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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフ逮捕疑惑編

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64 裁判裏工作

 私はファルファとシャルシャ、それにロザリーも連れて、ライカに乗ってナスクーテ町に向かった。
 家に娘たちだけを残すのが少し気がかりだったのと、この国の歴史や動向ならシャルシャが詳しいのではないかと思ったというのもある。

 ハルカラの工場はいかめしい兵士たちが槍を持って、封鎖していた。どうやら、違う都市、たとえば州都あたりから来た連中のようだ。

 その工場を遠目に不安げに見ている人がいたので、声をかけてみた。二十代ぐらいの女性だ。
「すいません、あの工場について何かご存じじゃないですか?」
「はい、私……あの工場で働いていた従業員なんです……」
 ありがたい情報源が来た。
「すいません、私たち、ハルカラの同居人なんです。何か教えていただけませんか?」

 私達は従業員さんの自宅に案内されたて、そこで説明を受けた。
「今日も、いつもどおり、操業していました。すると昼過ぎに州知事の命令で社長を逮捕しにきたという連中が押し入ってきて……。罪状は州知事の許可を得ずに薬の販売をしたことだとか……」
「ハルカラのお姉さん、申請を出したって言ってたよ……。無許可のままだったなんて信じられないよ……」
 ファルファの言う通りだ。私も届け出はちゃんとしているというハルカラの話を聞いた。

 となると、これはハルカラを逮捕する陰謀だ。

「州知事ゴルダーはあまり評判がよくない。賄賂を贈らない者を罪に陥れるって……」
「シャルシャ、ありがとう。ほかにも何か情報ない? どんな情報でもいいからちょうだい」
「ゴルダーはほぼ確実に州裁判所とも結託している。ゴルダーとつるんでる裁判官が何人かいて、それで絶対に有罪にされちゃうって……。権力持ってない人を狙って捕まえているから、ほとんどが泣き寝入りになって、あまり問題としても大きくならない仕組み……」
「つまり、タチの悪い奴ってことだね。それにハルカラはやられたのか……」

 ハルカラは賄賂を贈ってなかったから、それで目をつけられたのだろう。地元の顔役とかでもなくて、他州からの移住者だし、狙いやすいと判断したんだ。
 届け出た書類なんて向こうでいくらでも握りつぶせる。出してないと言い張られたらどうしようもない。

「今後、ハルカラはどうなるの?」
 裁判沙汰になったことなんてないし、こういうことはよくわからない。シャルシャ頼みだ。いくらなんでも死刑になることはないだろうけど。
「一週間以内に裁判にはかけられて、そこで有罪になると、牢獄に入れられる……。あと、工場も没収されると思う……」

 どん! ライカが憤りを示すように思わずテーブルを叩いた。
「そんな! ハルカラさんはあの工場にすごく情熱をかけてたんですよ! 没収なんてひどすぎます!」

「もちろん、そうだよ。ハルカラは助け出すし、工場も没収させたりはしない。けど……力ずくで乗りこんだら、こちらの罪ってことになっちゃう。一番いいのは裁判で無罪が確定することだと思う。それなら、州知事も文句が言えなくなる。いきなり殴りこむと、こちらが犯罪者ってことになっちゃうからね。それは私も嫌だ。フラタ村にも迷惑がかかるし」

「そのためにはどうしたらいいでしょう? 我はあまり裁判には詳しくないので……なんとも……」
「そんなの、私だって詳しくないよ。けど、つまり力技でどうにかすればいいんでしょ。やりようはある」

 私は視線をロザリーのほうに向けた。

「ロザリー、あなたの力を借りたい」
「へっ? アタシですか?」
 ロザリーはきょとんとしていた。
「うん、あなたの力があれば、この裁判、絶対に勝てる。完膚なきまでに勝てる。けど、それだけだと、まだ腹の虫が収まらないから――――ついでに証拠をこちらで集めます」

 私は両手を握り締める。

「家族全員で協力して、ハルカラを救出するからねっ!」

 人の家で、自分の家みたいなテンションで言ってしまった。



 ライカには州都ヴィタメイに行ってもらって、裁判の日程を教えてもらった。六日後がハルカラの裁判だということだ。
 それだけ時間があれば問題はない。こっちの計画をしっかり遂行できる。

 被告人として収監されているハルカラにはファルファを面会に行かせた。ファルファなら見た目は子供だから、警戒されづらいだろうというのもある。

 ファルファいわく、「ハルカラのお姉さん、捕まるようなこと何もしてないのに犯罪者になりそうでつらい……って悲しんでたよ」とのことだった。
 そりゃ、無実の罪で逮捕されるって相当名誉が傷つけられる行為だからな。それを意図的にやった奴を許してはおけない。

「ハルカラに家族一丸で助けるから大丈夫だって言ってくれた?」
「うん。ファルファ、ちゃんとお仕事したよ! みんなでハルカラのお姉さん、助けるんだから!」
 ファルファも珍しく、力強い目をして、はっきりと言った。
 よしよし。みんなでやるよ。

 私も個人的に計画を進めた。まず、魔法創作で姿を消す透明化の魔法を作った。
 あとはこれを使って、いろんなところに忍び込む。そして、いろんなものを盗み出す。

 そして、裁判の日はあっというまにやってきた。
 私達は家族全員で参考人として裁判に参加する。絶対に無実を勝ち取ってやるからな。ううん、無実以上のものを勝ち取ってやる。そのためにやるべきことはやった。

 いよいよ開廷だ。
 首席裁判官と残り四人の裁判官が入ってくる。首席裁判官が進行役をやって、五人の多数決で裁判結果が決まる。この人たちは州知事とつながりのある連中が多い。なので、全然公平じゃない。

 ちなみに弁護士はシャルシャのツテでかなり偉い人を雇っている。

 州知事ゴルダーも席に座って見物するつもりらしい。
 私達を敵にまわしたらどうなるか思い知らせてあげるからね。

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