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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

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81 魔王と決闘

 魔王は護身用の剣を抜いている。

 えらいことになった……。

「魔王様、私はあなたを起こすために気付け薬を持ってきただけです。あなたを襲う意図はありません」
「でも、その緑色の薬、いかにも毒っぽいですよ」
 ぶっちゃけ、毒にしか見えないまがまがしい色をしていた……。
「そう思うだけです。飲んだら、『あ~、まずい! でも、もう一杯!』と言いたくなるはず!」
「信用できません! そんなに信じてほしかったら、このプロヴァト・ペコラ・アリエースと勝負をなさって、身の潔白を証明いたしなさい!」

「そ、それでどうやって証明になるんですかね……」
「簡単なことです。あなたがわたくしの身を害することが目的なら、生かすわけがありません。でも、あなたが本当にわたくしを助けることが目的なら、あなたが勝ってもわたくしを殺しはしないはずです」

 なるほど、わからなくはないけど――
「それって、私が圧勝しないと成立しなくないですか……?」
「もし、あなたが死んだりしたら、その時はその時です。わたくしがただ、暗殺者を倒したという事実が残るだけです。わたくしには何も問題は残りません」
 さらりとひどいことを言われた。

 戦わずに逃げることもできなくはないけど、それをやると弁明の機会が完璧に失われる。全面戦争なんてことになりかねないし、ベルゼブブやヴァーニアが殺される恐れもある。
 ここは拳で語り合うしかないか。

 精神集中。
 敵を圧倒する。

「さあ、アズサさん。来なさい!」
 私は床を蹴って、魔王に突っこむ。

 魔王が大きな剣を高速で横に薙いできた。
 ブオオォォォォ!
「危なっ!」

「あれ、今のがかわされるとは……。とんでもない素早さですね……」
 魔王がきょとんとしている。
 さすが魔王、とんでもなく高い能力を持っているのは間違いないようだ。これまでの敵なら問題なく殴れていた。殴って本当に大丈夫なのかという気もするけど。

 もう一度、接近したが、やっぱり剣が危ない。魔王は剣を高速で振り回す。どうやら剣術のたぐいをかなり学んでいるようだ。
 突っこめなくもないが、不安要素が残る。賭けに出るような戦いはしたくないし、するべきじゃない。私がもしも負けたら、家族も仲間もたくさんの人が死ぬかもしれない。

「あんまりゆっくりしていると、エルフの命も危ういですよ
 その言葉で何かに火がついた。
「とっとと向かってきなさい」

 言われなくてもやるよ。
 家族の命を守るために、私は一切の妥協をしない。

 私は全力で体を加速させる。

 そして――あらゆる力をこめた拳を放つ。

 剣に向かって。

 私に剣を殴られた魔王の体がよろめいて、壁にぶつかった。
「おっとっと……」
「これで勝負あったんじゃないかな」
「それは早計ですよ。バランスは崩れましたけど、わたくしは追い詰められたわけでもなんでもないですからね」

「そっか。まだ、わかってないんだ」
 こういうセリフ一度言ってみたかった。
「もう、破壊させてもらったからね」

 わずかな時間差を置いて、剣が粉々に砕けていた。
 呆然と魔王はその役に立たなくなった剣を落とした。

「こんなことが……」
「いくらでも肉体を鍛えることはできても、武器の強度を高めるのには限界があるからね」

 剣が邪魔だったから破壊してやった。それがハルカラを助ける最短ルートだから。

 武器を破壊したら、あとはこっちのターンだ。
 私はさらに加速。

 魔王の顔の真横を思い切り手で叩いた。

 ドオォォォォォン!
 とことん、強烈な壁ドン。
 それで壁にも亀裂が入っている。

 やっと、魔王の表情もゆがんできた。
「ひっ……」
 剣がなければ、魔王は戦えないらしい。格闘ができる人間にはありえないような逃げ腰だ。

「魔王様、チェックメイトですね」
 怒りは顔に出さずに、できるだけ笑みを作って応対。でも、目は絶対に笑ってないから、かなり威圧的な感じになってるだろうけど。
「このまま続ければ私が勝ちます。続けたほうがいいなんてことはないですよね?」

 魔王は上目づかいで私の顔を見ている。ふるえているのか、言葉が出てこないようだ。

「私の言うこと、聞いていただけますか?」

「わ、わ……わかりました……」
「ハルカラを助けてやってください。あの子はおっちょこちょいなだけで、悪気はないんです。それと私の家族と私を助けようとした魔族も罪はないってことでお願いします。すべては不幸なボタンのかけ違いなんです。魔王様が許すと言ってくれれば、何もかも上手く収まるんです」

「はい、お姉様」

 なんか、妙な呼び方をされたと思ったら、魔王に抱きつかれた。

「わたくし、お姉様にすべて従いますから! よろしくお願いいたします!」
「あの、お姉様っていうのは何なんでしょうか……?」
「わたくし、自分よりお強い方を慕って生きたいとかねがね願っておりまして、アズサさんならそれにぴったりなのかなと思って、試させていただきました」

 試した? この人、意図的に戦闘に持ち込んだのか!?

「これから先もお姉様を敬愛して生きていければと思います。よろしくお願いいたしますね」
「あの、魔王様……、敬愛していただくのは光栄なんですが、ひとまずハルカラほかみんなの安全を保証してもらえませんかね……?」
「あっ、そんな丁寧な言い方はやめてください。『プロヴァト、家族を解放しなさい』などと命令口調でお願いいたします」

 なんか、この人、若干、変な性癖を持っているんじゃないか……?
 そういえば、昔、偉い人ほど、マゾっぽいところがあるとかいう話をどこかで読んだことがあるぞ……。

 だが、ハルカラを助けるためだ。命令することを嫌がってもしょうがないか。

「プロヴァトというのはかわいげないね。ペコラって呼ぶよ」
 名前がプロヴァト・ペコラ・アリエースだからな。魔族だとどれが名前でどれが姓かよくわからないけど。
「はい、お姉様」
「まず、べたべたくっついていないで私から離れなさい、ペコラ」
「ごめんなさい、お姉様」

 すごくうれしそうに素直に命令を聞いて、離れてくれた。
なんだか、魔王になつかれてしまったようです。
先週、更新を開始した「織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました」週間1位をキープ中です! こちらもよろしければご覧ください! 
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