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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ファルファ、スライムに戻る編

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96 魔法使いスライムのところへ

 私たちは賢スラに丁重にお礼を言った。やはり、スライムのことはスライムに聞くべきだ。
「ところで、あなたはここで何を考えてるの?」
 このスライムの生態がよくわからないので、試しにそう聞いてみた。

 存在とは何かということについて考えている、と答えが来た。答えといっても、壁にぶつかり続けて単語を表現しているので、かなり大変そうだ……。

 さすが賢スラ……。そんな哲学的なことをこの体で考えているのか……。

 さらに、ずっと壁に体を打ちつけているうちに体が黒くなってしまったなどと言葉を並べられた。体の色にそんな感動秘話があったのか!

「ありがとう、あなたが思考を深められることを祈ってるよ」

 賢スラのすごさを感じつつ、私たちは地下室を後にした。

 さて、次はトムリアナ州を目指すのだけど、ドラゴンになって飛んできたライカには疲れの色がかなり目立っていた。

「ライカ、今日はヴァンゼルド城に泊まろうか」
「我のためにすいません……」
「何言ってるの。よく働いた後はしっかり休息をとるのは当たり前のことだよ」

 それに疲れたのは私も同じだ。ファルファがスライムになってしまったショックは大きい。
 厳密にはもとからスライムだったのかもしれないけど、私にとってはファルファはスライムじゃなくて、ファルファという一人の娘だった。

 ベルゼブブに用意してもらった部屋のお風呂に入って、しばしの休息をとった。
 ほかの家族のみんなも心配してるだろうし、できるだけ早く解決したいな。

 すると、どんどんと何かが扉にぶつかっていた。
 ぶつかり方で、それがファルファだと判断できた。

 扉を開けると、ファルファがお風呂のお湯に入ってきた。
 沈みすぎるとまずいので、手で受け止める。

「ファルファもお風呂入りたいの?」
 私の手の上でファルファがジャンプした。

 姿が変わっても、ファルファはファルファなんだ。それにほっとすると同時に寂しさもこみあげてくる。こんな状況は早く解決してあげたい。いつもどおりの、あの笑顔のかわいいファルファに戻してやりたい。

「ファルファ、もう少しの辛抱だからね。待っててね」
 私はファルファをぎゅっと抱きしめた。

 これは有象無象のスライムじゃなくて、ファルファなのだとその触り心地でわかった。ファルファの優しさが伝わってくるのだ。

 何十匹というスライムの中に混ざっても、触ることですぐにファルファを見つけられると思った。



 翌日、朝からベルゼブブが部屋にやってきた。
「トムリアナ州の一番高い山について調べてみた。モダディアナ山というやせ細った山じゃな。木もほとんど生えてない環境で、人間はほぼ誰も踏み入らぬようじゃ」

「いかにも何かいそうな環境だね。調べてくれてありがと」
「ファルファのこととなれば、わらわの娘も同然じゃ。絶対に助けるぞ!」

「そう言ってくれるのはうれしいけど、あくまでも私の娘だからね……?」
 過去に養女にくれとか言ってたので、気をつけたい。なし崩し的に養子縁組をする流れになったら困る。

「シャルシャもおるのじゃから、どっちか一人くれてもよいじゃろ……」
 やっぱ、狙ってたか……。油断してるとヤバいな……。
「余ってるお皿あげるのと一緒にしないで! だいたい双子なのに離ればなれにさせたらかわいそうでしょ!」
「そうじゃな。じゃあ、二人とも引き取ろう」

 ダメだ、こいつ、話通じない……。

 私たちはモダディアナ山へとドラゴン形態のライカに乗って移動した。
 その山はたしかに荒涼としていて、山の上のほうでは道もないところだった。

 歩いて探すのはあまりにも骨が折れるので、それぞれ手分けして、空から魔法使いが住んでいそうな小屋などがないか調べる。

 魔法使いは人里離れたところで工房を構えることが多い。だから、工房があっても、なんらおかしくないと言える。
 ――しかし、空から調べてもちっともそれらしいものは見つからなかった。

「ほぼ、山の全域を飛び回ったけどないね……」
 一度、みんなで集まって作戦会議をすることにした。
「ほぼハゲ山じゃから、森に隠れて見えぬということもないはずなのじゃがな……」
「まず、人為的な建物が一切ありません……。洞窟にでも住んでいたりしませんかね……」

「洞窟かあ。可能性は否定できないね――いや、待てよ……」

 そのライカの言葉で思いつくことがあった。

「ベルゼブブ、魔力探知の魔法ってできる? できないなら私が作って、自力で習得するけど」
 作ることはそんなに難しくはないと思うけど、すでに覚えてる人間がいるなら使ってもらったほうがはるかに早い。

「ああ、そういうことか。できるぞ。やってみよう」
 ベルゼブブは意図を理解してくれたらしい。

「あの、いったい、どういうことなんですか……?」
「魔法使いなら自分の工房が目につかないようにブラフの魔法をかける可能性がある。探しても見つからないのはそのせいかもしれない」

 ベルゼブブははっきりと何かを感じ取ったらしい。

「かなり強めの魔力があったのじゃ。そこに何者かがおるようじゃの」
 私たち一行はすぐにその場を目指した。

 すると上空からは何も見えなかったはずなのに、地上を徒歩で進んでいくと、ある地点から突然小さな一軒家が現れた。
 今すぐ崖に落ちそうなところに建っている。むしろ、崖にへばりつくことが目的みたいだ。

「当たりみたいだね。じゃあ、行こうか」
 私はその一軒家のドアをどんどんと叩いた。

 しばらくすると、がちゃりとドアが開き、「人」が出てきた。

 ブロンドの髪をきれいに編み上げた十五歳ぐらいの美少女だ。
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