挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

77/279

75 魔族の首都へ

 そのあと、私達は朝食の時間になったので、食堂に向かった。
 だが、用意みたいなものはされてない。あれ、時間間違ったかな?

 しばらくしてから、ベルゼブブがやってきた。
「あのさ、朝食の時間って今で合ってるよね?」
 ベルゼブブは周囲をきょろきょろ見まわしてから、肩をいからせて、どっかに行った。

 数分後。
「ごめんなさい、ごめんなさい! 今から至急、準備をいたしますので、十分だけお部屋でお待ちをっ!」
 ヴァーニアが泣きそうな、いや、泣き顔で入ってきた。
 どうやら寝坊していたらしい。

「お前、これ以上、わらわに恥をかかせたらどうなるかってわかっておるじゃろうな?」
「お、お助けを……」
 魔族が本気で怒ると処刑とかしそうで怖いな……。痛いのとか血が出るのとかはやめてあげてほしい……。

「一年間の減給処置を上に勧告するぞ!」
 そこは割と理性的だった。でも、きついおしおきには変わりはない。
「そ、それだけはお許しください……。今年はいい家具を買って、とくに経済的余裕が……」
「わらわと交渉しようとする暇があったら、とっとと準備をせんか! きりきり働くのじゃ!」
「は、はひ……。申し訳ありません……」

 ヴァーニアのミスとはいえ、これはちょっとかわいそうだった。

「あの、私達も数は多いから、手伝おうか? 食器を運ぶとかぐらいならできるだろうし」
「ダメじゃ」
 ベルゼブブが即答した。
「おぬしらは魔族が正式に招待しておる客人じゃ。その客人に配膳の準備をやらせたなどということが知れたら、わらわの恥であるだけでなく、魔族全体の恥じゃ。おぬしらは絶対に手伝ったりなどしてはならぬ」
 なるほど、面子の問題か。

「ちなみに、おぬしらが望むなら、ヴァーニアの角を削って渡すが」
「いや、そんなのいいから、いいから! 彼女も反省してるみたいだから!」
「わかった。とにかくもうちょっとだけ待っておいてほしいのじゃ。わらわも朝食の準備をする……」

 ベルゼブブも調理場のほうに行ってしまった。魔族二人が異様にテンパっているのを見るのは忍びないが、あれだけきつく手伝うなと言われた以上、しょうがない。二度寝でもするか。

「なんか、嫌な予感はしてたんですよね……」
 ハルカラは何か思い出したらしい。
「どういうこと?」
「夜風呂に入りに行った時に、ヴァーニアさんがいたんですよね。この時間に入ってて、朝とか大丈夫ですか? 支度もあるんじゃないですかって聞いたら、『わたしは寝坊なんてしませんよ! ご心配なく!』と断言してたんで、これはやらかしそうだなと……」

 魔族にもハルカラみたいに、ポカをやらかす存在はいるらしい。

 こっちとしては二度寝ができたので、ありがたかった。

 朝食は焼いた鶏肉をレタスみたいな葉っぱで包んだものだった。
「なかなかおいしいね、これ。ライカ、うちでもやろうか。秘伝のタレみたいなのに肉がつかってるの以外、問題なく再現できそうだし」
「そうですね。試してみましょうか」
 娘二人もおいしい、おいしいと好評みたいだし、これはいいものを知れた。

 ただ、ハルカラだけ「これ、おいしいですけど、ちょっと肉がスパイシーすぎませんかね……」と言っていた。
「そこは時間が足らぬのでわらわが担当したのを置いてあるのじゃ」
 魔族がからいもの好きなんじゃなくて、ベルゼブブがからいの好きなだけだな……。

 食事も終わり、賭博場からカードゲームだけ借りて、家族で遊んでいた。ようはお金を賭けなければ安全なのだ。ゲーム自体は種類が多いから飽きない。

 そして、いよいよ魔族の土地に近づいてきた――とベルゼブブが教えてくれた。
「また、展望スペースから見るがよい。なかなか面白いぞ」

 たしかに、なかなかすごい光景だった。
 厳密に魔族領に入るところに壁があるのだが、その壁が異様に分厚くて、高くて、長い。
 とてつもなく巨大で、かつ細長い箱が置いてあるような印象すらある。

「かつての魔族は人間に滅ぼされるかもしれぬと本気で怯えたらしいの。その対策としてひたすら分厚く長い城壁を作ったのじゃ。はっきり言って時間の無駄じゃったの。こんなところまで人間は攻めてこんかったから、城壁だけが残ったのじゃ」
 万里の長城のパワーアップしたようなものだな。

 その城壁の奥は魔族の集落などもちょこちょこと見える。ここからさらに目的地までどれだけかかるかわからないが、ゴールが近づいてるのは間違いないはずだ。

 それから一時間ほどすると、ゆっくりと「船」の高度が下がってきた。
「今から着陸する。リヴァイアサンは都市部には着陸できぬので、あとは馬車に乗り換えてもらうのじゃ」
 そのあたり、空港と同じ原理だな。

 私達は郊外の「空港」から馬車に乗せられて、いよいよ魔族の王都である城に向かっていく。首都の名前は、ヴァンゼルドというらしい。巨大な城塞都市だ。

 城塞の中はいろんな魔族がいた。多くはベルゼブブみたいに角が生えたような人だが、中には二足歩行してる獣みたいなのや、獣人さんみたいなのや、目が一つの人がいた。

「魔族というのはいろんな種族の集合体みたいなものじゃからの。魔族と聞いて、容姿を的確に想像することはできぬ。あと、あまりに獣に近いようなものやスライムみたいなのは都市での生活ができんから、結局野生動物のように扱っておるのう」

「なるほどね。そりゃ、スライムがパンくださいってお店に来ないもんね。そもそもパン食べるか謎だけど」

 街の作りとしては人間の都市ととくに大差もなくて、街の中も石畳できれいに整備されていた。
「これからヴァンゼルド城に入る。厳密に言うと、ここもすでに城内なのじゃかな」
「城塞都市だとそうだよね」
 日本は城塞都市がほぼ存在しないので、街の真ん中か丘の上にお城があるというイメージが強い。
「まず、おぬしたちには、魔王様に会ってもらう。式典は明日じゃから、そのあとは街でも案内しよう」
「え、魔王?」

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ