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第5話 闇魔法を考える。

短いです

「こう……よしっ。中々だね」


シーナが変なことを言った次の日の昼間。自分の部屋で私は魔法を使っていた。


ローズがゲームで使っていた魔法を使う気はない。それを使ったら本当にバッドエンドを迎えることになる気がする。


でも闇の魔法なんて思い付くものがない。だって闇だよ?悪いイメージしかない。


で、取り敢えず思い付いた影を使う、っていうのを今試しているところ。


最初は自分の影だとか家具の影とかを動かしたり大きくしたりしてたんだけど、やりながら考えてたら人の心に影響しなければあんまり悪く思われないんじゃない?って思ったんだよね。だから影に実体を持たせられないかな、みたいな。それを使って攻撃したりするの。もちろん魔物を、だけど。


これが結構上手くいった。自分の影に魔力を行き渡らせ、そこから何か取り出すイメージで魔力を動かす。そうすれば粘土みたいに黒いモヤのようなものが浮かび上がってくる。


形とか持たせられないかな。動物系の。可愛いと思う。犬がいいかな。猫だとすばしっこいとは思うんだけど、攻撃って考えると犬。大型犬だね。


「でも犬の構造なんてなぁ……」


前世で何かペットを飼っていたことはない。可愛いのはわかるけど、それ以上はわからない。


どうやって作るんだ。


「仕方ない、今はこれで我慢」


その内この世界の動物を見ながら姿を作ろう。


うーん。このモヤって動かせるのかな?下の方で影と繋がってるけど、どうなんだろう。


影から切り離して、と。よし。これを動かす。いけるね。ふよふよ空中に浮かぶ黒いモヤ。これはどういう仕組みでできているのか……。


浮かばせて動かすのが楽しくて、それから母さんの夜ご飯だと言う声が聞こえるまでやっていた。





●●






1週間経った。


シーナは変な行動を続けている(「おはようローズちゃん!今日もより一層うつ……っごほんごほん、いい天気だね!」曇ってた)し、アレクはシーナが変な行動をするから私に言いがかりをつけてくる(「シーナはもっとまともだった!お前が何かしたんだろ!」してない)し、兄さんは何を考えてるのかわからない表情でそれを見てるし。


それを除けば、魔法も新しいものが使えるようになったり、ヒロインの攻略対象の1人であり、私の推しであるノアと話したりでだいぶ良い日々だったといえる。


魔法は、影を空中で動かすだけじゃなく、中に空洞を持たせることができるようになった。これは空中ではできないけど、影が映る場所ならどこでもいける。人が入れるようにはまだできないし、どうなってるのかわからないから入りたくはない。でも物とかならそこに入れて、他の場所で取り出す、ってことをできるようになったから出掛けるのに鞄がいらない。楽だ。


使う内に収納できる大きさも大きくなっていってる気がする。なんでも入るようになればいいな。時間経過があんまりないみたいだから、生物とかも入れられるし。何より身1つで旅できる。


闇の魔法って考えて考え抜いて、対魔物用にいくつか作り出せた魔法もある。魔法ってこんな自分の想像でなんでも出来るものなんだ、って怖くなったけど。


1週間で流石に詠唱無しは無理でした。取り敢えず魔法の発動のトリガーとなる言葉だけ決めてみた。極簡単な単語の組み合わせ。これなら恥ずかしくない。


【拡張・縮小】

これはそのまんま。影の大きさを変える魔法。影の大きさ変えて何になるんだ、って話なんだけど。それしかできないし。でもこの魔法はまだ何かできそうだな、って思ってる。


【浮遊】

これもそのまんま。影を浮かばせる魔法。浮かして何になるんだ、って話なんだけど……ってこれも絶対何かできるから!


【収納】

これだってそのまんま。影の中に物を仕舞う魔法。これは用途あるよね。だいぶ使える魔法。便利。


【霧散】

対魔物用に作ったものの1つ。ゲームでローズが、魔法を使ってヒロインのトラウマを抉ってたのからヒントを得たもの。闇の魔法は精神に強く働きかけることができる。それを逆手に取って、恐怖だとかの負の感情をあのモヤに乗せて空気中に漂わせる。試してないから確実ではないけど、恐らく対象は動けなくなる予定。論理はわからないけど。毒ではないしなぁ。


【暗闇】

対魔物用。視界、聴覚を無くす。真っ暗にするもの。自分にやったけどやばかった。何も見えない上に、何も聞こえない。ものすごく怖い。足止めとかに使えそう。


【吸収】

対魔物用。これ怖い。体力とか魔力だとかを吸い取る魔法。試しに生えてた雑草にやったら、すぐに枯れた。魔物とかにやればすぐに死ぬってこと?やばくない?


【刃】

対魔物用。影だか闇だかの刃を撃ち出す。斬れ味抜群。詠唱だってそのまんま、「()っ!」て言えばいいだけだし。気合いみたいにも聞こえて恥ずかしくない。


【相殺】

これは、もしもの時用。もし、バッドエンドを迎えることになったら兄さんの光の魔法で私の魔法は抑えられてしまう。だから、それを相殺する用。まだ兄さんの魔法と張り合えるほどには使えないけど、1年後までには使えるようになってるはず。他の属性の魔法も相殺できる。魔法攻撃とかされた時用。これで身を守る。



使えるようになったのはこれくらい。もっと種類増やしておきたいところ。村の外に出るのなら、強くならないと。


過去の使い手たちの魔法を見ればヒントがあるかも。それを使おうとは思わないけど、自分を守ることはできるよね。


「教会に行くかな」


あんまり行きたくはない。


なぜか、っていうと私の推し、ノアが大抵いるから。この村の人間じゃないのに教会の本の閲覧をいつの間にか許可されてて、1日中篭ってるらしい。


ノアって攻略対象なのに。なんでだ。ゲームではシーナのいる所に現れることが多かった。でもこの世界ではシーナといるシーンを見かけることはほとんどない。1週間前のぶつかった時くらいだったかな。本人もシーナに対してそういう気持ちはないみたい。


会えば何かと話そうとしてくるし、そうなると私は推しの過剰摂取で死んでしまう。


「はぁ……今日も推しに会いに行きますか……」


困るのは、素が出そうになることなんだ。ローズは男とも女とも取れる話し方。前世の記憶が戻ってもそれは通してきた。今までそれで生きてきたわけだし、この世界の“ローズ”という女の子はその話し方だった。私がどういう風にローズとして生きているのか、元のローズはどうなったのか。それはわからないけど、話し方を変えてしまえば“ローズ”を消してしまうことになると思って。


それにこの話し方は結構気に入ってる。異世界だから許されることだし。ローズの見た目にも合うしね。


「よし、行こ」










名前を言ってはいけない例の……

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