敵さえも取り込み
チャラ男です
力はある、確かにフルムは神だったのだろう。だがそれは過去形だ。なんらかの理由で神の座を落とされ、今のような惨めな姿になりながらも存在を続け、かつての栄光に縋り付いている。
フルムが消えた後にその神の座に就いたのがルス神ということか。
一度堕ちたモノが未だ過去に囚われているわけだ。これが喜ぶようなことはしたくないが、これの力が無ければ世界と切り離すことは不可能。
『あァ。当たリ前だ。断るといウ選択肢は考えていナかっタ。触れロ、許ス』
「はい」
靄の奥の紫の結晶に触れる。
元、だとしてもこれが神であったことは確かだ。そんな神でも体を渡せば、48番と同じように体の主導権は神に渡り自我さえも押し潰され消えてしまう。
俺が欲しいのはこのフルムの力だけ。48番と同じになってしまえば目的も果たせず元も子もない。
自分とは違うものが、魔石に触れた手から流れ込んでくるのがわかる。不快だ。押し流されないように意識しながら入り込む異物に抵抗する。
『オい……っ!?抵抗、スるというノか……!』
「っ、ええ、まあ。俺が欲しいのはお前の力だけ。過去の神など必要ない……!」
『人間如きガっっ!我はこの世界ノ創造主ゾ!被造物が創造主に反抗するナドあり得なイ!不可能だ!不愉快ダ!今すぐソの体ヲ空け渡セ……!』
頭の中でガンガンと響く声。既に手は魔石から離れている。これを取り込むことはできたようだ。後は力以外を消すだけ。
頭痛と耳鳴りが酷い。フルムが頭の中で喚いている。目の前がチカチカとし、景色が見えない。
ふらりと、体が倒れたのがわかった。
「が、ぁぁぁぁぁああああ”あ”っ!」
『こノ、人間如きが創造主ヲ拒むナ!』
「こっ、の世界はぁ”っ!お前ではなくっ!ルス神が創り上げたものだぁあっ!」
●●
意識が浮上する。
剥き出しの岩の壁が目に入る。
「ぁあ……」
手足をゆっくりと動かし、体を起こす。身体機能に問題はない。
成功だ。
アレを抑え、力のみを頂くことに成功した。俺は、俺のままだ。
その場に倒れたままだったということは、そこまで時間は経っていない。あの元、神が居なくなったことにまだ誰も気がついていない。
「アハ……ほんと、無能ばっか……」
これでルス神を亡き者にしようとしていたのだから正気を疑う。
ああ、それでも、もう、これで。
これで世界に干渉できる。フルムの力は絶大だ。堕とされ弱り切った惨めな神でも普通の人に比べればとてつもなく大きな力の差がある。
「ようやくあなたに追いついた……この力ですぐに解放して差し上げますので、待っていてください……!」




