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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

魔族の土地訪問編

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69 魔族褒章を受け取りに

 ハルカラのお祝いがあった翌日の朝。
 私がみんなの分の朝食を作っていると、ベルゼブブがなぜか外のドアから入ってきた。

「あなた、どこ行ってたの?」
「近所を散歩しておった。やはり、高原は空気がさわやかで気持ちがいいのう。とくに酒の入った翌日のことじゃから、気持ちも切り替わるというものじゃ」
 健康的すぎて、魔族らしさがない。

「魔族も健康を気にするべきという提言をわらわはしておるのじゃ。朝の運動も推奨しておるぞ。かつて、こちらの国と戦争をしておった頃は魔族は夜に出るとよく言われておったらしいがの。そういう夜型生活はよくない。朝からやるべきじゃ」
「早朝からモンスターに備えないといけない世界って嫌だな……。これからも平和にやっていこうね……」

「戦争する予定など、何もないから心配するな。おぬしらの国が魔族の土地を占領しようなどと思わぬように、こっちも大陸すべての土地を支配できるなどとは思っておらぬ。広すぎて不便じゃろうが。行政の国民へのサービスを考えても、これぐらいがちょうどよい」

 この会話からだけでも、魔族が攻めてくる可能性なんてものはありえないと考えてよさそうだ。

「そうじゃ、それでなのじゃが、魔族褒章を渡す日程が決まったのじゃ。ぜひ、受け取りに来てくれ」
「あっ、例の平和部門がどうのこうのっていうやつだね」
 かつて私はドラゴン族同士の争いを止めたことがあるのだが、それがなぜか魔族に評価されて、そういうものをもらえることになったのだ。栄誉あるものらしいが、魔族の世界とのつながりがないので詳しいことはわからない。

「それじゃ、ありがたく受け取ることにしようかな。日程教えて」
 どうせ、何かと重なっていけないということもまずありえないだろうし。
 ベルゼブブは三週間後の日程を伝えてきた。割と近い日だな……。

「わかった。ハルカラにもその日は工場を休めるようにしてと言っておくよ」
「うむ、いろんな料理を作って待っておるからの」
 料理と聞いて、嫌な予感がした。

「あの……魔族料理ってなんでもかんでもからいってことはないよね……?」
 昨日、ハルカラが「くちびるが分厚くなります……蜂蜜を入れてほしいです……」と言って、むせながら鍋を食べていた。全部からいというのは困る。

「すべての料理がからいわけではないから、安心するがよい。甘いほうがいいなら甘いの重視で作っておくことにするのじゃ」
「ありがとう。食文化って地域によってかなり違うからね」
 せっかく用意してくれたものが食べられないとなると、こっちも申し訳ないからな。

 こうして、魔族褒章の受章式典に出席することが正式に決まったのだった。
 魔族の土地に行ったことなんて一度もないので、それなりの興味はある。昔ならびくびくしただろうけど、ベルゼブブの様子を見るに、問題はないだろう。

 ただし、ハルカラだけがびくびくしていた。
「ま、魔族の土地ですか……? 嫌な予感しかしないんですけど……。その日だけ偶然おなかが痛くなってもいいですか?」
「仮病使いたいぐらい怖いの?」
「変な料理が出てきそうなんですよね……。からくないのを出すって言ってますけど、アレよりはマシなレベルなだけとかっていうオチなんじゃないかと……」
 ひどい目に遭っただけあって、疑り深くなってるな……。

「えっ? ハルカラのお姉さん、仮病使うのー?」
 その言葉をファルファが聞いていたらしい。
「ファルファちゃん、今のは言葉の綾ですよ? 偶然、その日におなかが痛くなりそうだなって思ってるだけで……」
 ハルカラ、どうにか取り繕おうとしているな……。

「大丈夫だよ!」
 ファルファどんと胸に手を置いた。
「ファルファ、口は堅いからね! 仮病だなんて絶対に魔族の人達には言わないから! 信用して! 仮病じゃないよってみんなに言っておくから!」
「待ってください、待ってください! わざわざ仮病じゃないって言ったら怪しくなりますから!」

「ファルファ、ちゃんとハルカラのお姉さんの気持ちがわかるから、心配いらないよ! ベルゼブブさんに作ってもらった料理がつらかったんだよね? あれが苦手だから休むんだよね?」
「ま、まあ……そう言われるとそうなんですけどね……」
「ベルゼブブさんにさりげなく報告しておくよ! ハルカラのお姉さんは魔族がダメなんだって」
 ハルカラの額に冷や汗が垂れだした。

「あの……お心づかいありがたいですけど、やめてくれませんか……? 魔族にネガティブイメージ抱いているとかって聞こえると、わたしの身に何か起こりかねませんし……。料理が怖いだけですからね……? 最悪の場合、わたしが魔族自体嫌いで仮病で休んだって思われかねませんので……」

 私はぽんぽんとハルカラの肩を叩いた。
「ハルカラ、諦めたほうがいいよ。このままだとファルファがハルカラが仮病で休んだって言いかねない……。それで魔族がハルカラに敵意を抱かないとも限らないし……」
「やっぱりそうですか……。これ、よくない流れですよね……。言わない絶対言わないって言って、結局言ってしまうパターンですよね……」

 なんか、そういうギャグみたいなの、日本にもあったな。万国共通なのか。

「わかりました……。魔族の土地で変な噂が広まると困るので、ちゃんと出席することにします……」
 ハルカラも出席を決めてくれた。
 これで家族は全員、参加確定だな。

「ドレスも前に用意したものを使えばいいだろうし、問題ないよね」

 しかし、前回から家族が増えているのだった。

「すいません、姐さん……」
 ロザリーが浮いてこっちにやってきた。
「アタシ、ドレスなんてものは持ってないんですが……」
「そっか、そっか。じゃあ、また村か町にでも行って買って――――あれ?」
 幽霊の服ってどうやって買うんだ? そもそも着れるのか?

「そういえばずっとその町娘の服装だけど、その服って変わるの?」
「アタシは幽霊になってからずっとこの服です。着替え方も不明ですね……」
 げっ! こんな問題があったのか!

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