2.最高速フラグ回収
初めて書いた小説と言っても過言ではありません。生暖かい目でよろしくお願いします……。
ハァ……ハァ……。ツッコミしすぎて疲れるわ!
スタートからこんなのでこれからやっていけるか不安になるっての!
とりあえず、ここが異世界ってことはさっきのステータスで明確に真実にされたわけだけど……。
やっぱ実感湧かないなあ。
さっき心の中で叫んだから落ち着いてるけど、頭ごちゃごちゃしてる。ちょっと整理。
えーと私は王女で、ステータス見る限りチート。魔法が普通の世界で、今私は赤ちゃん。
うん、わけわからん。
漫画やラノベはバカみたいに読みまくってたから、異世界転生ってのはわかるよ? でもね? なぜ私なの? オタクの私が?
……もう吹っ切れた方がいい気がしてきた。
もう、やってやろうじゃん。令嬢キャラとして生きてやろうじゃない。なんでもかかって来いや!!
って意気込んだその瞬間、ヒョイっと顔が現れて目の前が暗くなる。
うわ! 誰!?
「お目覚めになられましたか? 王女様」
ええ目覚めましたともビックリでね! 私の目の前にが金髪の綺麗な女性がいた。
その人は私のゆりかご(恐らく)のそばにストンとかがんだ。
「失礼しました、王女様。私の名はフィリアーデと申します。王女様のお世話係をさせていただきます。これからよろしくお願いしますわ。
……まあ言ってもお分かりいただけないでしょうけど」
フィリアーデはそう言ってクスっと笑った。
話し方からしていいとこの貴族なのかな? 落ち着きがあって聞き上手な雰囲気。
でもなんだろうこのちょっと何か抜けてそうな感じ……。ってか、この人が私のお世話係なのか。綺麗な人だなあ。
そしてやっぱり私は王女だということを実感した。
赤ちゃんだけど、ちゃんとわかってるし名前も覚えたからねー、フィリアーデ。
……長いからリアでいいや。
「そうですわ。お目覚めになったことを陛下にお伝えしないと」
リアは立ち上がり扉の方へ歩き出した。
え!? ここでお父さんに会うの!? 主要キャラに!?
え待って待って身支度するからってできへんがな、どうしよう心の準備が〜〜! これを言っちゃなんだけど展開早すぎ!
私の心が落ち着く前に外から足音が聞こえてきた。どうやら急いでるみたい。
え、ちょ、思ったより人数多い気が…。
そう思った束の間扉が開いていかにも王様!って感じの服を着た男の人と綺麗なドレスを着た女の人。とリア。と護衛的な人。
え、多い多い。
「おぉ、目が覚めたのか」
「まあ陛下と同じ目の色だわ。髪の色は私かしら? かわいいわね〜」
私のお父さん(?)の金髪は短くて、語尾は震えて緊張してるみたいだった。いやぁ見ないで見つめられるの得意じゃないの!
私のお母さん(?)は白銀の髪を二つ結びにして肩に流してる。雰囲気で分かる、この人『あらあらうふふ』だ!
この人たちが私の両親……。
いや顔面偏差値高!! こんな美男美女の間に私が生まれたの!? 信じられん!!
心の中で慌てている私をお母さんは優しく抱き寄せた。ふわっと安心する香りがした。
わお軽々。赤ちゃんだから当たり前だけど。そんなことを思っていると驚くべきものが目に入った。
お母さんやお父さんは色々話していたけど内容は聞こえないくらいビックリした。
目の前にある鏡に映っていたのは、私の新しいお母さんとそっくりな美人の子。そう、私。
えええええええええええええええ!?!!? えええええ!? あ!? 私!? 鏡の中の赤ちゃんの目を見開いた。あ、私だわ。
これが私なの!? 黒髪の日本人とは程遠い、白銀の髪と碧眼を持つ赤ん坊に生まれ変わってんだけど!?
私そんな前世で善積みましたっけ? 赤ん坊の時点で美人ってどんな美貌よ!
チートで王族で美人て……前世の私と真逆すぎだろ!!
ほんとなんでこの二人の間の子に私が生まれ変わったの!?なぜ!?
そんな私を気にせずお父さんとお母さんは「顔は私に似てるわね」「いや私だろう」等の親バカトークを繰り広げていた。
平和か!
「陛下、そろそろ…」
徐々に落ち着きを取り戻しかけた時、護衛の人が言った。お父さんは不満の顔を隠さずしぶしぶ出て行った。あれ、もう?
もうちょっとお父さんのキャラ掴んでおきたいんだけど……。
お母さんは抱きかかえていた私の向きを変え、向き合う形にして話しかける。
「陛下はお仕事に戻られるのよ。王様だからね大変なのよ。大きくなったら手伝ってあげてね?
あら、そういえば名前、教えてなかったわよね? 私はセラフィアーネ。あなたのママよ。そしてパパはジェルコニス。
……フフッ、分かっているのかしら?」
ええバッチリ覚えましたよ。重要設定教えてくれてあざっす。というか笑顔が眩しい……。
国王の手伝いなあ……私にできることなんてあるか?
「あら。そろそろお茶の時間ね。せっかくだからここで頂きましょう。リア、用意して」
「わかりましたわ」
あお母さんもリア呼びなのね。親近感湧くわ〜、親子だけど。
リアが出て行った後、またお母さんは私に話しかける。
「あなたの名前はアミリシア。アミリシア=フォン=ルッテンベルグよ。このルッテンベルグ王国の第一王女。私たちの一人娘よ」
楽しそうに話しかけるお母さんには悪いんだけど、全部さっきのステータスで知ってるんだよなぁ。まあ可愛いからいいや。
リアが戻ってきてお茶の準備が整うと、私はゆりかごに戻された。
そしてお母さんとリアはほのぼのと話し始める。幼馴染みたいな雰囲気だなあ。
この香りは紅茶だね。二人の仕草も上品で、私が場違いな気がして仕方ないんだけど……。
二人が話していると、思い出したようにリアが話題を変えた。
「そういえば、ロニアージュ領の件、どうなりましたの?労働問題が山積みと聞きましたわ」
「まだ解決していないようね。近頃、第2区でデモが起きたらしいの。領主のマニスキーは何をしているのかしら?」
へ〜。やっぱ政治問題とかあるんだ。
……ん? ……マニスキー? マニ……すき……マニ好き……。……マネー好きー……。
まんまじゃん!!!!!! テキトーにも程があんだろ!!!
……あれ? 私誰に向かって叫んでんだ?
てか、私がいずれするっていうお父さんの手伝いのこと。もしかしてこれ?
いや、そうだとしてもフラグ回収早いわ!!