第2話 言語
目が覚めるとそこには目の前に巨人が居た。しかも2人だ。何を言っているか判らねえかもしれないが俺にも分からない。
「 $”$%#”#$”#$”$#”!!」
「#%$$#”$#&%$$#&%&#”%”$!$#&!?」
What’s!?ほんとに何言っているかわからねえ!?
2人の巨人はどうやら男と女性のようで何を言っているか分からない言葉をで何か言い合っていた。そして、俺はというと二人の会話をぼーっと見ながら何を話してるんだろう?と何となく心のなかで適当にアテレコしながら遊んでいた。
だってしょうがないだろう?生まれたばかりの赤ちゃんってマジで身体動かないんだぜ?
そんな事をしていると『スキル【ヴァンヘルミヤ大陸共通語Lv.0】を習得しました』というアナウンスが聞こえてきた。
成程ここはヴァンヘルミヤ大陸という場所らしい、言葉が分からないのも当然だ。異世界にいるような物なのだから。現実世界の言葉が通じるなんてそんな甘っちょろい考えは捨てろってことですかね?
よっしゃ、まずは言葉でも喋ってみますか!他に赤ちゃんができる事なんてないでな。
「あう~あ~い」
まともに喋れない!?……そりゃそうか赤ちゃんだもんな……成程赤ちゃんになるってこういうことか。
そして、今の声で興味を引けたみたいで二人がこちらに来た。そして、近づいてきたうちの女性が俺を抱き上げた。
「&”&’$””$%&$%?ジント?」
うおー高くて怖えよ抱っこってこんな怖え物なのかよ高所恐怖症になりそうだわ。
おっ!だけど今俺の名前よんだよな?ちょっと聞き取れたぞ。
そんな風に一喜一憂していた俺だったが、次の瞬間そんな感傷など吹き飛ばされることとなった。
何を血迷ったのか俺を抱き上げていた女性は俺のズボンを下ろし、俺の分身を世界に披露したのだ
(/ω\)イヤン見ちゃだめん……じゃねえよ!?いきなり何してくれてんの?この人は?……ああそうですよねオシメの交換ですよね。赤ちゃんだもんね!!
そして、永遠かと思われたオシメ交換に無心で耐えた俺はまたベビーベッドに戻された。
転生してからのカルチャーショックに成人している俺の精神はもう耐えられそうにありません。
『助けてーアイシャー』
そんな心の声が聞こえたのか次の瞬間には俺よりも更に小さい金髪碧眼の妖精さんが降臨していた。
「新たな人生は如何でしょうか?」
「あ~うあいたぁ」
はい、自分の気持ちも伝えられません。
「落ち着いて下さい。自分の気持ちを伝えようと考えながら、心の中で話してみてください」
言われた通り心のなかで話してみる。すると
『赤ちゃんに人権は無かったよパトラッシュ』
「それが赤ちゃんというものですから」
「あう!あ~い!」
おっと驚いてまた赤ちゃん語で喋ってしまった。
『今、俺の気持ち伝わったよな?』
「はい、これが妖精憑きの能力のひとつである念話です。妖精とマスター間では脳内同士で会話可能です」
よかった。本当に良かった。このままで数年過ごすと考えたら気が狂ってたかもしれない。
『オシメ交換だけぶっ飛ばすとか出来ないの?正直恥ずかしいです(/ω\) ハジカシーって感じです』
「マスター凄いですね、念話に顔文字を混ぜて来るとは、もう適応なされて……流石マスターです!因みにそんな機能はございません」
現実?いやゲームは非情なり。俺はこの恥辱にた耐えるしかないのだろう。そして、感心する所はそこなのだろうか?でも、まだまだ他人行儀な所はあるが、これから長い付き合いなのだから、打ち解けてい行きたいな。今回の反応はその一歩か。
『ところで、こうやって話しているがあの二人には妖精は見えていないのか?』
「いえ、妖精は普通の人には見えません。妖精憑きの人間か、魔力視を持っている人間でないと認識出来ません。あのお二人には魔力的素養は無いようですので私は見えません」
成程、だからこの状況にも無関心なのか。なら、遠慮なくアイーシャに質問することが出来る。
『まず一個目、呼び方がプレイヤー様からマスターに変わったけどどういう変化?』
「これはですね、妖精のマスターにプレイヤー様が成られたので、その状態に合わせてみました。……お嫌だったでしょうか?」
成程、妖精憑きってのは妖精の主人になることなんだな。
『いやプレイヤー様よりマスターの方が親しみ感じるからそっちでお願い』
「かしこまりました、ではこれからはマスターとお呼びします。他には何か御座いますでしょうか?」
『そうだな~ならまずはこれからの予定でも聞いていい?』
「そうですねー赤ちゃんのままではまず出来る事が少ないです。それは、体験なされた通りだと思います。なので、まずは折角得たスキル『ヴァンヘルミヤ大陸共通語』のレベル上げですかね」
成程、親の話が聞こえれば少なくとも何も出来ない状態からは脱出できるかもしれないな。
『分かった。そのスキルのレベルはどうやったら上げる事が出来るんだ?』
「赤ちゃんと同じです。私が話せるのはここまでです。」
ちょっと待てー!サポート妖精何だよね。頼むからサポートしてよ。
でもまあ、やることは理解できた。要は赤ちゃんらしく意味分からない事をやりまくって両親の気を引きまくって言葉を引き出せばいいんだろう。
やったろうやないか!!
こうして俺の赤ちゃん生活が始まった。