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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

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74 旅先のベッド問題

 その日は、豪華なベッドで眠ることになった。
 個室じゃなくて大きな一室というタイプだったので、みんなと同じ部屋で眠るというあんまりない経験になった。

 ただ、旅行特有のちょっとした問題が起こった。

 みんながベッドに入って二十分ほど経った頃、シャルシャがもぞもぞ体を動かしている。
「母さん……シャルシャ、ベッドが変わると眠れない……」
 なるほどな。シャルシャは神経質そうな性格だし、そういうところもあるのかもしれない。
 よし、ここは母親らしいところを見せるか。

「シャルシャ、じゃあ、母さんと一緒に寝よっか? 母さんのベッドに入ってきていいよ」
 こくこくとシャルシャはうなずいた。

 シャルシャはぎゅっと私に抱きつくようにして眠る。
 人って、抱きつくとすごく安心するらしい。安心するってことはよく眠れるっていうことだ。

 けど、今度は問題なく寝てたと思ったファルファが起きてきた。

「ファルファ、ノドが渇いて目が覚めちゃった……」
 なるほどな……。宿って普通の家と比べて換気がよすぎて、ノドが渇くってことが多いんだよな。

「あれ、シャルシャ、いない。どこにいったの?」
「シャルシャはこっちでママと寝てるの」
「ずるいよー! ファルファも寝るー!」
 まあ、そうなるよな。
「うん。じゃあ、こっちに入ってきていいよ。あんまり声を出すとほかの人が目覚ましちゃうからね」
 ファルファが「うん!」と大きな声で言った。

 その声でライカが「う、う~ん……」と起きかけたが、また眠ってくれた。よかった、よかった。

 ファルファもぎゅっと抱きついてきた。これ、母親としてはうれしいけど、寝やすいかというと、ちょっと寝づらいんだよな……。

「姐さん、何か歌でも歌いましょうか?」
 ふらふらっと、ロザリーがやってきた。幽霊にそんなこと提案されるというのも変な話だ。
「別にいいよ。かえって、目が冴えそうだし……」

 そんなやりとりをしてたら、がばっとハルカラが起きてきた。

「ノドが渇いてすぐ目が覚めますね……」
 やっぱり慣れないベッドだと快眠ってことにはならないらしい。
「あ~、リラックスして安眠できるお香を用意してました。あれを使いましょうかね。ふあ~あ……」
「あっ、それ、いい! やって、やって!」
 植物に関してはハルカラにハズレはない。かなりいいお香を持ってるはずだ。

 ハルカラ自身はお香を用意してくれたが、そのあとに「せっかくだから夜風呂行ってきます」とぼうっとした顔でタオル持って出かけていった。

 さて、今度こそ眠るぞ。
 お香のやさしい香りが緊張をほぐしてくれる。うん、これはなかなか効きそうだ。このまま朝まで寝ちゃおう……。もう、このままあと一押しで眠れる!

「う~ん、宿はノドが渇いてしまいますね……」
 ライカが起きてきた。
 ああっ、もう! 時間差でみんな起きるから全然集中して寝れない! 大部屋の問題がモロに出てる!

 それでも気を取り直して、眠ることにする。さっきは寝かけたのだ。寝れる、寝れる!

 そこにハルカラが入ってきた。

「いや~、夜風呂はいいですね~。ヴァーニアって人と一緒につかってましたよ~。なかなか、いいお湯でした~。体もあったまったところで、このままさっと布団に入って寝ちゃいましょう!」

 夏でも冬でも入浴してすぐは眠りやすいという。夏はちょっと体が気化熱か何かで冷えて快適になり、冬は体が逆にあったまっていいらしい。
 でも、それは風呂に入った人間だけの話だ。

「もう……。ハルカラが入ってきた音で、また目が覚めたよ……」
「すいません! もう、みんな寝てるだろうなと思って、油断してました……」

 それでも、いいかげん体も疲れてきたので、やっと眠りに落ちたが――

「おはよー、ママ! 朝だよ!」
 今度は早朝から起きたファルファに起こされた。

「そっか……。できればママ、もうちょっとだけ寝てたかったな……」
 その逆側ではシャルシャももぞもぞ動き出したので諦めた。

「でも、外のお日様、すごくきれいだよ!」
 ファルファが窓を開けた。
 たしかにそこには日の出がしっかりと見えた。
 上空からの景色、これはなかなか悪くないかもしれない。気分が自然と高揚してくる。

 ライカもいつの間にか起きだしていた。

「いいですね。我も感傷的な気分になってきます」
「せっかくだから、展望スペースに行ってみよっか」
 もう、外は荒野のようなところを進んでいた。王国の領土は実質、過ぎ去って、これから魔族の土地に入っていくのだろう。荒涼とはしているが、それを見下ろすのもまた一興と言えた。

「いや~、いかにも観光旅行って感じだね。これはいいね」
「この広大な土地の中にちっぽけな自分がいる。世界の広さを感じさせられる」
 シャルシャはシャルシャらしく文学的なことを言っていた。

「ファルファ、こんな景色見たことないよ、面白いね!」
 ファルファのほうはむしろテンションが上がってはしゃいでいる。

「我もこんな荒野まで飛んだことはないので、不思議な気持ちですね。魔族の土地までいかに遠いかということもわかります」
「これだけ何もないところが続いてるだなんて普段は思わないもんね。町がなくても、だいたい、森があって、丘があって、なにかしらあるものなのに」
「生活している人がまったくいない土地が長く続いている。興味深いですね」

 ちょっと予定より早く起きてしまったが、こういう経験もいいんじゃないだろうか。
「姐さん、ハルカラの姉御は起こしたほうがいいですかね?」
 ロザリーにそう聞かれた。
「う~ん、寝させてあげるべきなのかもしれないけど、仲間外れはよくないし、起こしにいってくれる?」

 ハルカラはやってきたが、寝ぼけていたのか、「うわ~、なんて立派な工場なんでしょう」とか変なことを言っていた。
「この荒野も掘ってみると、意外といい鉱石がとれて、治療に使えたりするんですよ。実は宝の山なんですよ」
 やっぱり起きてるのか? 判断がしづらい。

 まあ、少しばかり早い起床だけど、家族のいい思い出になったと考えれば何の問題もないよね。
このたび、『チートな飼い猫のおかげで楽々レベルアップ。さらに獣人にして、いちゃらぶします。 』の書籍化が決定いたしました(詳細は活動報告に書きました)。スライムともども頑張って更新していきます! よろしくお願いいたします!

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