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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

ドラゴンが来た編

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6 ドラゴンの少女

ドラゴンに勝ったと思ったらまた新しい人?が来ました。
追記 12:50 12位に入っていました! 本当にありがとうございます!
「私の家、なおしてくださいね。でないと許しませんからね」

 ドラゴンにも私が相当な剣幕であることは伝わったらしい。

「わ、わかった……。どうにかする……。だ、だから許してくれ……。命まではとらないでくれ……」

「とりませんよ。命とったらなおしてもらえなくなるでしょうが。保険なんてかけてないんですからね」

 寝室などは被害はなさそうだが、風も入ってきたりするかもしれないし、しばらくは村の宿屋で寝泊りするべきかもしれない。すべては修理にどれだけ時間がかかるかだ。

「あの……我は住処の山にそれなりにお金は貯めこんでおりますので……それをとってきてもよろしいでしょうか? それを修理費用にできればと……」

 そういえば、ドラゴンって黄金を集める性格を持っているとか聞いたことがある。

「いいけど、逃げたら討伐に行くのでそのつもりで」

「絶対に約束は守ります!」

 ドラゴンはふらつきながら空へ飛んでいった。

 その日、私は村で寝泊りすることにした。

「あっ! 魔女様! ということはドラゴンを倒したんですね!」
「ドラゴンの姿、村からもよく見えましたよ!」
「あのドラゴンを倒すなんてさすが魔女様!」

 やっぱり広まっているか。
 あのサイズのドラゴンは遠くからでも絶対に目立ったもんな。

「すいません。ドラゴンには勝ったんですが、家の一部が壊れたので、少しの間、村の宿に泊めてもらいに来ました。お騒がせしてすいませんでした」

「いやいや悪いのはドラゴンのほうですよ!」
「むしろこの村をドラゴンから守ってくれたようなものだ!」
「宿の一番いい部屋にお連れしよう!」
「馬鹿者! 魔女様をお泊めするに足る宿屋など村にない!」

 結局、そのあと話が二転三転して私は村役場にある来賓客用の部屋に泊まることになった。王国の役人などが仕事で訪れた時に、ここで宿泊するのだ。

 まあ、たまには厚意に甘えるのも悪くないか。
 あとで高価な薬を寄付することにでもしよう。

 宿泊するから村をのんびり散歩していたが、私がここに来た三百年前と比べると村は割と活気があると思った。人口も増えているはずだ。

 理由はいろいろあるだろうが、一つはどうやら私のおかげらしい。らしいというのは、村の人がよくそう言ってくるからだ。
 どういうことかというと、私が貴重な薬を村のために作ったりしたかららしい。

 どんな村でも、寿命以外に病気やケガで死ぬ人はいる。そういう死亡リスクが私が薬を供給してきたことで、この村は周囲の村と比べてかなり低くなったそうだ。
 とくに子供が病気で死ぬようなケースがずいぶん減ったことが人口増加に寄与しているという。
 私も病気の時の薬だけでなく、子供用の栄養剤みたいなものも作ったしな。

 もちろん、私の労力もあるしタダで無限に手に入ると思われても困るから、商売としてお金をとってはいたが。あまりお金のない人には薬を安くしたり、畑仕事を手伝ってもらったりした。

 ギブ・アンド・テイクがちゃんとしてない人間関係は長く続かないからだ。そういうことは日本時代に学んだ。

 私の考えは理解してもらえたようで、それなりに村には感謝してもらっている。
 一方で、対価は払ってもらっていたから、神様に対してのような極端な崇拝にもなってない。ちょうどいいバランスだった。

 私としては薬草を集めての薬作りはスローライフの中での趣味みたいなもので、その趣味で人命を守れているなら、それは大変光栄なことである。

 その日は帰宅する必要がないから酒場でゆっくりお酒を飲むことにした。

 酒場は夜でも活気があった。

「あっ、魔女様だ!」
「魔女様に乾杯!」

 すでにできあがっている人も多くて、酒場はにぎやかだ。私はテーブル席に案内された。そして、頼んでもないのに高級そうなお酒が出た。

「あの、私、まだ頼んでないんですが」

「私、昔に魔女様の薬で助かった経験があるんですよ」

 酒場の娘さんが笑って言う。

「だから、これはお返しのつもりです。ゆっくり飲んでいってくださいね」

 今日は始終こんな感じだな。泊まるところも来賓客用の部屋だし、お金を払わせてもらえない。

 でも、たまにはこういう日もいいかな。

 私はお酒を少しずつちびちびと飲んだ。

 OL時代は忙しかった。はっきり言って社畜だった。

 誰かのために働いているという実感はほとんどなかった。強いていえば、会社のためということだけだった。だから、どんなに忙しくても空しさみたいなものがあった。

「それと比べれば、今は天国みたいなものだな」

 思わず声に出てしまった。

「俺達も魔女様に守られて生きているから、天国に住んでるようなものですぜ!」
「若い頃は長く旅をしてきたけど、フラタ村ほどいい村はどこにもねえな!」

 私の目の前だから賞讃の言葉は何割かは差し引いて考えるけど、それでもうれしいことはうれしい。

「私もこの村の近くで住んでよかったと思います」

 心からそう言った。
 この村は私の自慢みたいなものだ。

 これからも村を発展させていきたいな。

 その日はほどよく酔っ払って、宿泊用の部屋に戻って眠った。

 少し眠るのが遅かったけど、それでも社畜時代よりは早い。そもそもあの時は朝六時台に起きないといけなかったからな……。

 朝食も村にしてはかなり豪華なものが出た。きっと、来賓客用の接待方法を私に適用しているんだろう。

「本当にありがとうとしか言えないなあ、これじゃ……」

 光栄というより気恥ずかしくなってきたなと思いながら、朝食を食べる。とくに牛乳がとれたばかりの新鮮なものなのか、すごくおいしい。

 料理自体は日本の物と比べると異世界は味付けもシンプルだし、どうしても大味になってしまうが、この牛乳に関してはフラタ村のものに軍配が上がるな。パック牛乳とは比べ物にならない。

 そうだ。今度、料理でも教えてあげようかな。
 日本時代の知識はまだまだ残っているから何かアイディアレシピ的なものを教えられるのでは。

 そんなことをぼんやり考えていると、料理係の人が早足でやってきた。

「高原の魔女様、来客の方がお見えになられたのですが」

「来客? じゃあ、空いている応接室で待ってもらっていて。もう、三分もしたら食べ終わるから」

 今度は村の誰だろうと思いながら、応接室に入った。

 そこには頭から角が二本突き出た少女がいた。見た目で言うと女子中学生ぐらいの年齢だろうか。一三歳ぐらい。服装は少しロリータファッションぽい。

 誰だ?

 角が生えている村人なんて見たことないぞ。というか、角が生えているんだから普通の人間ではないよな。

「昨日はご迷惑をおかけいたしました」

 私と目が合うと、その少女は丁寧におじぎをした。

「あの……昨日と言われても初対面だと思うんですけど……」

 角が生えている人なんて見たら絶対に忘れないだろう。

「ああ、姿を変えているからわかりづらいですかね」

 少女が言った。

「我は昨日のドラゴン、ライカです」

「えええええええええっ! ていうか性別、女子だったのか!」

 そういえば、ライカって名前の響きが女子と言えば女子っぽいな。
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