛下、今期の予算の事についてですが……」
「南の方で橋が崩壊した領がいくつかあっただろう。そこに……」
「陛下、先月出された論文ですが……」
「陛下……」
お父さんが質問責めにあっている最中、お母さんが迷惑にならないよう小さな声で説明してくれた。
「陛下は国王だから仕事が山積みなのよ。大変ねぇ。
でも昨日はあなたが寝ている時、仕事をほったらかしてあなたの部屋に来ていたのよ?
ついでにみたいな顔してたけど、息が上がってたのよ。走ってきたのかしら、あの人は嘘が下手なのね」
ツンデレなんですか?
え、ツンデレなんですか今世の父親。
「それでこう言ったの「フン、少しは体力が回復したわ」って。照れ隠しも下手ね〜。」
確定ですツンデレですね! そしてお母さんはそれに気づいてるの!?
そんで仕事はほったらかすな! 国王だろ!!
……なんだこのキャラの濃い家族!
「あなたがパパって呼んだ時の反応が楽しみだわ〜。
そうだわ、私のことママって呼んでみて。マーマ」
お母さん案外黒いな……。
ママって言えばいいの? この舌ったらずで言えるかな…。
魔法でなんとかできればな〜。
やってみるか。
周りにある粒子を魔素に操作して、それをいじいじっと……。
「まぁま」
あ〜やっぱまだ言いにくいな。でも始めてにしてはいい方かな?
……ってあれ? なんか周り静かじゃない?
後ろを振り向くと全員がこっちを見ていた。
え? 何、何? 私なんかした?
そう思った瞬間お母さんがお父さんのもとへ走り出した。
えっ今会議中! 会議中!!
「陛下!! シアが……! ママって!! ママって!!」
この慌てぶりで思い出した。
私まだ生後3ヶ月ぐらいじゃん!!
お父さんも勢いよく立ち上がった。そして叫んだ。
「〜〜っ一番最初に呼ばれたかったのに!!」
お父さん。キャラ保って!! 国王でしょ!!
って思ったのもつかの間周りの大臣なんかやらもざわつき始めた。ほらもう!
「もう話せるのか…!?」
「いや…しかし単語だけだとしても早すぎないか!?」
……あ、私のこと!? やらかしちゃった!?
会議室は国王&王女の興奮親バカ論争とざわつきに包まれた。
もうみんな!! 会議してよ!! 仕事してよ!! 私のせいなんだろうけど!!
「みんなおちついてぇ」
あ、さっきより上手く言えた……。
って、あっ……。
また周りは静かになっていて、みんな私を見ていた。
「えええええええええええええええええええええええええ!?」
今度はざわつきなんて騒ぎじゃない。
大混乱、この一言。
お父さんもお母さんも声が出てない。
あ〜らら、いやこんなこと言ってる場合じゃない。
中には崇拝し始めている人までいる。やめろ!!
「神童!」と叫んでいる人もいる。だからやめろ!!
結局、会議は延期になり、私は一つ伝説作ってしまった。いや創ってしまった?