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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフ逮捕疑惑編

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63 ハルカラ製薬始動

 ロザリーがナスクーテの町に受け入れられたおかげで、ハルカラの労働力不足問題も解決が見られたらしい。

「働いてくれる人が十人も見つかりました!」

 ちょうどロザリーを町に連れていってから、一週間後、ハルカラがそんなことを報告してきた。

「じゃあ、工場も稼働しそうだね」
「はい! 『ハルカラ製薬ナスクーテ工場』を動かす目途がつきました!」
『ハルカラ製薬』……そんな会社名なのか……。

「これで、『栄養酒』の大量生産に着手することができます! 私はやりますよ!」

『栄養酒』――ほかの州では爆発的ヒットを記録したハルカラ製作の栄養ドリンクだ。酒と名前についているが、別にアルコール分は入ってない。
 ハルカラは昔から調薬師としての知識を使って、いろんな商品を作っていた。もともと商才はあったのだ。それが『栄養酒』で大当たりしたというわけだ。

 その後、上級魔族のベルゼブブに追いかけられていると勘違いして、地元の工場を閉鎖して、そのままになっていた。

「これでわたしはがっぽり儲けますからね! もちろん、利益は町に還元しますよ! まず、ハルカラ名水井戸を作っておいしい水が市民も旅人も飲み放題になるようにします! 次にハルカラホールを作って定期的にお芝居の公演ができるようにします! 五十年後にはわたしの銅像が立ったりしてると思いますよ!」

「銅像はいらないと思うけど、町のためになることをするのはいいことだね」

「ところで、営業許可とか受けてるの? 勝手にやったら、どこかに取り締まられたりするんじゃない?」

 ハルカラはこういうところが抜けてるので確認しておくほうがいいのだ。

「とくにナンテール州の州知事をやってる貴族ってお金にうるさいって話だし、何か吹っかけられるんじゃない?」

「ふふん! それは大丈夫ですよ! ちゃんと提出してきましたから! ナンテール州の役人さんに届けてきました! まったく問題ありません!」

 胸を張ってハルカラは言う。ここまではっきり言うんだから、提出自体は事実なんだろう。

「あ~、ただ、なんか書類出す時にもう少し付け届けはないのかとか変なこと言われた気がしましたね」
「え、それって賄賂要求されてるんじゃ……?」
「いや~、こっちの州だとそんな要求をされるんですね~。何かよくわからないんで、ひとまず食べられる野草をたんまり送っておきましたよ」

 呑気にハルカラは言う。
「野草?」
「はい。わたしが住んでた故郷でも、あいさつ代わりに野草とか果物とか渡す時ありますからね。その時のノリで野草を一週間分ぐらい」
「ねえ、それって相手、納得してたの? いや、賄賂を素直に渡すのも腹立たしいけど……」

 なんか嫌な予感がするぞ。

「どうなんですかね? でも、おいしい野草だから喜んでくれるんじゃないですかね。ちょっと苦いですけど、それがまたいいんですよね~」

「あの、ハルカラ……? 何かあったら早めに私達に言うんだよ?」

 安定して、フラグを立ててくるハルカラのことだ。このまま何もなく、進むとは思えない。

「やだな~、お師匠様は過保護ですよ~。わたしだっていい大人ですよ~。問題なんてないですって~。それにわたしたちって、かなりフラタ村のあたりでは評判になってるじゃないですか~」

 うん、フラタ村とかその近辺ではね。
 ナンテール州の州都ヴィタメイまでかなり離れてるし、ちゃんと情報が届いてるのかな。届いたとしても、強い魔女その他がいると信じてもらえているのか。

 それでもハルカラが何も危険視してなかったので、ひとまずそのままにしておいた。杞憂なら杞憂でいいことだし。

 ハルカラの工場は数日後から営業を開始した。

 最初のうちはまだ販路もそこまでないので、大量生産というほどのことはせず、ナスクーテ町とその近辺で売って、様子を見ることにしたようだ。商品ランナップは『栄養酒』と、その他の健康ドリンクだ。『苦いぞ健康源』『眠さ撃破液』といった変な名前が多い。

 商品はどれも確実に売れていった。見慣れないものばかりでも、何か目を引く要素があったのだろう。

 やっぱり、ハルカラは物を売るセンスはすごい。買う人の気持ちが的確にわかるようだ。稼働から一週間もすると、順調に生産量も増やされはじめた。

 ハルカラいわく、工場が順調に進めば、第二工場を作ってもいいぐらいだということらしい。おそらく、そのあたりもかなり具体的に計画しているんだろう。こちらとしてはハルカラが楽しく労働しているうちは何も言うことはない。

 ちなみにハルカラは工場に出向いて指導などをしているものの、ゆくゆくはすべての工程を雇った人任せにして自分は社長業にまわりたいとのこと。それもハルカラの人生だ。好きにするといい。

「いや~、このままだと町一つ買い取ることだって夢じゃないかもしれないですね~。いい感じに伸びてますね~」

 ハルカラは帰宅するごとに毎日楽しそうに語っていた。

「はい、ファルファさんとシャルシャちゃんにもお土産の本ですよ。州の書店を探させて見つけた稀覯本きこうぼんです」
「わー! ハルカラのお姉さん最高!」「ありがとう……ハルカラさん……」
 二人とも見つけられなかった本を手に入れることができたようで素直に喜んでいた。

「お師匠様とライカさんには今、いいお酒を探してもらっていますからね。前に祝ってもらったお返しをしますから!」
「やたらとはぶりいいね」
「儲かったお金は使わないと経済が回りませんからね! わたしは正しいことをしてるんですよ!」

 そんな調子で、ハルカラは絶好調のように見えた。
 だが――さらに一週間後。

 ライカが夜に慌てて戻ってきた。

「あれ、ライカ、いつもより早く帰ってきたね」
 ハルカラの送迎のためにライカはドラゴンになって高原と町を往復している。

「大変です、アズサ様! ハルカラさんが州知事の貴族に捕らえられたそうです! なんでも犯罪の疑いがあるとかで!」

「やっぱり、何か起こったな……」 

 これはすぐに町に行ったほうがよさそうだ……。

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