第22話 信じてます。けど……あの?
「るーくん、るーくん!?聞こえてる!?……待って、お願いシン、治癒魔法を……っ」
「すみ、ません……ごほっ、あの、げほっ……回復でいいので、後回しで……ほんと大丈夫なので、魔法、私にも使ってもらえませんか……」
空気汚染による被害者は2人、ルフトとミーシャだった。
ミーシャはルフトに比べたらまだこれでも軽い症状だった。顔色すごく悪くて苦しそうだけど、ルフトに比べたらまだ。
ルフトは目を覚まさない。顔色は青を通り越して土色で、息も浅い。
「ああ……」
その場全体に兄さんは治癒の魔法をかける。広範囲でも使えるって便利だよね。そんなこと思ってる場合じゃないんだけどさ。
ミーシャはすぐに良くなった。ルフトは?
「だめ、起きない、起きないの……っ!ちゃんと掛けてくれた!?私の仲間だからって、ローズちゃんじゃないからって適当にしてないよねっ!?」
「はぁ!?するわけないだろ!俺がどんだけこの魔法使えること誇りに思ってるか知ってんのか!」
顔色は少し良くなったけど、目を覚まさない。
ルフトを抱いたシーナが荒れている。見たことない、こんなシーナ。
「知らないっ!現にるーくんは目を覚ましてないの!ねぇ嫌だ、なんで、なんでこんな息浅いの……?ひとの呼吸って、こんなものだったっけ……?」
兄さんが治癒を適当にするとは思えない。兄さんはそんな人じゃないから。
それだけルフトの容体が良くないってこと。
あの汚染された空気、どれだけ危険だったんだろう。どうして私は大丈夫なのかな。
「おい、離せ。直接魔法を注ぎ込む」
「助けて、助かるよね?」
「俺を誰だと思ってんだ?お前は今まで何を見てきた?」
シーナからルフトを受け取り、同じように抱く兄さん。すぐに魔法を使い始めたらしく、辺りにふわふわと光の粒子が飛んでいる。
たぶん、大丈夫。ルフトとの関わりはそこまてまなかったけど、弱々しい感じはしなかったしそもそもシーナに着いてこれてるくらいなんだもん、弱いわけがない。
兄さんは光属性、治癒魔法のエキスパート。大丈夫、シーナが恐れているようなことは起こらない。
「ミーシャ、大丈夫?結界は張ってる。休んでて。私、先に行くから」
「えっ。危険、危ないです。1人でなんて……」
「いいえ、大丈夫よ。大丈夫なの。私も行くわ。だから大丈夫。エルも来てくれるし、全部大丈夫なの。回復して、攻撃する。完璧よ?」
いつのまにか近くに来ていたセネルとエスペラールが私を見てニコリと笑う。
うん、この2人ならいいね。兄さんもシーナも手は離せないし、そのまま頑張ってほしい。ミーシャは休んでてほしいし。
「ん。ありがとう。行こう。ルスに何かあったら大変」
●●
異様な魔力が漂う場所だった。
どろどろしてて気持ち悪い感じの魔力。そんなことが実感できるほどの場所。
「不味いですね。あれ、ルスではありませんか?あのノアさんの長い髪は目立ちますからね。どうしますか」
20人ほどの否定派の人たちがそこに集まっていた。私たちはこっそり、見つからないように隠れて入り込んでいる。
その空間に入れたのは良かったんだけど、ルスが捕まってるっぽい。
『無礼な真似をお許しください。仕方のないことなのです』
『なら、この鎖、外してくれない、かな……』
『できません』
チャラ男もその近くに立っている。チャラ男とルス、2人を取り囲むように否定派の人たちが輪になってるんだよね。どうしようもない。
ていうかどうしてルスが捕まるようなことになったの?神、だよね?




