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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

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83 家族再会

 その時、扉が開いた。
「いや~、お師匠様、本当に怖かったですよ……。水牢につけられるところでした……」
 ハルカラが入ってきていた。
 でも、その時には私はペコラにキスをしようとしていたわけで……。

 そのせいでキスは中断されたけど、思いきりハルカラに見られた。
「えっ……。お師匠様、魔王とできて……。え、え、ええええええええっ!」
 ハルカラが明らかにテンパっていた。
「落ち着いて、ハルカラ! むしろ、落ち着け!」

「お師匠様って、女性が好きになっちゃうタイプの方だったんですか!? そうなんですか……その……応援します」
「別に応援はいらない!」

「ただ、それだと同じ家に住んでいて一度も迫られたことのないわたしってそんなに魅力ないですか……? 謎の敗北感が……」
「何にも負けてないから! そんな謎の気持ちを抱く必要ないから!」

 私が弁解している間、ペコラがなんかムっとしていた。これまでにないぐらい、明確に顔を赤くしている。
「あなた、お姉様との大切な時間に踏み込んでくるとは、何のデリカシーもないんですか! これだけは絶対に許せません! 処刑します!」
 えええええっ!

「釈放されたと思ったら、処刑されるんですかーっ!? 勘弁してください! 何でもしますから許してください!」
 ハルカラが絶望して、半泣きになっていた。
「処刑はダメ! 許してあげて! ねっ、ねっ!?」
「お姉様、止めないでください! わたくしのロマンをあの人はぶち壊したんです!」
「止めるって! 止めないわけにもいかないって!」

 ううん……どうしたら機嫌をなおしてもらえるだろう……。

「じゃあ、あらためてキスする?」
「雰囲気が壊れたので、けっこうです……。お姉様と妹のキスは絆を深める儀式なんです……。ただ、くちびるが触れればいいというものではないのです……」

 やけにこだわりがあるらしいな。
 結果的にキスもしなくてよくなりました。
 あと、どうにかペコラをなだめて、ハルカラは許されることになりました。



 その後、私たち家族は無事に再会を果たした。
 部屋に戻ったハルカラのところにファルファが飛びついていた。その後ろで、シャルシャとライカがほっとため息をついている。

「いやあ、一時はどうなるかと思いました。ハルカラさん、もう少しだけ慎重に生きてくださいね」
「ライカさんにもご心配おかけしましたね……。すいませんでした……」
 ハルカラも今回は猛省をしているようだった。
「でも、終わりよければすべて良しです。おかえりなさい。今日はゆっくりお休みください」
 ライカの顔がやさしいものになる。ハルカラを気づかっていたのはみんな一緒だ。

「ありがとうございます。もう少し遅かったら、自白のためという理由で水牢につけられるところでした……」
 裁判の前から実質、罰を与えてくるシステムか……。危ないところだったな。

「ところで、ロザリーはどこにいるの? 姿が見えないんだけど」
 私の横の壁からロザリーの顔が出てきた。
「あっ、すいません、壁の中にいました!」
「わっ! びっくりさせないでよ!」
 びくっとした。跳び上がって、ハルカラの足を踏みかけたぐらいだ。

「そっか、壁の中にいると、皆さんからは見えないんですね。一緒に喜んでたんですが……」
 なんか、マジックミラーみたいだなあ……。
 けど、今度こそ全員が揃った。

 ふっと、娘二人にあることをしたくなった。

「ねえ、シャルシャ、ちょっと来なさい」
 まず、近くにいたシャルシャのほうを呼ぶ。

「シャルシャ、ちょっとこっちに来なさい」
 てとてとと、シャルシャが心なしか小走りでやってきた。
 そんなシャルシャの体を抱き上げて、頬にちゅっとキス。

「あっ、キス……」
 シャルシャは下ろされたあとも、しばらくぽかんとしていた。
「これからはね、あなたたち二人にはキスをすることにしました。…………いいよね? やってから聞いちゃってるけど」

 ペコラに触発されて、母親として娘にはキスをしてあげることに決めたのだ。
 ただでさえ、私と娘の関係は、普通の親子よりあいまいだから、こうやって親子であることを確認することは大事だから。

「……全然嫌じゃない」
 照れるようなことをしちゃったせいか、シャルシャの顔がちょっと赤くなっていた。

「ママ! ファルファも! ファルファも!」
 ぴょんぴょんファルファがジャンプする。もちろん、キスするよ。娘二人は平等に扱うというのは私のポリシーみたいなものだ。二人の性格に違いはあっても、注ぐ愛に優劣があっては絶対にいけない。二人とも、私がスライムを倒していなければ、生まれなかった存在なのだから。

 ファルファはこっちに飛び込んできたところをそのまま抱き上げる。そこで、キス。
 二人とも、スライムの精霊だけど、頬はスライムみたいにぷよぷよしていたりはしなかっ――いや、でも張りはすごくあるな。これが若さってやつなのだろうか? それとも、本当にスライムだから?

「わーい! ママにキスしてもらった!」
 ファルファは何の恥ずかしさもなく、喜ぶ。そう、親子に恥ずかしさなんて必要ないのだ。

「ママ、ファルファもキスする!」
「うん、いいよ。でも、ちょっと待ってね」
 両人の意思を尊重しつつ、できるだけ平等に。
「シャルシャもママにキスする?」
 シャルシャが「うん」とうなずく。

「じゃあ、両方からママにキスして」
 二人がタイミングを見計らって、私の頬にキスをしてくれた。

 娘二人にキスをしてもらう。母親としてこんなにリア充な時間があるだろうか。まず、ないと言っていいだろう。今日はすごく働いたし、これぐらいの役得があってもいいよね。

「はい、二人ともありがとうね」
「ファルファ、ママのこと、もっと好きになったかも!」
「愛というものは、もっととか減ったとか、量的に表現することはできない」
 このあたりに二人の違いが出てるな。

 キスという概念を教えてくれたことに関しては、魔王ペコラに感謝しておかないとな。

「いやあ、親子のキスも、またいいものですねえ」
 さっきまで聞いていたような声がした。
 振り返ると、ドアを開けて、ペコラが入ってきていた。

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