挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 作者:森田季節

エルフ卒業疑惑編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

56/280

54 助っ人を呼ぼう

 ベルゼブブを呼ぶ魔法はすでに教わっていた。というか、彼女のほうから「わらわを呼ぶ魔法があるのじゃ」とかいって、前に教えてきたのだ。多分、何かと誘ってほしいのだと思う。

 ライカが「魔族の中だと偉いから友達ができづらいのかもしれないですね。権力もあるから、すり寄ってくる人はいても純粋な友達って難しいんじゃないでしょうか」と前に言っていたが、けっこう当たってるかもしれない。

 だったら、遠慮なくベルゼブブを呼ぶまでだ。外に出て、魔法陣を描いて、特殊な詠唱をする。

「ヴォサノサノンンヂシダウ・ヴェイアニ・エンリラ!」

 謎の言葉に聞こえるのは魔族語だからだ。
 ちなみに意味はよくわかってないが、詠唱なんて呪文なのだから発音が合っていれば、それでいいのだ。
 魔法陣から禍々しい黒っぽい空気が発生した。おそらく、これで成功なのだろう。

 魔法の雰囲気がガチの魔女っぽいなと思いながら、反応を待つ。
 待つ。
 じっと待つ。
 五分経過。
 あっ……いくらなんでも猫型のロボットが持ってるドアじゃないんだから、すぐに来るわけがないか。早くて翌日ぐらいだろうな。

「一回、家に戻ろう」

 家に戻ったら、なぜか髪の毛までずぶ濡れになっているベルゼブブがいた。

 多分だけど、自分が何かやらかした気がして、ドアをそっと閉じた。
 そのドアが開けられた。

「おい、なんで呼び出したのに、わらわから遠ざかるのじゃ……?」
「いえ、おそらくだけど、私が何か失敗したのかな~と……」
「そうじゃ! おかげでえらい目に遭ったわ! お前、発音が雑じゃから、微妙に召喚場所がずれたのじゃ!」

 そうか、あの魔族の魔法はベルゼブブを直接呼び出すものだったのか。

「だいたい、なんで午前からお風呂にぬるま湯が入っておるのじゃ! そんなところに移動させられて大惨事じゃ!」
「それはお花の水やり用とかで昨日の残り湯をためて使ってるの。エコでしょ?」
「エコなのはけっこうじゃが、そんなところに移動させるでない!」

 場所がずれたのか。魔族の言葉って発音が難しいからしょうがない。抑揚の種類がやたらとあるし。

「ごめんね。今度からもっと練習するから」
「ったく……。もっとも、魔族の魔法を人間が一度教わっただけで使えるという時点でおかしいのじゃがな……。やはり、おぬしには天才的な才能があるようじゃ……」

 そこはレベル99の強みということだろうか。

 ハルカラがベルゼブブのためにあわてて飲み物を用意した。ハルカラもこんなにすぐにベルゼブブが来るのは想定外だったらしい。

「それで、いったい何じゃ?」
 ずぶぬれになっているので、ベルゼブブはちょっと機嫌が悪い。ある意味、頼みごとをするには最悪の状態だと言える。

「それについてはハルカラから話します」
「えー! お師匠様! わたしに振らないでくださいよ!」
 事実、ハルカラの案件だから、そこはよろしくやってくれ。

「わらわは怒らんから言いたいことを話すがよい」
「では、お話ししますね……。今度、近くの町に工場を作るのですが……そこで幽霊が出て困っているので……ええと、その……魔族のベルゼブブさんがいらっしゃってくれれば幽霊も怖がるんじゃないかな~、どうにかなるんじゃないかな~とか、そんな理由で呼んでみたりしたわけなんですが……」
「そんなことでわざわざわらわを呼んだのかー!」
「怒らないって言ったのに、怒らないでくださいよー!」

 これに関してはハルカラのほうが正論だった。でも、親も怒らないから正直に話しなさいって言って怒ったりするよね。うちの親も、これは怒ったんじゃなくて叱ったのよとか屁理屈言ってたなあ。そんなのアリか。

「あ~、もう……。農業振興対策会議の途中で呼び出されてみたら、これか……。絶対、官僚から後で小言を言われるわ……」
 しかも、かなり重要な会議中に呼んでしまったらしい。
「じゃが、来てしまったものはしょうがない。今すぐ、その工場とやらに案内せい。幽霊を叩き潰してやるわ」

 少女の幽霊だったら叩き潰すまではしないでほしい。

「あの、幽霊は夜にしか出ないので、夜まで待っていただけませんか?」
「じゃったら、せめて夕方とかに呼び出さんかーっ!」
 また、ベルゼブブが噴火した。

「ごめんね。でも、あなたを直接召喚するって聞いてなかったもん」

「そうじゃな……。すべてはわらわの責任じゃ……。夜まで空いておる部屋を貸してくれ……。誰も文句が言えんような会議の資料を作るしかなくなったのじゃ……」

 こうして私たちはそれぞれの思惑を抱えながら夜が来るのを待ったのだった。
 それぞれの思惑と言ったのは、ベルゼブブが「もうちょっと夜になるの遅かったら、完成しとったにのう……」と言ってる一方で、私は「とっとと解決しちゃいたいな……」と言っていたことによるものだ。

 フラタ村もそうだが、ナスクーテの町も夜は人通りが少なく、ひっそりしている。むしろ日本の町が異常に明るかったのかもしれない。ネオンサインなんて概念は当然のように、この世界にはないからな。

 夜は人が寝る時間なのだ。そんな時間に働くのは間違いなのだ。だから残業反対。しまった。また前世の記憶が……。

 工場は住んでいる人間もいないからいよいよひっそりとしていた。

「しかし、アズサよ。お前も三百年生きておるんじゃから化け物みたいなもんじゃろ。なんで、わらわが必要なのじゃ?」
「幽霊とかそういうの苦手なの。実体ないと倒せないし」

「ファルファとシャルシャもスライムの霊魂が集まってできてる存在ではないか……。けど、こういうのは理屈ではないのかもしれんな」

 ずかずかとベルゼブブは中に入っていく。
 やはり人選自体は間違っていなかったようだ。
「邪神認定されたので、獣人王国の守護神に転職しました」が日間1位になりました! 本当にありがとうございます! http://ncode.syosetu.com/n3365dl/ よろしければこちらもよろしくお願いいたします!

あと、スライムですが書き溜めはけっこうしてるのですが50話を超えたのと仕事で家を一週間ほど離れるため、微妙に更新頻度を下げるかもしれません。ご了承ください。

20161213_slaim_syoei01.jpg
GAノベルさんより発売中です! 5巻は2018年1月15日発売! 1巻は10刷を達成いたしました! ↑をクリックしていただければ紹介ページに飛びます!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ