第14話 回収遅くないですか?
第1章16話のルフトとの会話の回収がようやくできました。何を言いたかったのか決まってはいたんですが、ローズとルフトが2人っきりになるシーンがなくここまでかかりました…。そんな大したことではない、ということです。
シーナたちが行った後、兄さんが幹部たちに尋問を始めたので私はルフトを連れ部屋の外に出た。
兄さんの目、ギラギラしてた。
「ローズお姉ちゃんと2人、久しぶりだね」
「確かに。……うん?2回くらいしか経験ないような」
「でも久しぶりなのは久しぶりだよ?あの村で話して以来だから」
あの時はルフトから話しかけてきたんだよね。お話しいいですか、って。天使なのは今も変わらないなぁ……変わるって言っても2年くらいしか経ってないんだけどね。
そう言えば2回目に話した時、ルフトが何か言いかけてた。途中でシーナがきてルフト行っちゃったんだよね。結局何を言いたかったのか知らないままだ。
「まあ、そっか。ねぇ、ルフトはどうしてシーナに着いてきてるの?私のこと助けるの、嫌じゃない?」
「しーちゃんは僕を助けてくれたから。ちょっとおかしい人でもあの時のことは忘れられないんだ。僕としーちゃんがお姉ちゃんの村に来る前のこと、聞いてる?」
おかしい人とはわかってるんだね……。
シーナとルフトが来ることになったのは、人攫いに攫われてそこから逃げて、途中で兄さんに会ったから。ルフトが言ってるのはその人攫いのことなんだろうけど、私は兄さんから森で迷っていたから、としか聞いていない。
でも知ってるものは知っている。
「う、うん」
「そっか。しーちゃんのお陰で逃げられたんだ。あの時のしーちゃんはかっこよかったんだけどなぁ。繋がれて、ただうずくまってた時にいきなりドーンって音がして。顔を上げたらしーちゃんがいたの。影になっててよく見えなかったんだけどね。1人で男の人たちをどんどん放り投げていくんだ。気がついたら他の子たちと一緒に外に出てた。あっという間だったんだよ。人攫いたちがみんな倒れてるの。もう大丈夫、ってしーちゃんに言われて。あの時は本当にかっこよかったのに。あんなすごいの見てたら、僕が捨てられた理由なんて大したことないんだなって思えて。僕、しーちゃんには感謝してるの。だからしーちゃんについてあげて、危ないことしないようにしないといけないの。ローズお姉ちゃんが闇の魔法使うから、とか言われてるけど僕は気にならないよ?」
あれ。
人攫いのところから逃げて来たのは知ってる。シナリオでもそうだった。
うん?人攫いの拠点を壊滅させてきたってシナリオだったっけ?……いや、あのシーナのことだから1人で暴れたんだろうな。人攫いたちがシーナ以上に強くなくて良かった。この世界、乙女ゲームが元になっているものがたくさんあるけど全部ゲーム通りに行くか、って言われたらNOだから。
シーナがその時から強かったことに安堵すべきなのか……?
「捨て、られた……?待って、聞き逃せないようなのが聞こえた気がするんだけど……」
「うん。前に話そうとしたんだけどしーちゃん来ちゃったから話せなかったの。……僕ね、雷の属性でしょ?びりびりさせるだけじゃなくて、空に真っ黒な雲を作って雨降らせられるの。……前はちゃんとできなかったから……僕、嫌なことがあったり、泣いたりしたらそうなっちゃってて……気味が悪い、って捨てられちゃった。僕もローズお姉ちゃんみたいな魔法が使えてたら捨てられなかったのかなぁ。……あっ、ううん、もう悲しくないよ!しーちゃんとも会えたし、ローズお姉ちゃんとも会えたから。他のみんなも、こうならなかったら出会えなかったでしょ?」
だからそんな顔しないで、と笑顔でルフトは言った。もう乗り越えたんだ。
そうやって悲しむ時期はとっくになくなってて、今のルフトは過去は過去だと割り切っている。シーナのおかげ、なんだろうな。
「強いね」
「そうかなぁ。しーちゃんに比べたらまだまだ。僕も頑張らないと」
そういうことじゃない。
そしてシーナと比べるな。
「ルフトは強いよ。すごく強い」
私よりもずっと。辛いことを乗り越えた経験はルフトの方が上だね。
辛さの基準は人それぞれだし、決して測れるようなものじゃない。それでもルフトは私より辛い出来事を乗り越えてる。だって11、2歳で親に捨てられてるんだよ?
「ありがとう。でももっと頑張るの。しーちゃんにね、もう少し威力強くしたら台風並みの雷雲起こせそうだねって言われてて。流石に使い道ないけど、しーちゃんも使い道ないような、普通には使えないすごい魔法たくさん編み出したって言ってたから、これも強くなるための方法の1つなんだと思うんだ」
うん。違うと思うんだ。
ルフトが災害起こしてるところなんて考えたくないね。
「へぇ〜、そっか、風と組み合わせたら相性良いもんね。後は水の使い手がいればもっと楽に台風起こせるよ。それでここ潰す?」
「しないよ!できそうってだけで、使えないもん。自分も危ないし。……あれ?ねぇ、いつからいたの?」
ルスだった。ニコニコ顔のまま、立っている。
「兄さんは?」
「まだお楽しみ中。ボクが知りたいことは知れたから出てきちゃった。シンくん、エグいことするね。久しぶりに気持ち悪くなった。吐きそうってこういうことなんだ、みたいな。そういやこの体に入ってから栄養補給してないな。……あ、お腹空いたっていうのも久しぶり。何かない?」
兄さん、どんなことしてるんだろう。怖くて中に入れないや。
「何が知りたかったの」
影の中からパンを取り出し、ルスに渡す。ルスの不調はノアの不調。表に出られてないだけで、ルスが感じてることもノアは感じているかもしれない。出来ることはすべきだよね。
「ちょっとね。教皇のこととか。否定派のこととか。色々だよ。これ美味しいね。……うっ。やっ、おえっ、ちょっ、」
食べながら話していたルスだけど、途中で口を抑えると食べかけのパンを私に押し付け、小走りで曲がり角まで行き、見えなくなった。
吐いたな。
「吐いたね、あの人。うー、びちょびちょ音が……ローズお姉ちゃんも酷いね、さっき吐きそうって言ってたのに」
「私のせいじゃない」
吐きそうなのに食べたら吐くに決まってる。吐きそうな時に食べた時ないからわからないけど。
ルスの残したパンを千切り、勝手に食べながら待っていれば青い顔をしたルスが戻ってきた。なんか懐かしい感じがする。前に村で吐いて青くなったノアを思い出す。
「いやー災難災難。吐くって気持ち悪いね。……ってボクのなんで食べてるの!返してよ、食べるんだから!」
普通には使えないようなすごい魔法
をいくつも隠し持つシーナとは。底が知れない。敵に回したらいけない。
結構食べるの好きなルス




