挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフ逮捕疑惑編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

67/281

65 裁判で勝利

 裁判がはじまった。
 じゃあ、ロザリー、お願いね。

 州知事ゴルドーと結びついてるはずの裁判官がおもむろに立ち上がった。

「え~、アタシが……ワシが考えうるに、これは無実ですな。だって、こんなのは筋が通らねえ! 筋が通らねえものは認めるわけにはいかねえ! これが世の中の道理ってやつよ!」

 口調が裁判官らしくないので、場がざわついた。

 はい、そうです、事前にロザリーが入ってます。

 裁判で負ける気はなかった。
 なにせ、ロザリーがいるんだから。

「筋が通らねえ証拠を出してやらあ! なんと、被告人ハルカラがちゃんと届け出を州知事に出してた書類があったんだよなあ、これが! つまり、犯罪でも何でもねえってことだよ!」

 ロザリーの入ったヒゲの裁判官が、ばぁんと書類を出してきた。

 一気に会場に混乱の渦が巻き起こる。誰もこんな展開は予想していなかっただろう。

 私達は透明化の魔法を使って、州知事ゴルドーの屋敷や州知事の官舎に忍び込んだ。そして、関係書類を見つけて、盗み出していたのだ。

 事前に処分していればいいものを。相手も詰めが甘かったな。

「そんなもの、偽物だ! あるはずがない!」
 州知事ゴルドーが叫んだ。これが本物ということになると、州知事側の責任問題になるからな。必死になるのは当然と言えば当然だ。

「いやあ、しかしなあ、これの真贋はすでに法学者三十人から本物であるという証明書を書いてもらってるんだよなあ。ほらよ、これがその証明書だぜ!」

 今度はロザリーの入った裁判官が証明書をばばっと出す。

 これはシャルシャのツテを使った。
 文系の大学教授とシャルシャは知り合いが多いので、それで片っ端から証明書を書いてもらったのだ。そりゃ、何の作為もない本物の書類だから、本物ですねとすぐにみんな答えてくれた。州知事のサインも偽造された跡はない。

「はっきり言って、これがある以上、白黒は明らかだ! ハルカラは許可を得たうえで工場もやってて、薬も作ってた。犯罪であるわけがねえ! これを黒にできるものならしてみろってんだよ! ――さてと、ちょっとトイレ行ってくる」

 このあと、ロザリーは裁判所の庭にある池にダイブして、この体から離脱するすることになっている。
 ――で、次の裁判官に入る。ずっと、一人だけに入ってると、不自然っぽさもあるからな。

 しばらくすると、水に濡れた裁判官が不思議そうな顔で席に着いた。

 今度は二人目の裁判官がまた急にしゃべりだした。

「おっと、この裁判官がいくつも記録を残してるじゃねえか! どれもこれも、州知事が賄賂を受け取った証拠じゃねえか! こりゃ、ぶったまげた!」
 また、会場に異様な空気になる。

「そんなもの、でっちあげだ! 何かの陰謀だ!」
 州知事が青い顔で叫ぶ。放置できる話ではないよなあ。

「だがよ、これまた法学者達から証拠書類として価値があるって、お墨付きを得てるんだよな~。一人や二人じゃねえぜ。でっちあげですませられる数じゃねえんだよ!」
「お前ら、いつのまにそれを盗み出したんだ!」
「盗み出した? ってことは、あんたが持ってたってことですかい?」
 州知事がしまったという顔になる。

「おっと、悪党が尻尾を出しなすったな。これは年貢の納め時ってやつですかい?」

 そこにあわてて誰かが入ってきた。多分、州知事の部下か何かだろう。

「大変です! 貴族や政治家の連名による州知事弾劾状が届きました!」

 賄賂の証拠書類を持ってゴルダーの政敵のところを行脚していた。敵の敵は味方ということで、みんな喜んで協力してくれた。
 ライカの移動速度なら数日あれば署名を集めることぐらい可能だ。明白な証拠が元だからいくらでも攻撃もできる。

 もう、弁護士も検察官もやることがないな。「悪徳州知事をつぶす会」にイベントが変わってしまっている。

「さあ、被告人ハルカラ、言いたいこともいろいろあるから、思いのたけをぶちまけやがれぇ!」

 ゆっくりとうなずいて、ハルカラは立ち上がる。
 これは勝ったなと顔に書いてある。なので、戦うモードに切り替わっているようだ。

「え~、私は間違いなく書類を書いて提出しました~。そしたら、なんか賄賂みたいなのを要求されましてね~、私、そういうことよくわからないんで、まともに贈らなかったんですよね。そしたら、なんかいきなり逮捕されちゃいまして。事実無根ですよ。無根じゃ野草も育ちませんよ。困りますよ~。でも、裁判官の方々が文句なしの書類を見せてくれたので、大変助かりました。私としましては、悪い奴に天の裁きみたいなのが下ればいいなと、まあ、それだけです。あと、営業許可がもう一度下りたら『栄養酒』もろもろ売っていくつもりですので、よろしくお願いします。話は終わります」

 この話自体はどうでもいいのだけど、とにかく決着はもう着いた。

 でも、とどめはまだある。

 また州知事の部下みたいなのがあわてて入ってきた。

「申し上げます! 裁判所の前に群衆が集まっておりまして……公正な裁判と州知事の罷免を求めております……」

 これは私たちが頭を下げて、関係各所に頼みに行った成果だ。
 悪徳州知事に対して腹を立てている人自体は多い。ただ、個別に戦う力はないから黙っていただけだ。
 なので、声を発してもいいぐらい大量に人を集めた。

 母体は私達の生活圏に近いフラタ村やナスクーテ町だ。このあたりは私がお願いすれば、ほぼ無条件でお願いが通る。村や町の人は、ほかの地域にもデモの要員集めに動いてくれた。

 もう、こちらの完全勝利だな。

 検察官は一応、裁判に混乱が見られるので仕切り直しをするべきだと主張したが、逆に言えばこの場を仕切り直すぐらいの手しか思いつかなかったようだ。

 証拠書類が完璧にある以上、州知事も事実無根と言い張ることもできず、書類を忘れていたと言い出した。その時点でハルカラの無実自体は決まった。

 もっとも、それだけでは終わらなかったけどね。

 ゴルダーは州知事を辞任するとその場で宣言したが、正直に言って許されたら警察いらないんだよということで、裁判所を出た直後に逮捕された。
まあ、この家にケンカ売ったらこうなりますよね・・・。次回後日談です。

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ