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スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフ卒業疑惑編

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59 ハルカラ救出作戦

「ええと、こういうのはどうでしょうか?」
 まず、ライカが手を挙げた。
「箱に箱が詰まっているような状態だとしたら、叩いたら出るんじゃないでしょうか?」
 そんな大昔のテレビ直すような方法でいけるのか……?

「霊魂って物理的な衝撃で出るものかのう……?」
 ベルゼブブも腕組みして、首をかしげた。
「それでもやらないよりはマシだよ! やってみよう!」
「アズサ様!、我々がうかつに叩くとハルカラさんが死にます!」
 そっか……。こういう時、ステータスが高すぎるのも考え物だな……。

 ということで、シャルシャに叩いてもらうことにした。
「いい? やさしく叩くんだよ。でも、魂が出てくるぐらいには強く叩くんだよ」
「条件が難しい……」
 言っている私もそう感じた。

「じゃあ、やるよ。ハルカラさん、ごめんね」
 ばんっ! ばんっ! ばんっ!
「いてえっ! いてえっ!」
 痛みもロザリーが感じるんだな。肉体にダメージが来ているのはハルカラだけど。

「どう、出れそう?」
「ちょっとダメみたいですね……。いてっ! いてえっ!」
「シャルシャ、中止! この案は中止!」

 今度はファルファが手を挙げた。
「はい、はーい! ショック療法はどうかな? 驚いたらロザリーって人も出てくるんじゃない?」
 それもけっこう古典的な発想だな。意外と日本と価値観が近い。

「でも、ショックってどうやって与えるの?」
「うん、ファルファに名案があるよ!」

 私は空中浮遊で夜の空をふらふらと上がっている。
 なお、ロザリーの入ったハルカラを連れて。
「ね、姐さん、後生だからこのあたりにしてくれ……。もう、とんでもない高さまで上がってきてる……」

「ちなみに出そう? まだ無理?」
「ダメです……。ハルカラさんから出られないですね……」
 高いだけではショックとして弱いか。
「しょうがない。第二段階に移るね」
「えっ、第二段階なんてあるんですかい?」
 ロザリーが驚かないと意味がないので伝えてなかった。

「うん。ここから落とす」
「ええええええ! そ、それだけは勘弁してくださいよ!」
「大丈夫、ちゃんとドラゴンになってるライカがキャッチするから」
「た、助けて! こ、殺されるっ!」
 これだけ怖がっていれば、出てくるんじゃなかろうか。さっきの方法より効きそうだ。
「ごめん。ハルカラの命が懸かってるの。我慢してね」
 そして、手を離した。

「うああああああああああああああ!」

 ものすごい絶叫の後に、ライカの「無事です!」の声が聞こえてきた。私はゆっくりと降りていって状況を確かめる。

「それで上手くいった? 分離できた?」
「姐さん、アタシ、チビるかと思いました……」
 青白い顔でロザリーがライカの上で倒れていた。体はハルカラのままだ。
「これも失敗か……」

 そのあとも私たちは試行錯誤を繰り返した。たとえば、朝になってからは村の聖職者さんを呼んで、除霊的なことをやってもらった。
「うはあああ! 死ぬっ! これはアタシが死にますっ!」
 ロザリーが出る前に消滅する恐れがあるので、これも中止になった。

 そして、根本的な解決策が浮かばないまま、昼がやってこようとしていた。
 ベルゼブブいわく、「そろそろ出しておかんと、ハルカラに悪影響が出る恐れがあるぞ。すべてはハルカラの魂の強さ次第じゃが」とのことだった。

「時間的余裕はないのに、我々は眠っていないので、頭の働きも鈍くなる一方です。これはよくない傾向ですね……」
 ライカもうなだれ気味だ。こうも解決策が見つからないとは……。ファルファとシャルシャが眠けが限界だったので、先に寝てもらった。
「私も眠いよ……。でも、ここで寝落ちしたら、ハルカラが死ぬ…………待てよ?」

 糸口がつかめたかもしれない。

「ライカ、ハルカラってお酒飲むと、しょっちゅう酔い潰れてたよね?」
「はい。そういう傾向にありますね……」
「霊魂が二つある状態で眠らせたら、ロザリーの霊魂だけが眠ってハルカラと入れ替わる的なことが起きないかな?」
 はっきり言って学術的な根拠はない。思い付きだ。

「たしかに逆に寝かせるという方法はやってみる価値はあるかもしれませんね」
 そこで私たちはロザリーが使用中のハルカラの体にどんどんお酒を飲ませた。

「アタシ、酒はほとんど飲んだことないんですけど……」
「肉体はハルカラだからいいの。浴びるように飲んで!」
 いつもだいたい四杯目ぐらいでハルカラはぐでっと眠るはずだ。その日は徹夜状態だったからか、三杯目に入ってすぐに、ばたっとテーブルに倒れた。

 私達は倒れてからを慎重に見守る。

 やがて、むくりと顔が起きる。
「あれれ? お酒飲んだ記憶なんてないんですけど? しかも昼だし、どうなってるんですか?」
「ハルカラだ!」「復活しましたね!」「おお、効き目があったの!」
「あれ、皆さん、なんでお酒から起きただけなのに、そんなに好意的な視線なんですか? ……そういえば、体がものすごくだるいんですよね。何かがひっついてるみたいっていうか……」

 うん、まさにひっついてるんだよ……。

「これ、ハルカラの意識がさらにしっかりすればいけるかもしれないな……。そういう状態だと憑依は難しいはずだし……」
「でも、それってどうすればいいんですかね?」
「あっ、それなら、わらわに任せよ! 腹が立つほどに覚醒する方法があるわい!」
 今度はベルゼブブが何か思いついたらしい。すぐさまハルカラの手を引っ張る。

「ちょっと、こっちに来い。すぐに来るんじゃ!」
「えっ? そっち、お風呂場ですけど……? 昨日のお湯はもう、水みたいなもんですよ……」
「じゃから、いいのじゃ!」
 ベルゼブブはハルカラをつかむと、そのまま浴槽に投げ込んだ。
 ザバーーーーン!

 水しぶきが上がって、すぐにハルカラが顔を出した。
「何するんですか……。もう、完璧に目が覚めましたよ!」
「そうじゃのう。じゃから、ちゃんと分離ができたようじゃぞ」

 ハルカラの背後にロザリーの透けた体が浮いていた。

「あれ……アタシ、出れてるぞ……?」
 後ろでロザリーがぽかんとしていた。

「やった! 分離作業成功!」
やっと分離できましたね(笑)。

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