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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

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78 気付け薬作成作戦

 ハルカラを除いた私たちは来賓の部屋に通された。全員がまとめて泊まれる大部屋だ。どうも、リヴァイアサン上の部屋もそうだったけど、魔族は大きな部屋でまとめようとする風潮があるらしい。

「申し訳ありませんが、明日になるまで外出はお控えください。お手洗いとお風呂はお部屋にございますので。お料理などは時間になりましたら持ってまいりますので」
 表面上、丁寧に魔族に言われたが、つまり容疑者と言えなくもないからここから出るなということだ。ただ、ありがたいの軟禁ということだ。常に見張られているわけじゃないから、手の打ちようはいくらでもある。そう、いくらでもね。

「さてと――大変よくないことになったわけだけど、やるべきことはある程度決まってる」
 私はみんなを席につかせて、話をする。
「あの魔王自体は話のわかる人だし、あんな一撃で死ぬとも思えない。だから、気付け薬を作って、それで意識を取り戻させようと思う。回復系の魔法を今から作るよりは、そっちのほうが時間は短くてすむから」

「アズサ様、気付け薬を持っていくことに関しては後で考えるとして、どうやって薬を作るんですか? ここは密室です。見張りも確実に部屋の前や廊下にいるでしょうし……」
 私はライカの顔のずっと先を指差した。
 ライカが後ろを振り向いて、それの存在に気づく。

「窓から外に出て、薬の材料になる草を探す――ということですね」
「そういうこと」
 私は立ち上がると、窓の前から外、とくに下のほうを見る。なお、ここは四階らしい。
「こっちに見張りはいない。空さえ飛べれば脱出はできる。それで薬の材料になりそうなものを取ってくるの。気付け薬は刺激性が強ければとりあえずの用は足りるから、使用可能な植物の範囲は割と広いの。手当たり次第とってくればその中から使えるはず」

「でも、姐さん、植物なんてどこにあるんですかね? 近くはたいてい石畳で草も生えてないです……」
「ロザリー、探してきて」
「えっ?」

「この外をまず偵察してきて。ここは魔族の本拠地でしょ。だとしたら、農園や薬園が城の近くにある確率が高いの。籠城する時に必要になるからね。そういうのがないとしても、庭園ぐらいはあって、そこにいろんな植物を植えてる可能性は高い」

 日本のお城でも、現在、植物園が併設されているようなところはかなり多い。明治以降に作ったところもあるだろうけど、広い土地を使っていろんな植物を植えようとした大名は珍しくなかったはずだ。

「わかりやした! ハルカラの姉御のために行ってまいります!」
 ロザリーが壁をすり抜けて外に出ていった。

 なんとか植物スポットがあることを祈ろう。その間、私は何をするかというと――
 ドアを開けたら、やっぱり監視の魔族がいた。
「すいませ~ん、水溶き薬を飲みたいんで、コップとスプーンください」
「コップは部屋にあるものをお使いください。人数分はあるはずです。が、薬を入れてしまっては使いづらいでしょうから、スプーンと一緒に持ってまいりましょう」
 監視の奴は態度は高圧的だけど、こっちの要求は聞いてくれるな。
 なお、スプーンとコップは薬を作る時用に使う。

 そして、スプーンが来る前にロザリーが戻ってきた。思った以上に早い。
「姐さん、読みが当たりました。いろんな植物を植えてるエリアが城にありました!」
「よし、じゃあ、そこに行ってくるよ!」
「アズサ様、それは我が行きます」
 冷静なライカに止められた。

「アズサ様の存在を相手は一番気にしています。まして、スプーンを持ってきた者がアズサ様がいないと認識すると話がややこしくなります」
「たしかにそうか……。でも、ライカってその姿で空飛べたっけ?」
「こういう変身もできるんですよ」

 ライカの体が人と同じ程度の小柄なドラゴンに変わる。

「巨体のドラゴンを小さな人間に変えることができるのです。小さなドラゴンに変えることもできます。必然性があまりない変化なので、そんなに慣れてないんですが……」
「これなら、そうっと薬草も取りにいけるね。お願い、ライカ!」

 ライカが出ていった間、私はスプーンとコップを監視の魔族から受け取る。あとは部屋に備え付けの茶器などで対応しよう。
 やることのないファルファとシャルシャは目をつぶって、祈りを捧げていた。こんな小さな子が祈っているんだから、どうにかしてください。

 しばらくすると、小型ドラゴン形態のライカが腕に植物を抱えて窓から入ってきた。
「この中から足りますでしょうか? 種類だけならたくさんあると思います!」
「でかしたよ! ライカ!」
 植物はナンテール州のものとはかなり違う。気候も違いすぎるから、しょうがない。それでも近縁種と思われるものはいくつかあるし、やれなくはないはずだ。

「これ、アザミに近いものだな。あと、これはキク科のか。よし、いけそうだ」
 いくつかの植物をごりごりすりつぶしたり、ものによっては火炎で乾燥させたりする。

「あの、アズサ様……気付け薬とはどういった薬なんでしょうか?」
「一言で言うと、すごく苦い薬。薬用効果とかは二の次」
「え……?」
「生物は苦いものを毒と認識するの。というか、毒をおいしいものと認識しちゃうと毒ばかり食べて死んじゃうからね。例外はいくらでもあるけど、おいしかったり甘いと感じるものは安全で生きるために必要な食べ物、苦いと感じるものは食べてはいけないものっていうのが基本なの」

 なので、その基本原理を突き詰めていくと――

「苦いものを口に入れられると、本能的にそれを吐き出そうとしたり、拒否反応を示す。それで意識が戻る――はず」

 実のところ、やってみないとわからない部分が多い。どうか、上手くいきますように……。

 薬を作ること自体はそんなに時間をかけずにできた。
 緑色の見ただけで苦そうなどろどろのものがコップにたまっている。

「これを口に入れればあまりの苦さに目覚めると思う。なお、健康には無茶苦茶いいよ」

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