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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

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73 船上での料理

 部屋でくつろいでいると、やがて食事の時間になった。
 キャスター式のテーブルに料理を載せて、ヴァーニアが運んでくる。

「はい、本日の料理です。まずは二十種類の野菜を使ったサラダからどうぞ!」
 それは目にも鮮やかな様々な色の野菜が集まったものだった。それが模様みたいにきれいに盛り付けられている。食べて楽しむというより見て楽しむといったほうが近いかもしれない。

「うわあ、これは最初から豪華だね」
「そうですね。魔族のもてなし料理は見た目でまずインパクトを出すことが求められているんですよ。とくに模様を表現できるものはそのように盛り付けますね」

「うむ、これは人の心に作用する魔法陣を模しておるのじゃな」
 なんか、あまりうれしくない設定を聞いたな……。
「心配せんでも食べたからといって、害は一切ないぞ。味付けもからくないから安心して食べるがよい」
 たしかにからくはないが、いろんな香草が入っているらしく、あまり食べ慣れたことのない味だ。

「うぅ……ファルファ、ちょっと苦くて、これ苦手かも……」
「姉さん、好き嫌いすると大きくなれない。うっ……苦い……」
 子供にとってはサラダはハードルが高いらしい。

「おい、ヴァーニア、娘二人が食べられるものを代わりに出すのじゃ」
 ベルゼブブが命令した。
「わ、わかりました!」

 すぐに肉のから揚げに蜂蜜ソースをかけたものが出てきた。言われてから対応できるあたり、料理人としての腕はなかなかのものなんだろう。
「うん、これならおいしいよ♪」
「美味……。いくらでもいける……」
 本当はもうちょっと野菜もとってほしいけど、もてなし料理だし、いいか。

「次は豆をつぶして作ったポタージュです。こちらは青臭さを消すためにいろんな香辛料を入れております」
 たしかにかなり複雑な味がして、スパイシーだ。エスニック料理って感じの味だな。

「ちょっと、ぴりぴりしてファルファ、ダメかも……」
「姉さん、さっきからダメなものが多すぎる。うっ、これはちょっとつらいかな……」
 また、子供にとっては慣れない味だ。こういうのをおいしいと思えるのって大人になってからなんだよね。

「ヴァーニア、二人に別のものを出せ」
「でも、スープをこれから準備するのは……」
「果物ぐらいならあるじゃろ。それを盛り合わせにせい!」
「わ、わかりましたー!」

 ヴァーニアがまた走っていって、四種の果物を切り分けて、甘いソースをかけたものを出してきた。
「うん、ファルファ、甘くて幸せ~」
「ほどよい酸味があり、食べていて飽きない味だと思う」
 ヴァーニアが「ふぅ……よかったです……」と胸をなでおろしていた。

 これ、作る側はかなりストレスかかりそうだな。申し訳ない……。
「次はコカトリスの卵を炒って味付けしたものを、レタスにくるんで食べていただきます。あっ……お子様はレタスが嫌ならそのまま食べてくださいね……」
「ママ、そのまま食べていい?」
「ダメ。それぐらいちゃんとそのまま食べなさい。出してくれた人にも失礼でしょ」
 レタスぐらいは食べさせた。

「次はロック鳥の卵を使ったオムレツです! これはとろとろで絶妙の味ですので、ぜひご賞味ください!」
 今度はヴァーニアが自信満々の態度でオムレツを持ってきた。
「これは人生で食べた卵料理で一番おいしいかも!」
 ものすごく味が濃いのだ。しかも食べれば食べるほど味が、さらに濃厚になってくるような。
「我もこれほどのオムレツがあるとは思いませんでした……。まだまだ精進せねばなりませんね……」
 ライカも驚愕していた。オムレツ、得意料理だもんな。

「ライカよ、それはやむをえんぞ。素材の質が違うのじゃ。ロック鳥のオムレツを作ろうとしたら、普通のオムレツの千倍ほどの値段がつくからの」
「千倍ですか!」
 ライカもこの数字には衝撃を受けていた。
「じゃから、おいしいのは当たり前なのじゃ。むしろ、この食材で不味いものを作ったら、ヴァーニアはまた反省文じゃ」
「うぅ……上司、厳しいです……」

 どうやら、ベルゼブブは上司としては厳しく仕事をしているらしい。

「なかなかおいしかったよ~。やっぱり、卵料理が中心だったね」
 あと、デザートで締めか。悪くはなかった。

「いや、まだ出てくるぞ。次は羊肉のパイ包み焼きじゃ」
「はい、今すぐご用意しますね」
 あっ、まだ出てくるんだ……。

 そのあともデザートを別にしても五品ぐらい出てきて、かなり満腹になった。
 ファルファとシャルシャはふくれたおなかを押さえている。
 ハルカラは「食べ過ぎました……」と胃に効く薬草を飲んでいた。

「ありがとう、ヴァーニア。なかなかのおもてなしだったよ」
「いえいえ、最高のおもてなしをすることこそがわたしのお仕事ですから。楽しんでいただければ幸いです」
 この魔族はよくやってくれたと思う。本人もやりきったという、すがすがしい顔になっていた。

「たしかに客人を歓待するという点ではしっかりと合格点と言っていいのう。ヴァーニアよ、よくやった」
「ありがとうございます、ベルゼブブ様!」
 やたらとしっかり頭を下げるヴァーニア。やっぱりベルゼブブって偉いんだなとこういうところで気付く。

「これでおぬしの大方の仕事も片付いたのう」
「あれ、まだ何か残ってましたか? ああ、食器洗いですかね」
「いや、反省文じゃ」

「まだ、忘れてなかったんですか! てっきり、料理がよかったから、もう許してもらえていたのかと……」
「あほか。それとこれとは話がまったく別じゃ。お前の反省がしっかりと伝わり、さらにわらわが感動するような素晴らしい反省文を提出するように。でないと、お前の評価を下げるから、そのつもりでおれ」

「わかりました……」
 死んだ目でヴァーニアは下がっていった。

「あなた、部下には厳しいのね……」
「勤務時間中に風呂でサボっていたあいつが悪いのじゃ。もし、これでおぬしが怒ったりすれば政治問題ともなるのじゃぞ。当然のことじゃ!」
 締めるところはきっちり締めるベルゼブブだった。

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