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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

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86 ドラゴン追加

「ペコラ、あなた、いいかげんなようで、なかなか上手く考えたね」
「魔王として、世界の平和のために目を光らせないといけませんからね」
 ペコラはなかなか得意げだった。

「私の知っている魔王とずいぶん違うな……。どっちかというと、世界に害を与える側だったんだけど」
「かつてはそうだったらしいですね。けれど、世界征服を目論んでこりたそうです。領土が広すぎると管理できなくて、無意味だと」
 たしかに広ければいいというものではないかもしれない。

「さてと、ブルードラゴンが反抗しないという証明をお姉様にもしてもらいましょうか」
 まだ、何かやらされるのか?

「フラットルテさんの角をなでてください。ブルードラゴンは絶対服従の相手には角をなでさせるとうかがっています」
 にっこりとペコラは微笑む。愛らしい笑顔だけど、その中に微妙な黒さが交じっているのがだんだんとわかってきた。

「ひぃっ! 角、角は困る……困ります……」
 フラットルテが身を引いている。
 ライカも「魔王様は容赦しないのですね」とちょっとフラットルテに同情するような目をしていた。

「そんなに、角触られるの、ダメなの?」
「ブルードラゴン特有の習俗なのですが、完全なる服従を意味します。もし、それを破れば死あるのみ――ということで、これまでの戦いではそこはレッドドラゴンとしても触らないことにしていたのです」
 そのあたりの感覚は角がないのでよくわからない。

「かつての冒険者はドラゴンを自分のものにしようとその角を触ろうとして、何人も命を落としたと言います。たいてい、触る前に冷気を吐かれてやられてしまいますから」
 そっか、ドラゴンに乗る騎士みたいな話を聞いたことがあるけど、ブルードラゴンのことなのか。

「もし、レッドドラゴンのライカさんが触ると、それはレッドドラゴンによるブルードラゴンの完全支配化ということになって、あなたたちも気まずいでしょう。なので、高原の魔女であるお姉様が触るのがちょうどいいんです。つまり、これまでの楔に加えてもう一本楔を打っておこうということです」

 本当にペコラは策士だ。
 だからこそ、魔王をやれているのかもしれないけど。

「じゃあ、平和のためということだし、触っておこうかな」
「か、勝手にしろ……」
 うなだれたようにフラットルテが頭を垂れた。

 では、その角を触らせてもらおう。
 かなり硬いので石でもなでているみたいだけど。
「ご先祖様……フラットルテは魔女に服従することになりました……。恥さらしとなったことをお許しください……」
 これを衆人環視でやるって、ペコラってなかなか鬼畜だなと思いながら、角なでは終了した。

「お疲れ様です。では、表彰はこれにておしまいですね。立食パーティーをどうぞ」

 こうして私は無事に褒章を得たのだった。
 が、まだまだ変な問題があった。

 私の後ろをずっとフラットルテがついてくるのだ。
「あの、何の用?」
「フ、フラットルテは……高原の魔女様に支配されましたので……このように後ろに控えているのです……」

 嫌な予感がした。
「もしかして、これって、家までついて来るパターン……?」
「左様です……」
 ずっと恥辱で顔を赤らめながら、フラットルテが言った。見た目は女の子なので、かなりひどいことをしている気分になる。

 一方で、ライカはライカで迷惑そうだった。
「アズサ様、高原の家にドラゴンは二人も必要ありません。わ、我だけで充分です……。フラットルテにはブルードラゴンの故郷に帰るようにお命じください」
 ライカの言葉ももっともだ。強制移住させるのもかわいそうだし、これまでどおり故郷で暮らせと「命令」すればいいのだ。

「ブルードラゴンのしきたりで、支配者の方から離れる時は自害せねばなりません……。支配者の方をどこまでもお守りせねばならないので……」
「しきたりがハード!」

 ちょっと離れたところにいたペコラと、目が合った。
 お姉様、そのフラットルテという人をよろしくお願いしますね――みたいな顔をしていた。
「ペコラ、全部知ってて、私に触らせたな! かわいい顔して、あの子悪魔!」
「アズサ様、あの人は悪魔も悪魔の魔王です」
 ライカに突っこまれた。
「本当だ……。やっぱり、魔族は怖いや……」

 そこにベルゼブブがやってきた。やってくるなり、頭を下げられた。
「魔王様はどうもいたずら好きでのう……。悪い人ではないし、頭も切れるのじゃが、たまに思いつきで変なことをすることがあるのじゃ……。すまぬ……」
「まあ、本気で困ったことになったわけじゃないし、別にいいよ」
 ベルゼブブもここだと中間管理職の苦労人に見える。実際、偉い人に振り回されてるわけだしな。

「あの……どんなことでもやりますので、連れていってください……」
 フラットルテはフラットルテでずっとうつむいていた。
「はいはい、大丈夫だから、顔上げて」

「はい、高原の魔女のご主人様……」
 人間の姿をとってるなら、空いている部屋に住んでもらう分には問題ないだろう。
「あなたも大変なことに巻き込まれちゃったみたいだけど、こっちで引き取るから心配しないで。それと私がいるところに来る分にはお咎めないんでしょ。あなたの故郷にもたまに行ってあげるから、それについて来て」

「ありがとうございます!」
 その場で跪かれた。
 なんだか、無茶苦茶偉くなったみたいでやりづらいな……。

「慈悲のあるアズサ様に拾われてよかったですね」
 ふうとライカがため息をついた。戦友だったみたいだからまんざらでもないのかもしれない。
「ライカ、お前には負けないからな!」
 だが、がばっとフラットルテが顔を上げた。

「なっ、どういうことです!?」
「あくまでもこっちはご主人様に服従するだけだ! お前に服従するわけじゃない!」
「先輩の我に失礼ですよ!」
「先輩とか後輩とか関係ない! お前はご主人様じゃないからな!」

 二人がいがみあってケンカをはじめた。

 これは、またややこしいことになりそうだなあ……。

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