挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

73/280

71 「船」に乗って

 いよいよ魔族の土地へ向けて出発する日になった。
 といっても、私達は普段着で家の中にいる。ベルゼブブが迎えに来てくれる手はずになっているのだ。
 それなりに時間もかかるらしいので、ドレスも向こうで着替える。ロザリーだけ魔法の関係でもうドレス姿になっている。

「そろそろだよね。厳密な時間は決めてなかったけど」
 ベルゼブブが来るまで本を読んでいたが、どうにも落ち着かない。

「そのうち、いらっしゃるでしょう。我は三度目の戸締り確認をしてまいります」
 ライカはものすごく真面目なので何度も窓や裏口のカギなどのチェックをやっていた。
 この家に入る泥棒なんて、まずいないだろうけど、もし入られたとなると気分は悪いので、厳重にやるにこしたことはない。

「魔族から嫌われたりしませんように……しませんように……」
 ハルカラはもうちょっと楽しもうとする努力をしてほしい。

 ファルファとシャルシャはお出かけが単純に楽しくて、かつ落ち着かないらしく、そわそわとそのへんを動き回っていた。

 ふっと、日の差していたのが陰った。
 分厚い雲にでも覆われたかな。
 しかし、しばらくしても外が暗いままだ。にわか雨でも降ってくるのかと思って、外に出て、空を見上げて違う理由だと気づいた。

「なんだ、あれ……」

 ものすごく大きな、とにかく大きすぎる何かが太陽を遮断していたのだ。
 宇宙戦艦? まさか宇宙には行かないよな。それに、どうやら生き物であるかのようにも見える。

 ほかの家族も何かあったのかとぞろぞろと外に出てきて、それに驚いていた。

「ライカ、あれが何かわかる?」
「魔族……なんでしょうか? どことなく、我々ドラゴン族にも近い要素があるようにも見えるのですが……」

 すると、上空から何かが降りてきた。近づいてきてから、それがベルゼブブだと認識できた。

「待たせたのう。ベルゼブブ、ただいま、迎えにやってきたぞ。さあ、この上に上がってきてほしいのじゃ。そこだけはライカがドラゴンになってみんなを運んできてくれ。あとはあいつが魔族の土地まで飛んでいくからの」

「ベルゼブブ、上にいるのは何なの……?」
「リヴァイアサンじゃ」
「あれ? リヴァイアサンって海にいる怪物じゃなかったっけ……?」
「母さん、リヴァイアサンをドラゴンなどの一種とする説もあるはず」
 シャルシャが教えてくれた。

「ドラゴンの仲間なのかはよくわからんが、リヴァイアサンは空を飛べる超大型魔族じゃ。バカンスで海に身を沈める時もあるから、それで海の化け物とでも思われておるのかもしれんがの」
「スケールがいくらなんでもおかしい」
 この生物は何を食べて生きてるんだ……。

 空を飛べないメンバーはライカの背中に乗って、私とロザリーは自前の飛行能力でリヴァイアサンの上に上がった。
 大きな生物だけあって、背中に当たる部分も広くて、そこが平べったい。
 その上にいくつも、建物が建っている。

「さながら、豪華客船ってことなのかな……」
「当たらずとも遠からずじゃ。さて、賓客用の部屋に案内するぞ。デッキに出るのもかまわんが、安全柵より奥に行って落下せんようにな。平坦に見えても、リヴァイアサンが体を動かすと、突然急になる危険があるのじゃ」

「母さん、シャルシャ、ものすごく感激している」
 表情はあまり変わってないが、シャルシャはメモ用に持ってきたノートにペンを走らせている。リヴァイアサンの記録を残すつもりなのだろう。

 まず、ベルゼブブに賓客の部屋というか建物に通された。
 装飾が不気味な顔ぽかったりするところがある以外は高級そうな絨毯が敷いてあったり、立派なテーブルが置いてあったりする。ベッドもいくつも並んでいた。
「リヴァイアサンはたいして早く動けんので、本日はここで一泊してもらうのじゃ」
「移動中ももてなしてくれるってわけね」

「食事もおぬしらの食生活を考えて、鳥と野菜を中心に作ることにしておる。からくもないので安心せい」
 よかった。ベルゼブブもこちらに合わせようと努力はしてくれているらしい。

「なお、ここの二階は食事スペース、三階は展望スペースになっておる。空からの眺めを楽しみたい者はあとで行ってこい。それと隣の棟も続いて案内するぞ」
 ぞろぞろとついていく私たち家族。

 隣の棟はカジノみたいな空間だった。カードゲームやボードみたいなものがいくつも置いてある。
「ここは賭博場?」
「そうじゃな。その理解であっておる。ただし、今回は乗るのがお前らだけというのと、危険も多いので、開いてはおらんがな」

 ハルカラが残念そうな顔をしていた。
「危険が多いってどういうこと?」
「もし、ここで熱中されると、身ぐるみはがされるからの。やるからには魔族は本気で取り組む。来賓であろうとわざと負けてやろうなんてことはせん。賭博場で全財産失った挙句に、自分自身に対する権利まで失って債務奴隷になった者なんていくらでもおる」

 それから、ベルゼブブはハルカラのほうをちらっと見た。
「ハルカラみたいなのが全財産失うと、呼んだわらわも気まずいからのう……」
 その声は聞こえてなかったのか、ハルカラは「あ~、賭博場があったら倍に増やすんですけどね~」なんてことを言っていた。

 たしかに賭博場はないほうがよかったな……。

 また隣の棟に移った。
 そこは見た途端、何かわかった。
「ここは大浴場じゃ。到着するまでゆっくり入れるのじゃ」
「いいね。ここもあとで使わせてもらうよ」
「せっかくじゃから、のぞいてみるか? どうせ誰も入っておらんし」

 そして脱衣場を抜けて風呂の中に入ってみた。靴だけは脱いでおく。

 ――と、なぜか先客がいた。

「あれっ……? この時間なら入ってこないと思ったんだけどな~……」
 ライカの仲間なのか、頭に角と尻尾が生えているのがすぐわかった。
 けど、ここに乗ってるって、いったい誰なんだろう。
「むっ、おぬし、この時間は風呂の掃除じゃぞ……。ちゃんとさぼらずに仕事をせんか」
「すいません、上司……」
 ぺこりとその子は頭を下げた。
「そいつはリヴァイアサンで、まあ、このリヴァイアサンの乗組員でもあるヴァーニアじゃ」
さりげなく新キャラが出ました。次回もよろしくお願いします!

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ