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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

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79 助っ人登場

「これを口に入れればあまりの苦さに目覚めると思う。なお、健康には無茶苦茶いいよ」

 こういう罰ゲーム、テレビとかでよくあったよな。苦すぎるお茶を飲ますやつとか。

 あんまりはしゃぐと怪しまれるので、ファルファは声を出さずに身振りで「やった~、完成だ~」ということを表現していた。

「さてと、あとはこれをどうやって魔王の寝てるところに運ぶかだな……」
「場所はわかるの?」とシャルシャが尋ねてくる。
「はっきり言ってノーヒント。倒れたわけだから、寝室にいるかも怪しいしね。治療用の専用の場所にいるかも……」

「姐さん、アタシだったら壁をすり抜けられます! 場所もわかりますよ!」
 ロザリーが胸の前に手を置いて、やる気を主張する。たしかにロザリーが適任と言えば適任なのだけど――
「ベルゼブブがあなたのことを見えていたように、魔族はあなたのことを視認できる可能性が高いの。となると、見つかる恐れも高いよね……。あなたに隠密スキルがあるわけじゃないだろうし……」
 さっきは外だったから、出るのも楽だったが、城の内部を探るとなると、発見の頻度も格段に高くなる。

「悪いけれど、ハルカラの命が懸かってるから、もっと確実な方法をとりたいな。もし、失敗した場合の責任をロザリーに押し付けるのも悪いし」
「わかりました……。そうですね……アタシ、ただの不良の幽霊ですからね……」

 ロザリーには悪いけど気持ちだけいただくことにする。とはいえ、このままじゃまだ何も打開策を思いついてはいない。

 ――と、窓ががらがらと開く音がした。
 あっ、窓を閉めてなかった! まさか、外に出てたのがばれたか? でも、こっちを追及するなら窓じゃなくてドアから入ってくるよね……?

「開いていて、よかったですぅ……」
 開いた窓から入ってきたのは、ベルゼブブの部下をしているヴァーニア。
「あなた、いったい、どうしてここに!?」
「ベルゼブブ様から、これを持ってくるようにと仰せつかっていまして……。ヴァンゼルド城の図面です」

 ひやひやものの作戦だったからなのか、ヴァーニアは胸を撫でおろしていた。
 ヴァーニアが出してきたのは、まごうかたなき間取り図だ。

「魔王様はその中の二階別棟の救護室にいらっしゃいます。その魔王様が起きてくださればなんとかなるはず――とベルゼブブ様はおっしゃっていました」
「ありがとう! すごく大事な情報が手に入ったよ!」

 ――と、監視が扉を開けた。ほぼ同時にライカがヴァーニアをトイレや浴槽のあるドアに押し込んだ。
「どうも、騒がしい気がしたのですが」
「あっ、ごめんね。ほら、小さい子供がいるからはしゃいじゃってね……」
 シャルシャが「お城って立派ですごいな~。風光明媚で趣き深いな~」と無理矢理はしゃぐ子供を演じようとしていた。。顔が全然笑ってないし、表現が子供っぽくなくて、かなりウソくさい。
 そのシャルシャをファルファが引っ張って、だだだっと部屋の中を走り回る。
「わーい! 広いよ! シャルシャも一緒に走ろっ!」

「まあ、この下の階に響くような安い普請ではありませんので、どうぞご自由に」
 納得したのか監視はドアを閉めた。危ない、危ない……。

 ヴァーニアが「おでこを打ちました……」と頭を押さえながら出てきた。この子もなにげに苦労人というか、ハルカラに近いタイプだよな。

「図面はありがたいんだけど、問題はここにどうやって行くかだね」
 魔王が意識不明で寝かされているところに誰でも入っていけるわけがない。
「変身の魔法はあるんだけど……魔法を見破る魔族がいたら危ないんだよね……。上級の魔族は多分欺けない……」

「それに関してもベルゼブブ様から一計を授けられています」
「ほんと!? それはすごくありがたいよ!」
 ベルゼブブへの借りがまた一つ増えたな。もし、彼女が政治家にでも立候補する時は応援演説してあげないと。

 ヴァーニアは角が二本ついたカチューシャを出してきた。
 それと、付け尻尾。
「これを付けて魔族のふりをしてもら――あの、高原の魔女様、顔が怖いですよ、真顔というか……」
「こんな、しょうもないコントみたいな小道具で欺けるわけないでしょ! 真面目にやって!」
 ハルカラの命が懸かってるんだぞ。

「いえ、真面目ですって……。角も尻尾も野生動物のものを使っているので、見ただけで偽物とは判別できませんよ……。フードなどを併用してカチューシャ部分を隠せば、なんとかいけます」
「尻尾はどうするの?」
「魔族用のお尻に穴の空いた服をお持ちしました」

 お尻に穴の空いた服……。抵抗はあるけど、しょうがないか。

「この服を着ていただいて、医師という触れ込みで魔王様のところに参りましょう。このヴァーニアがご案内いたします。あ、あんまりしたくないんですけど、ベルゼブブ様のご命令なので……」

 ヴァーニアはネガティブなことを想像したのか、青い顔になっていた。
「これ、ばれるとあなたも殺されるもんね」
「なんで、こんな大事になってるのか、謎です……」
 それはハルカラのせいです。すいません。

「でも、正面突破をするわけには絶対にいかないだろうし、魔王に近づけるところまで近づくのは正しいだろうね」
「はい、家臣たちも魔王様がお倒れになるのは緊急事態なので、どの医師が手配されたかなど、細かく認識できてない可能性が高いです。というか、そう信じたいです……」

 そんなことは把握しようがないからな。ダメ元で突っこむしかない部分はある。

「わかった。ヴァーニア、私を案内して」
「はい、わかりました。窓から外に出て、医師という設定で魔王様のところを目指しましょう」
 それと、居残り組にも指示を出しておかないといけない。

「ライカ、もし敵が攻めてきたら、娘二人と共にとにかく外に逃げて。私は負けるつもりはないから、必ずどこかでまた会える」
「はい、必ずお二人はお守りいたします」
 ライカは凜とした表情で答える。

「ロザリーもライカと一緒に逃げること。あるいは幽霊である点を生かして、魔族に見つからないところに逃げて」
「それなら、アタシは壁の中に隠れます。それなら魔族でも見えないと思いますので」
 壁の中にいるっていうことができるのか。それなら、そのほうが安全かな。

「じゃあ、みんな幸運を祈るよ。私の幸運も祈っててね!」

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