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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ファルファ、スライムに戻る編

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93 ファルファの異変

 クッキー騒動も収まって、高原の家にもまた静かな日々がやってきた。
 窓から差し込んできた朝日で私は目を覚ます。

「そうだ、そうだ。今日は私が食事当番なんだ。もう支度しないと」

 私が部屋を出ようとした時だった。

 ――どんどんどんどんどんどんどんどん!

 ものすごい勢いでドアがノックされた。
 いったい、何事?

「た、大変! 大変なの! 母さん! 母さん!」
 この声はシャルシャだ。いつものシャルシャとは思えないぐらい感情が入った大きな声だった。でも、感心している場合じゃない。何やら異常事態が起きている!

「どうしたの、シャルシャ!」
 私がドアを開けると、シャルシャがぐすぐす泣いていた。
 もしかして、姉妹ゲンカ? ファルファとケンカしてる印象なんて全然ないけど。

「う~、う~、うわ~ん!」
 そのまま、私に抱き着いてくる。まだ状況がさっぱりわからない。
「シャルシャ、落ち着いて。ママも何がなんだかよくわからないよ」

「姉さんが……姉さんが……」
「ファルファに何かあったの?」
 シャルシャはまだ気が動転してるようだったけど、頭を縦に振った。

 だったら、ゆっくりしてはいられない。
 すぐに部屋を出た。
「ファルファ、いったい、どうしたの!?」

 ――と、廊下に不自然なものがいた。

 青い大きなスライムがぴょんぴょん跳ねていたのだ。

「なんで、スライムが家の中にいるのよ。もう、倒しておかないとダメか」
 すぐにシャルシャが後ろから走ってきた。

「母さん、ダメ! ダメ!」
「何? あのスライムの研究でもしてたの?」
「あれ…………姉さんなの」

 …………。
 ……………………。

「ごめん、よく意味がわからない」
「姉さんが朝起きたら、スライムになってた……」

 まさかな。これ、どう見てもただのスライムだし。
 ぴょんぴょん、スライムはこちらに近づいてきた。
 そして、私にすり寄ってくる。

 少なくとも攻撃しようという意図はないようだ――と判断していいかわからないけど、多分攻撃じゃなくて、じゃれているとか、そういう行動だと思われる。

「ねえ、あなた、本当にファルファなの?」
 ぴょーん、ぴょーん。
 かなり大きくスライムが跳ねた。

 これが肯定の意思表示かどうか判断する根拠がないのだけど、なんか肯定っぽい気がする。

「ど、どうしよう……」
 とりあえず撫でてみる。それに反応して、今度は左右に揺れた。喜んでるのかな。少なくとも逃げようとはしない。

「撫でられて喜んでるとしたら、やっぱりファルファってことでいいのかな……」

 前例がないからよくわからない。

「朝、起きたら、姉さんがスライムの姿になってた……。窓も空いていなかったから、外から侵入した可能性もない。スライムはドアを開けることはできないから、玄関から入ることもできない。つまり、このスライムは姉さんとしか考えられない……」

 なんかミステリ的な発言だな。でも、朝から部屋にいたとしたら、その可能性は高いな。

「シャルシャ、スライムについて詳しいよね? スライムの精霊だから詳しいでしょということじゃなくて、過去に論文みたいなのも書いてたし」
 そう、シャルシャはガチの研究者の側面も持っている才女なのだ。

「原因とか解決策とかわからないかな? 少なくともママには手が負えないよ……」
「シャルシャがやっていたのは文化史であって、生物学は門外漢……」

 違うのか。多分、文系と理系の違いがあるんだろうな。

「家族の緊急事態だし、ひとまずみんな集めようか」

 こうして、家族一同に集まってもらった。説明前に誰かがスライムのファルファと会って倒してしまうと大変なことになるので、ファルファを部屋に入れて、部屋の前で説明をするという手をとった。

 その経緯が終わったので食事部屋に移動する。

 スライムのファルファもついてきた。しゃべったりはできないが、どうやら自我のようなものは残っているらしい。

「今からファルファ救出会議をはじめたいと思います……。実は解決策を知ってるという方、挙手をお願いします」

 もしかすると、案外単純な問題だったという可能性もゼロではない。たとえば、ホームページ画面がいきなり最大化されて、全然終了できなくて困ってたら、F11キーを押してただけだったみたいなやつ。
 知ってればトラブルでもなんでもないが、知らないと対処不可能なことというのは世の中にはかなりある。

 誰も手を挙げない。

「じゃあ……こういう方法を試したらいいんじゃないかという提案を募集します」

「はい、姐さん!」
 幽霊のロザリーが手を挙げた。
「ここは元に戻るよう、必死に祈ってみたらいいんじゃないですか! 信じる者は救われるって言いますし!」

 幽霊の人が言うと、すっごくシュールだな……。
 ただ、魔法や幽霊がごく普通に存在する世界なのだ。祈りが効果を持つという可能性を一笑に付すのは早急ではある。

「わかった。ロザリーは空いている部屋で祈りを捧げてて」
「はい! 姐さんの娘さんのためにも全力で祈ります!」

 ロザリーには全力を尽くしてもらうとして、まだ案は募集したい。できれば具体的なやつ。

「アズサ様、魔法でどうにかなりませんか?」
「さすがにここまで特殊な魔法は自作できないと思うよ……。いや、魔族のことなら、ベルゼブブに聞くか」

 私はとある呪文を詠唱した。

「ヴォサノサノンンヂシダウ・ヴェイアニ・エンリラ!」

 これはベルゼブブを呼び出す魔法なのだ。ピンチだから、遠慮なく使わせてもらう。

 ばしゃーん!

 風呂場から音がした。

 ベルゼブブが来たな。
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