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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

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80 魔王のもとへ

 私は変装を行って、ヴァーニアとともに窓から脱出した。

「では、今から魔王様のところを目指します。医師という設定、忘れないでくださいね」
「大丈夫。医師グッズももらってるし」
 医師用の服のほかに薬を入れる木箱も用意してもらっている。気付け薬はそっちのガラス瓶に移し変えて、ふたをしている。ベルゼブブはなかなか周到だ。

 魔王のいる棟に近づくごとに何度も検問みたいなところに引っかかったが、「ベルゼブブ様の部下、ヴァーニアです。ベルゼブブ様のご命令により医師を連れてきました」と職員証みたいなものを見せると、ちゃんと通してもらえた。

 ヴァーニアもベルゼブブも文句なしに魔族の職員だから、怪しいところはない。思ったより疑われなかった。
 このまま、ゴリ押しで進みきれば私たちの勝ちだ。

 ついに魔王がいるという棟にまで到着した。
 棟に入る検問も通過して、ついに棟の二階に上がる。そこには幹部らしい魔族がずらっと勢ぞろいしていた。ベルゼブブの姿もそこにある。

「むっ、この者たちは何だ?」
 幹部らしいいかつい魔族の男が声をかけてきた。
「ベルゼブブ様の部下です。魔王様のための医師をお連れいたしました……」
 相手が三下じゃないので、ヴァーニアがちょっとふるえた。
「医師? ベルゼブブが呼んだなどという話は確認しておらんぞ。だいたい、医師は内部の者ですませる予定のはず」

 あっ、これはまずい……。
 ベルゼブブもここまでは話を通せていなかったらしく、うつむいている。
「その医師の角もどうもうさんくさいな。付け角ではないのか? ちょっと確認させろ」

「しょうがないな」
 私はフードを取り、角付きカチューシャを投げ捨てる。

「私は高原の魔女アズサ! 魔王を起こすために薬を持って参上しました! 今すぐ魔王を起こしてあげますから道を開けてください!」
 こっちは人助けで来ているのだ。何も恥ずかしがる必要もない。堂々としていればいいのだ。
「何が『起こしてあげる』だ! うさんくさいにもほどがある! 皆の者、こいつらを捕まえるぞ!」

 やっぱり、そうなるよな。でも、こっちもおとなしく捕まっているわけにはいかないのだ。

 即座にその牛魔王みたいな大きな角が生えた魔族の男に接近して――物理で殴る。
 ドゴォッ!
 魔族の男がくの字型に一瞬、折れたみたいになる。普通なら、これで倒せるのだけど――

「おのれ……。この人間、何者だ……?」
 気絶すらしていない。魔族の幹部っていうのは大物ばかりだな。
 もっとも、それに感心してばかりいてもしょうがない。

 今度はまわし蹴り! さらにチョップをくらわしてからのもう一度まわし蹴り!
 立て続けに攻撃が入って、魔族の男が防戦一方になる。今がチャンス。接近してのグーパンチ!

 やっと男は気絶してくれたらしい。
 小休止を入れよう。薬箱が邪魔だから床に置いて、状況を確認。敵は十人ぐらい。ヴァーニアは割とあっさり捕まっている。ベルゼブブは「わらわは知らんぞ、知らんぞ!」としらを切って、問い詰める者二人ぐらいの気を引いている。

 それでも魔王の部屋まではあと五人ぐらいいる。
 上等だ。やってやる。

「魔王のところに通しなさいっ!」
 私はずんずん魔王を守る連中のほうに向かう。
「みんな、死守せよ! 魔法を使っていい!」
 氷雪やかまいたちを撃ち込まれる。
 その攻撃で少しばかり、服が破れた。ちょっとは傷も受けた。

 でも、それだけだ。

「なんだ、こんな程度か」
 連中におぞけが走ったのがわかった。
 これぐらいならレベル99を止めるのは無理だね。
「邪魔をするなら全員沈めるからね!」
 瞬間移動。
 敵の真ん前に現れる。
 そこでグーパンチ二連発! さらにキック!
 また瞬間移動して、別の奴の背後に出てきて、連続パンチ!

「敵がどこに出てくるかわからん!」
「破壊力が強すぎる!」
「誰か回復魔法を!」

 魔族はあわてふためいている。このまま行け。

 また背後に出現して、今度はジャンピングキック!
 一体を思いきり吹き飛ばした。

 さらに隣の奴にもパンチ! あごにクリーンヒットした!
 ついでにヴァーニアを捕まえていた奴にも背後から後頭部をキック!

「おかしいですよ……。どんなステータスしてるんですか……」
 魔族から見ても私がおかしいことはわかった。

 残りの敵も同じようにボコボコにした。
 瞬間移動からの肉弾戦作戦を止める手段は相手にはない。やっぱりレベルを上げ続けるのが最強への近道だな。

 魔王の部屋を守る兵士も鎧ごと殴り倒す。

 結局、ベルゼブブ以外、全滅していた。

「こ、こんなことになるとは思わんかったわい……」
 ベルゼブブも腰を抜かしていた。
「おぬしが本気を出したら一人で国が滅ぼされるぞ……」

「ちょっと派手にやりすぎちゃったね……。でも、これで思う存分魔王を介抱できそう」

 私は薬箱を持って、魔王がいるだろう部屋に入る。
 魔王、プロヴァト・ペコラ・アリエースが大きな天蓋付きの布団で眠っている。

 よし、この口に気付け薬を入れることができればなんとかなるはず。

 魔王の口に薬を近づける。これ、口を開けてもらわないとダメだから、ちょっと顔を触らせてもらわないと――

 その瞬間、魔王の瞳が開いて――こちらに頭突きをかましてきた。

 ガツン。

 回避が間に合わずに頭にダメージが来た……。いたたた……。防御力も高いからたいした被害はないけど。

「不埒者が接近してきた気がしたので、本能で目覚めました」
 もう、魔王は起き上がっている。そうか、意識がなくても敵を察知できるのか。さすが魔王。

 …………待てよ。
 魔王に敵と認識されたらいろいろとまずいのでは……。

「あの、魔王様、私はあなたを倒そうとしてきたわけではなくてですね……」
「高原の魔女アズサさん、わたくしと勝負なさい」
 魔王は護身用の剣を抜いている。

 えらいことになった……。
次回、魔王と戦います!

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