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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンのクッキー対決編

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89 クッキー対決

今回から新展開です。
 ゆさゆさと体を揺す振られている。
 ただ、微妙に体が引き裂かれるような妙な力を感じるのだけど、これはいったい何だ
……?

 目を空けたら、ファルファとシャルシャが私の両側に立って、ベッドで寝てる私を揺さ振っていた。

 ただ、二人の揺すり方がずれているので、体が中央に収縮したり、逆に外側に引き裂かれたりするような力がかかっている。

「よいしょ」「……よいしょ」「よいしょ」「……よ、よいしょ」

 シャルシャのほうだけ常に一拍遅い! こういうところに双子みたいな二人でも性格が出るなあ――などと感慨にふけっている場合でもない。

「痛いから、もう揺す振るのやめて!」

「あっ、ママが起きた!」
「よかった、よかった」

 ファルファがにっこりと、シャルシャがわずかに口元に笑みを浮かべた。
 これでもシャルシャはだんだんと感情表現が豊かになってきている。以前は笑みさえなかなか見せなかったからな。

「ずっと、ママが寝てて起きてこないから、心配になって呼びに来たんだよ」
「もう、とっくに食事の時間。起床時間にしては遅い」

 マジか。時計を見たら、たしかにいつもより一時間半は遅い。

「あっ、そうか……。魔族の城から帰ったばっかりだからな……」
 魔族の城では、いろいろと、本当にいろいろとあったので、疲れがたまっていたのだろう。慣れたベッドで快眠していたらしい。

「朝食当番は今日は誰だっけ? 私ではなかったはずだよな……」
 この高原の家では食事は当番制になっている。たしか、今日はライカだった気がするけど、ライカはちゃんと起きられたのかな?

 食卓に向かうと、大量のクッキーが置かれていた。
 置かれていたというか、積まれていた。
 しかも、大皿二つにそれぞれ別々に積まれている。

 なんだ、これ……。業務用レベルであるぞ……。大食い大会でもするつもりなの……?

「あっ、アズサ様、おはようございます」
 ライカも多少疲れた顔をしているが、おおかた旅行疲れだろう。
 はっきり言って、旅行に出かけて疲れないほうがおかしいからね。

「ライカ、このクッキーは何? 別に朝食をクッキーにするのでもいいけど」
 ノドが渇くことを除けば、クッキーにとくにデメリットはない。割と栄養価高そうだし。

「実はですね、これは……」
 すると、ライカの後ろからニューフェイスが出てきた。

「ご主人様、フラットルテの作ったクッキーをどうぞ!」

 この子はフラットルテ。ライカと違って、人の姿をとっていても角も尻尾も生えているので、非常によく目立つ。

「きっと、ライカの作ったクッキーよりおいしいはずですので!」
 フラットルテがライカを押しのけようとしたが、それに負けじとライカが踏みとどまる。
「そんなことないです。我のクッキーのほうがおいしいです。なにせ、アズサ様の好きな味も把握してるわけですから」
「ふん、そんなのお世辞でおいしいと言われていただけだ!」
「失礼な人ですね! そういうところがブルードラゴンのよくない点なんです!」

 ああ、この言い合いでだいたいの事情はわかった。

 そういえば、魔族の土地から帰る時、リヴァイアサン上でスウィーツ対決をするみたいな話をしていたな。あれ、その場の勢いだと思ったのだけど、本当にやったらしい。

「わかったよ。じゃあ、どっちがおいしいか公平に決めようじゃない」
 二人とも、納得したようにこくこくとうなずいた。なんか、意外と息合ってないか? 同じドラゴンだし、息が合ってても、おかしくはないけど。

「それじゃ、私とハルカラとファルファ、シャルシャの四人でどっちがおいしいか決めるということで――」
「それはよくないですね」「我もそう思います」
 二人に否定された。やっぱり息合ってるじゃないか。

「あくまでもご主人様においしいと思っていただけるクッキーを作りましたので」
「我もそう考えています。それに四人で審査した場合、引き分けに終わるかもしれませんので」

 これ、どっちに転んでも遺恨が残る展開だなあ……。

 私が席につくと、お皿二つに、それぞれクッキーが数枚並べられた。
 公平性を守るため、作者はわからない状態にしてある。

「必ずや御主人様はフラットルテのほうを選ぶさ!」
「アズサ様と我の長い付き合いを考えれば、あなたが勝てるわけがないでしょう!」

 いがみあわれると、おいしく食べづらくなるのでやめてほしいのだけど……。
 とにかく、遅めの朝食をいただくとしようか。これでおいしければ、すべてよし。

 まず、向かって右の皿。
「おっ、バターの風味が効いていて、ライトな食感。なかなか悪くないね」

 続けて三枚ほど食べてみたが、かなりレベルの高い一品だ。
 喜んだりすると作者がわかってしまうので、二人も神妙な顔で黙っている。

 続いて、向かって左の皿。
「こっちは、これ、煎った豆を砕いて入れてるんだね。これはこれで食感が面白いな。なんだろう、これ、日本にあった、生地に炭酸水入れて作った甘いせんべいに近い気がする」

「アズサ様、それでどちらの勝利でしょうか? どうせ我の勝ちだとは思いますが」

 ライカが私の前に立つ。

 そう言われると……これ、難しいな……。

 というのも、見た目はクッキーだけど、想像以上にコンセプトが違うのだ。なので、どっちがおいしいとか決めづらい。

「さあ、どちらでしょうか? 勝つのはフラットルテですよね!」
 フラットルテも自信があるのか、私の前に出た。

 どうしよう……。判断に迷った答えでどっちかが傷つく展開は避けたい……。味に明らかな優劣があるならまだ気楽に言えるんだけど……。

 私が迷っているうちに、二人の顔はやけに自信にあふれたものになっていた。一言で言うと、ドヤ顔だった。

 いよいよ言いづらいぞ……!
だいぶ、話も続いてきたので、キャラ紹介を入れておきます。

●アズサ
300歳ちょっと。この世界でおそらく最強の魔女。高原の家はかなり広いはずだが、かなり家族が増えてきて、正直、そろそろまた増築するべきではないかと最近考えはじめている。

●ライカ
アズサとの付き合いは一番長くて、真面目な性格のレッドドラゴンの少女。ただ、同じドラゴンのフラットルテが来たことで、ちょっと危機感を覚えている。

●ファルファ
スライムの精霊の姉のほう。子供っぽい言動だが、理系の知識はものすごく豊富。知識量的に、もっと学者っぽい口調や大人の口調でしゃべることもできるはずなので、もしかするとキャラ作りのために子供っぽく振る舞ってる可能性もある。

●シャルシャ
スライムの精霊の妹のほう。文系の知識が豊富。感情表現が苦手で、たまに姉のファルファが助け舟を出してやっている。

●ハルカラ
工場を経営しているエルフ。本来、高原の家の中では一番社会的に成功しているはずなのだが、脇が甘すぎてトラブルをたくさん作っているのでそう見えない。実はハルカラが出している利益によって、じょじょに高原の家の調度品などが立派になっている。

●ベルゼブブ
上級魔族だが、アズサたちにはけっこう軽く使われている。ただ、文句は言うが絶対手伝ってくれるので、まんざらでもないらしい。

●ロザリー
ちょっと不良っぽい口調の幽霊。人にとりつくこともできるが、あとの問題が面倒になるので、長らく入っていない。

●ヴァーニア
リヴァイアサン姉妹の妹。けっこう、仕事のミスが多いので姉と上司のベルゼブブから目をつけられている。魔族全体で見ると、かなり偉い地位なのだが、まだ若いので乗り物的なポジションをやっている。

●ファートラ
リヴァイアサン姉妹の姉のほう。妹のドジっぷりに心を痛めている。ただ、実は裏で妹のフォローなどをけっこう入れていて、意外に妹想い。

●ペコラ
本名はプロヴァト・ペコラ・アリエース。魔王だが、いたずら好きでわざとトラブルになるようなことを行うところがある。アズサをお姉様認定したので、また今後、高原の家あたりに訪れる可能性アリ。

●フラットルテ
ペコラの計略でアズサのところに厄介になることになったブルードラゴン。かなりの甘えたガリで、アズサともっとひっつきたいと思っている。なお、ライカと昔からライバル関係だったわけではなく、むしろライカの姉と腐れ縁だった。

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