挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

74/282

72 乗組員ヴァーニア

「そいつはリヴァイアサンで、まあ、このリヴァイアサンの乗組員でもあるヴァーニアじゃ」
 ヴァーニアと呼ばれたその子は、ざばぁっと湯船から出てきた。
「お初にお目にかかります。リヴァイアサンのヴァーニアです。今は人の姿をとっていますが、姉のファートラと交代で飛行と整備を行っています。今は姉のファートラが飛行している番ですね」

 その説明はいいのだけど、素っ裸で話をされているので落ち着かない……。
 それにしても、ひきしまったきれいな体してるな……。まるで人形みたいだ。

「ヴァーニア、裸で話をするではない。野蛮人みたいじゃぞ」
「あっ、上司、申し訳ありません!」
 また、ヴァーニアがまた湯船に戻っていった。
「ちなみにこのお湯の泉質ですが、魔泉ませんですので、皆さんは念のためご注意くださいね」
「ません? そんな、泉質聞いたことないけど」
 アルカリとか弱酸性とかしかわからない。

「そうですね、一言で言うと、お肌がぬるぬるしますね」
「あ~、温泉でよくあるやつだ」
「ただし、もし、お風呂で寝てしまって何時間も入っていると、溶けます」
 怖っ!
「もちろん、何時間も入った場合ですよ。七時間や八時間、ぶっ通しでお風呂に入る方はいくらなんでもいないと思いますので、そんなに気にしなくてもいいかと思いますが」

 ライカがハルカラの肩に手を置いていた。
「ハルカラさん、一人で入らないでくださいね。我が一緒に入ります」
「あっ、また信用されてない流れですね!」
 酔っぱらったままお風呂に入って泥酔。翌日、どろどろのスープになって発見という展開が見えた。それが現実にならないように手を打たねば……。

「あと、このヴァーニアは料理も担当しておる。ついでじゃから、そっちの説明もせよ」
「はい。本日は鳥を中心にした料理を考えています」
 思ったよりも普通だ。やっぱり私たちのことを考えてくれてるんだな。

「まず、コカトリスのいい卵が入ったので、そちらを使いたいと思っています」
「え……。コカトリスって食べられるの……?」
 鳥と言えなくもないけど、そんなの食べていいのか? 人間の世界ではまったく流通してない。
「ライカ? コカトリスって食べたことある?」
「いえ、我もそういうのはまったく……」

「コカトリスの卵は絶品ですよ。紫色の卵ですが、殻の中はニワトリによく似ています。ぜひともご賞味ください。あと、ロック鳥の卵も手に入りました!」
 もっと、とんでもないのが来た。
「それって無茶苦茶大きいんじゃないの……?」

「はい。大きすぎるので、ここに運びこむ前に料理人たちがそれぞれ自分の分を取り分けています。この船はいい卵を産むロック鳥と契約していますから、ご期待くださいね」
「ロック鳥そのものと契約してるんだ……」
 カルチャーショックが多いな……。
「野菜もすべてアルラウネが栽培した一級品ばかりですので、非常に甘くて、素材本来の味も楽しんでいただけるかと思います。夕食のお時間をお楽しみに!」

 にこやかな笑顔をヴァーニアという子は浮かべた。
 実年齢は知らないが、あどけなさの残る笑みだ。

「さてと、ヴァーニアはあとで勤務時間中に風呂に入っていたことの反省文を書いて提出するようにな」
 同じように笑顔で、ベルゼブブがさらっと言った。
「えーっ! そんな……。解説もちゃんとしたので許してくださいよ……」
「ダメじゃ。お前が至らぬことをすると、上司のわらわの責任になるのじゃ。ちゃんと反省文を書け。よいな!」

 しょんぼりしていたヴァ―ニアを尻目に私達は風呂から出た。私達がずっといたら、彼女もあがれないしな。

「これで、案内はだいたいしたかのう。あとはせっかくじゃから、展望スペースにでも行くか。夜になる前に見たほうが面白いしのう」
 そして、私達の宿泊する部屋がある建物の三階に移動した。
 展望スペースといってもデッキではなく、普通の部屋だ。
 その代わり、双眼鏡のようなものが全方向に置いてある。

 だいたい、どうするかわかったので、説明を聞く前にそのうち一つを覗いてみた。

「うわあっ! 絶景!」
 昔、飛行機の窓から見たような風景が、そこには広がっていた。
 山や町がすごく小さく見える。こうやって見ると、国土の大半は緑色なんだな。町がある範囲は本当に狭い。自然に寄り添って人間は生きている。

「わあああああ! なんですか! これ! 頭がくらくらします!」
「わー! シャルシャも見てみてー!」
「これは記録すべき景色。あとで記述しておきたい」
「アタシら、こんな高いところまで上がってたのか……。つーか、こんなに高くまでのぼっても天国はねえんだな」

 みんな歓声をあげてる中で、ライカ一人が落ち着いていた。
「おぬしはたまにこれぐらいまで高度を上げるのじゃな」
「雲の下を飛ぶと落雷が危ないこともありますので、そういう時はできるだけ高くしますね。同族やさっき話に出たロック鳥にぶつかる危険も減りますし」
 ドラゴンの常識って、やっぱり桁はずれだなと聞いていて思った。

「説明はだいたい以上じゃな。あとは何かあったらヴァーニアに言いつけておいてくれ。わらわは職員の部屋で仕事をしておる。また、夕食の時間になったら来るぞ」
「うん、ありがとうね。まさか、魔族の土地に行くまでの間にすでに歓待がはじまるとは思ってなかった」

 ここまでいたれりつくせりなことは、魔女をやっててもそうそうなかった。そりゃ、リヴァイアサン飛ばしますねなんてことはどんなに村や町の人が努力してもできるわけないので、当たり前ではあるが。

「それだけ、おぬしの功績がすごいということじゃ。ちょっとした人助け程度ではリヴァイアサンを動かしはせぬぞ。長年のドラゴンの抗争を止めた、それは歴史に名を残すだけのことじゃ。もっと偉そうにしてもよいぐらいじゃ」
 ベタ褒めされて、なんか恥ずかしい。
「式典でも恥をかかないように努力するよ」

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ